3月13日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 魔王さんちの勇者さま (はむばね/徳間デュアル文庫) 【amazon】 《あらすじ》 澄人は16歳の誕生日になった夜中の12時にたたき起こされ、父親から「勇者となって世界を救え!」と言われる。まだ眠い澄人は再びふとんにもぐりこみながら、てきとーな返事をして二度寝ときめこむ。そして目覚めたら、澄人は見慣れない世界にいた。混乱する澄人。そんな澄人の前に〈魔王様〉が現れた!「さぁかかってくるがいい!貴様を絶望の海に沈めてくれるわ!だがそうだな……我の部下になるというのならば、その命助けてやってもよいぞ」その言葉を聞いて、澄人は「んじゃ、そっちでお願いします」と、いうわけで、勇者のはずの澄人は魔王の手下になり、魔王の姫・サフラの付き人としての生活が始まった! 「太陽で台風」が思いの他よかったので買ってみた、はむばねさんの徳間デュアル文庫受賞作。デビューして結構年数たっている作家さんが他のライトノベルの賞受賞するのってかなり珍しい気がします、同時期の受賞は結構記憶にあるんですが。 それはさておき、これもなかなか面白かったです。「突然勇者に選ばれて魔王と対峙するものの、なりゆきで魔王の姫様の付き人に……」という、なんだか既視感のある設定のお話。実際お約束な展開で話進むんですが、ヒロインがかわいくてヒーローがかっこいい、それだけで十分面白いんだなあと思い知らされました。 ヒロインは7歳幼女の心閉ざし気味な姫様、澄人との触れ合いによってだんだん年相応に明るい表情を見せるようになっていく様子が、ベタながらもよいものでした。ヒーローは異世界に飛ばされてきた高校生、高校生にしては肝が据わりすぎているのがちょっと引っかかりましたが、姫様への優しい接し方に好感が持てましたし、やるときにはしっかりやる男の子でした。特にクライマックスでの行動には痺れました、笑ってそんなかっこいいことできるなんて! 予定調和なハッピーエンドにも満足、はむばねさんは王道を料理するのが上手いですねー。 明らかにスルーされている伏線があるので、続きも出そうです。ヒーローとヒロインの話としては決着ついているので、どう話を広げてくるのか楽しみ。 評価 ☆☆☆★(7) |
3月12日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 秋期限定栗きんとん事件 (下) (米澤 穂信/創元推理文庫) 【amazon】 《あらすじ》 ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど……ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ? 2週間ぶりの下巻です。刊行間隔狭くてありがたいです。上巻の感想を書いてから気づいたこと。この時期においしい栗きんとん食べれるわけないじゃん! 俺、秋になったらおいしい和菓子屋の栗きんとん食べるんだ……。 それはさておき感想。どうしてもネタバレに触れるのは避けられないんですが、ボカして書くと、女心は難しいなあと。色々騙されたこの巻の中でも一番驚かされたのが、あの行動をとった時の彼女の真意でした。小鳩君によるミスリードはあったとしても、まさか彼女がそういう行動とるとはなあ。微妙に納得いってない気持ちもありますが、彼女については間違った印象持っていたのかもしれないので、春夏を読み返すべきかも。しかし、マロングラッセは2重くらいの例えだと思っていたら、さらに重ねた意味があったんですね。うまいなあとしみじみ思わされました。さらに今回の栗きんとんの例えが上手すぎて脱帽ですよ。 色々インパクトあったのでキャラ感想も、小佐内さん怖すぎ&小鳩くんひどすぎ。上巻の時にも書いたけれど、小鳩くんが普通の女の子と付き合って泣かせてたら許せなかったです、彼女でよかったですほんと。ただ、彼女関連はもう一捻りあると思ってたので、若干拍子抜けした感もありました。彼女含め、ゲスト関連は「あれ? それだけ?」と思うところが多かった気がします。その分メイン2人が魅せてくれたので満足ですけどね。 綺麗に落ち着いてこれ以上の盛り上がりはなさそうにも思えますが、冬で何を見せてくれるのか楽しみです。 評価 ☆☆☆☆(8) 【今日購入したもの】 秋期限定栗きんとん事件 (下) (米澤 穂信/創元推理文庫) 楽園まで (張間 ミカ/トクマ・ノベルズEdge) 魔王さんちの勇者さま (はむばね/徳間デュアル文庫) 薔薇のマリア Ver5 つぼみのコロナ2 (十文字 青/角川スニーカー文庫) キャンディ・ポップ2 (倉吹 ともえ/ルルル文庫) デュラララ!!×5 (成田 良悟/電撃文庫) |
3月9日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ 身代わり探偵スピカ 逢いたくても逢えない相棒 (ココロ 直/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 女子高生・ユウナ。車にはねられそうなところを高校の先輩・芥川巽がかばい、亡くなってしまう。その後、ユウナのもとに彼の魂が宿ったパソコンが届き、頼み事を持ちかけ…!? 新感覚ミステリー!! 「アリスのお気に入り」のココロさんの久々のオリジナル作品は、ちょっと切ない学園ミステリ。 「アリス〜」ほどではないものの、そこそこ面白かったです。タイトルの通り、死んだ高校生探偵の代わりに探偵を務めるようになる女の子のお話。「死んだ人間の意識が自分のところに〜」という設定は手垢がついたものですが、2人で謎を解いて距離が縮まることによる切なさがいい感じ、この世にいないことの重さを痛感する場面はしんみりきました。個人的な好みからするとちょっとミステリ色強すぎるんですが、エピローグのほんのりな甘さも好みだし満足できました。他キャラでは緒方刑事がよいひねくれな傍ら、事務所の他の面々がちょっと存在感薄かったのが残念、ツムくんはもっと見たかったです。 続きも出たら買いますが、売り上げ芳しくなさそうなのでどうでしょう……。コバルトの現代ミステリはまだまだ不遇らしいです。 評価 ☆☆☆(6) |
3月8日(日) |
【今日読んだ本】 ◆ 太陽で台風 (はむばね/SQUARE ENIX NOVELS) 【amazon】 《あらすじ》 幼い頃からヒーローに憧れてきた高校生・百瀬陸。彼が河原で偶然助けた少女・常陸谷華。初めて会ったはずなのに、華は陸のことを知っていた。そして、華の突然の告白…。はむばねが贈る、恋に不器用な少年と天真爛漫な少女の等身大の恋物語、開幕! 去年下半期に発売された学園ラブコメ。著者さんのデビュー作の「スタンプ・デッド」が微妙だったのでスルーしてたんですが、余所の感想見て気になったため手を出してみました。 青くて甘酸っぱくて物凄くじったんばったん、とてもよい青春ラブコメでした! 誰にもばれないようこっそりと善行をする「ヒーローごっこ」をしているパッとしない男の子が、ある日突然美少女に告白される「これなんてエロゲ?(作中でもそのまま言及)」なお話。ありがちな筋立てに見えますし実際そういう面もあるのですが、主人公に対して半ば盲目的な愛を向けてくる華さんのストレートで開けっぴろげなアタックが実にかわいく描かれていて、ここでまずじったんばったん。 さらに見所なのが主人公の心理描写。「自分がこの子に釣りあう存在なのかどうか」というヘタレタイプ主人公にありがちな悩みを抱くんですが、主人公はそれなりの行動をとってはいるし、一方で華さんのあまりに無防備な信頼と可愛らしさにとまどい受け入れられないのも分かるわけです。一人称でのこの辺の描き方がうまくて主人公の悩みが生々しく感じられて、主人公が華さんに惹かれていく様子も加わって、青臭さにじったんばったん転がらざるをえませんでした。 物語の展開はベタだし上手くいきすぎなところはあるけれど、この主人公なら納得いくし、何よりハッピーエンドはいいものですよね。色々解決した後の最後の甘さは胸焼けがしてとろけそうで、バカップル好きにはたまらなかったです。しかし家で読んでよかったです、電車の中でこれ読んでたらと思うと恐ろしい。 あー手を出してよかった、2巻もあるらしいということで凄く楽しみ、でもあれ、連載されてませんよ……?(ガンガンONLINEで連載予定って書いてある) もしかして売れてない? イラスト含めて好きなんですがこれ。とりあえず、徳間デュアルから先月出たやつを買ってきます。 評価 ☆☆☆☆(8) |
3月6日(金) |
【今日読んだ本】 ◆ 鳥は星形の庭におりる (西東 行/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 双都オパリオンの貴族の娘プルーデンスは、ちょっぴりおませな13歳。亡くなった祖母を弔うため、家族とともにアラニビカ島に向かうが、遺品から護符が見つかって――。島の迷宮の謎をめぐり、プルーデンスは大人たちの陰謀に巻き込まれていくことに。味方(?)となるのは、蒼い衣をまとった名無しの吟遊詩人。容易く女たちを魅了する彼の正体は――。壮大な迷宮ファンタジー、堂々のデビュー!! 今月のホワイトハートの新人さん、入り口が隠されている塔の謎を、聡明な少女が吟遊詩人と共に解き明かすお話。 これはよい物語でした。「迷宮ファンタジー」と銘打たれていますが、迷宮に潜ったりモンスターと出会ったりといった類の話ではなくて、迷宮の秘密を調べる過程で少女が成長していくお話。迷宮の謎はなかなか凝っているし、「数」との関連を前面に押し出した神話などの世界観も興味深かったですが、それよりも主人公のプルーデンスがとても気に入りました。 黄金比の美しさについて熱く語ったりするなど13歳という年齢としては並外れて聡明で、それゆえに孤独な女の子。親に受け入れてもらえないことにときおり不安を抱くこともあって、でも涙を流すことをよしとしない気高い姿勢が素敵です。聡明でも嫌味なところが全然ないし、行動力もあって、正直惚れました。 さらに、行動を共にする吟遊詩人との関係がまたいいんですよ。うさんくさくも認めてくれる唯一の存在との遠慮のないやり取りが楽しかったですし、恋愛とはちょっと違う心の結びつきがこの主人公らしくてよいです。ラストシーンでのプルーデンスの一連の心理(詩人を想うと同時に、キスという行為自体には嫌悪感)は、胸にじんわりとくると同時に、少女小説としてはかなり珍しくて新鮮でした。 最近のホワイトハートは冒険心があって頑張ってる気がします。あんまり売れなそうな作風ですが、次回作が無事出てくれることを祈ります。 評価 ☆☆☆☆(8) |
3月5日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 鴨川ホルモー (万城目 学/角川文庫) 【amazon】 《あらすじ》 このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。 発売当時から気になっていたものの、今一歩を踏み出せず手を出すのを控えていた、映画化間近の青春物語。 普通に面白くはあったんですが、「夜(中略)乙女」みたいな爆発的な面白さはなくて、若干がっかりなところもありました。がっかりした原因は、青春面が案外普通だった点。タイトルやあらすじの際物っぷりに加えて、鼻大好きという変化球まで飛んできて、変なものを期待しすぎたのかもしれません。片想いの連鎖は歓迎なんですが、主人公以外の描写がちと物足りなかったなあと。あの子が出てこずに単純な三角関係の方が好みだったかも。 でも、ホルモーの設定の馬鹿馬鹿しさと真面目さのバランスは好きでした、叫び設定はすごい。叫ぶシーンがもうちょっとあればなお良かったです、でも数少ないからこれだけ印象に残ってるのかもしれません。 他作品もあらすじに少し惹かれるので、また文庫落ちしたら読んでみます。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 赤髪の白雪姫3 (あきづき 空太/花とゆめコミックス) 龍の花わずらい6 (草川 為/花とゆめコミックス) 平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮 (松田 志乃ぶ/コバルト文庫) 白薔薇と吸血鬼 (倉世 春/コバルト文庫) 身代わり探偵スピカ 逢いたくても逢えない相棒 (ココロ 直/コバルト文庫) 鳥は星形の庭におりる (西東 行/講談社X文庫ホワイトハート) |