5月30日(土) |
6月購入予定。新シリーズ多めなので、いくつかは様子見するつもりです。 月と太陽の国語り 〜夜半に咲く花〜 (花村 りく/ルルル文庫) ブランデージの魔法の城 魔王子さまの嫁取りの話 (橘香 いくの/コバルト文庫) 吸血鬼とまぼろしの舞踏会 (倉世 春/コバルト文庫) さながら駆けし破軍の如く (天野 ゆいな/講談社X文庫ホワイトハート) アクセル・ワールド2 ─紅の暴風姫─ (川原 礫/電撃文庫) ウィザーズ・ブレイン VII 天の回廊 〈下〉 (三枝 零一/電撃文庫) ロウきゅーぶ!2 (蒼山 サグ/電撃文庫) 紅はくれなゐ (鷹羽 知/電撃文庫) 有川夕菜の抵抗値 (時田 唯/電撃文庫) 平安ぱいれーつ 〜因果関係〜 (如月 天音/ウィングス文庫) 姫君返上! (和泉 統子/ウィングス文庫) ヤンキー巫女逢桜伝 (夕鷺 かのう/B's-LOG文庫) 東の剣士 北の魔女 (くりた かのこ/B's-LOG文庫) レプリカ・ガーデン 〜廃園の姫君と金銀の騎士〜 (栗原 ちひろ/B's-LOG文庫) 見習い女神と仮面の騎士 〜恋の鍵に揺らめいて〜 (菊地 悠美/B's-LOG文庫) 花守の竜の叙情詩 (淡路 帆希/富士見ファンタジア文庫) SH@PPLE―しゃっぷる―6 (竹岡 葉月/富士見ファンタジア文庫) 剣の花嫁 山妖奇伝 (夏目 翠/C★NOVELSファンタジア) 【今日読んだ本】 ◆ 公爵夫人のご商売 よかったり悪かったりする魔女 (野梨原 花南/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 魔女を目指すポムグラニットは、身を寄せるアザーの家の財政の助けにと、アザーの奥方マダーを美少年庭師として派遣し、ご婦人にときめきを売るという商売を始めるが…奇想天外ファンタジー! 「ちょー」シリーズの野梨原さんがおくる魔女コメディファンタジー「よか魔女」第2巻。1巻面白かったんですが、なかなか2巻が手に入らずにしばらく停滞してました。 うわ、面白い面白い! 1巻以上に当たりでした、このシリーズ大好き。過去にも何度か書いているように、野梨原さんの書くものって敵同士でもやけに仲良かったりと、全体的にさばさばしていて能天気な雰囲気で、それでいて時々ぐっとくる描写があるのがいいんですが、そういった特徴が「よかったり悪かったり」なこのシリーズにぴたりとはまっているように思えます。 変人がたくさん揃っていて基本的にはコメディで、天然マダーの女たらしな台詞の数々と引き起こされる騒動に笑ったり、子供たちの微笑ましさにニヤニヤしたり。野梨原さんの文章が合う身にはニヤニヤできる箇所がとても多いです。それなのにラブも真面目に描かれていて、恋真っ最中の女の子や男の子、恋心が芽生え始めた女の子などよりどりみどりでゴロゴロしまくり。カデットがとても女の子で切なくてかわいかった。2巻なのにこの楽しさ、あと4冊が楽しみでなりません。 そういやこのシリーズってばりばりTS作品なのに、TSとして話題になっているの見たことないです。一般的なTSの面白さとは違うものの、ストーリーにも活かされてるのになんででしょう? 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ デュラララ!!×5 (成田 良悟/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「ダラーズが、随分と変な事になってるみたいだねえ。わくわくしてこないかい、君の大好きな非日常が始まるよ? 日常を楽しむには──常に進化を続けないといけないんだ」 東京・池袋。そこには再び動き始めた折原臨也の意趣返しが集う。何でも屋として仕事を請け負う異国の二人組、静雄を探し続ける家出少女、窮地に立たされるバーテン風の男、ダラーズに復讐を宣言する女たらし、ひたすら帰りを待ちわびる闇医者、何者かに狙われるクラス委員、それに気づかない同級生の少年、そして混沌の渦に巻き込まれて堕ちていく“首なし(デュラハン)ライダー”。そんな彼らのGWは、果たして日常か非日常なのか──。さあ、みんな一緒に──デュラララ!!×5 首なしライダーが闊歩する池袋が舞台の青春群像劇「デュラララ!!」5巻。 うーん、普通に面白くはあるんですけど、デュラララへの期待値からすると微妙な巻でした。楽しめてない一番の原因は、前巻から出しゃばりだした青葉。こいつの小物臭さがどうも好きになれなくて、出しゃばってくるのがとても鬱陶しかったです。なんでこんな小物に池袋引っ掻き回されるんだ、といった気分。臨也が色々企んでいる分には全く問題ないんですが。デュラララは敵味方問わないキャラクターの活き活きした魅力が面白さの要因だと思ってるので、こういう合わないキャラが出てくるとしょんぼりです。新登場のロシアの人たちも現時点では微妙ですが、こちらは後編読んでから判断かな。 とはいえ、セルティや杏里、新羅や静雄といった既存の面々の活躍は相変わらず楽しいので、後編での青葉粉砕に期待します。 評価 ☆☆☆(6) |
5月28日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ ヘルメ・ハイネの水晶の塔(上)(下) (井辻 朱美/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 箒と一緒に夏の国からやってきた少女、マーレン・マードルフは、ヘルメ・ハイネに家政婦として雇われ、ミス・ダルシラをはじめ、街の住人たちとも仲よく暮らしていた。しかし、ヘルメ・ハイネの塔で水晶を見つけたのをきっかけに、マーレンの運命は大きく変わる。正体不明のヘルメ・ハイネ、水晶を狙うミス・ダルシラ、そして、あやしげな住人たち。謎が渦巻くなか、水晶に導かれるように、マーレンの不思議な旅が始まる……。 ホワイトハート特集をしたついでに積みホワイトハートを崩そう、というわけで某所で知って積んでおいた、ホワイトハート創刊期のファンタジー。 くー、読解力が足りない! 自分の読解力不足を久々に痛感しました。 風にのってきた不思議な求人を手にした少女が魔法使いの塔を訪れるところからはじまる物語で、序盤は古きよき少女小説な雰囲気。「暖炉と箒型」の女の子が過ごす街並みが穏やかに描かれていて、表情や風景の何気ない描写をいいなと思う箇所が多かったです。 そんな日常にだんだんとファンタジー要素が侵食していく様子も上手いです。大事に守られてきた水晶の秘密、街の人々が語る物語、トロール、世界の創生の謎といった不思議がちりばめられていって。あとがきに「カラーからモノクロへ」とあるように物寂しくなっていく幻想的な描写に惹きこまれました。 で、物語はどんどん幻想的になっていくんですが、時間の経過があやふやな世界での謎めいた出来事と会話に途中からついていけなくなってしまいました。感覚的に味わうことはできても、理屈で何が起きているかは分からない状態。ファンタジーな文法で書かれた自分探しが中核に据えられているらしく、読む人が読むと「おーすごい!」となりそうなだけに、理解できなかったのが悔しいです。 初期ホワイトハートは、こういう本格的なファンタジーやBLや現実的恋愛話がゴッタ煮になっていて、調べてて興味深かったです。そのうち他の初期作品も何冊か読んでみる予定。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ イングールの天馬 黒の王子と月の姫君(下) (篠原 まり/カラフル文庫) 【amazon】 《あらすじ》 一度も会ったことがないのに結婚することになった王子ガイルズと王女アリシア。そして、その結婚が『青の国々』全体のバランスを崩すことになる。新たな争いが起き、王子と王女は、謎の教団に命を狙われることに!? 〈予言〉に翻弄される若き王子と王女。果たして、ふたりの運命は? カラフル文庫に初の本格ファンタジーが登場! 某所で好評だったので読んでみた、男勝りで真っ直ぐな王女アリシアと俺様時々ヘタレな王子ガイルズによる児童向けラブファンタジーの下巻。 嫉妬して狂う女の子こわーーーー! アリシアに嫉妬して狂っていくエミルが、よくも悪くも強烈な存在感を放っていました。典型的な自己愛キャラで、ガイルズ視点で見ると本を投げつけたくなるほどうざくてやりすぎ感もあるんですが、直接的な表現で描かれる嫉妬は主役カップルよりもインパクトありました。若干この子もかわいそうではあるんですよね、ガイルズがヘタレの癖に煽らなければここまでひどいことにはならなかったろうに。ガイルズの、正体明かそうとする→邪魔入る の連発はひどかったです。 ストーリーは王道で上巻から予想つく範疇、個人的には山がもう1つくらい欲しかったかな。でも、気持ちが通じ合ってからの主役2人の「暴れ馬に翼」なピタリとはまった信頼関係は見ていてとても気持ちよかったです。結婚式を通して周囲が2人を祝福しているのも伝わってきましたし。 上巻では問題ないかなと思ったものの、下巻まで読んでみるとやっぱり児童向けは文章や展開が少し苦手かも。当面手出さないことにします。 評価 ☆☆★(5) |
5月24日(日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
昨日の予告通り、ホワイトハート版です。コバルトに比べてBLの線引きが難しく、非BL作品の割合などを考慮して入れるか判断しています。たけうちりうとさんあたりは非BL作品もあるので迷ったのですが、今回は除外しました。
おまけ 余所デビューでホワイトハートでも書いてる(た)人(順不同)宮乃崎桜子/高館薫(※3)、榎田尤利、志堂日咲(※4)、流星香、小野不由美、ひかわ 玲子、篠田真由美、冬杜絵巳子、妹尾ゆふ子、日野鏡子(※5)、水野麻里、浅野裕子、斎藤肇、林瞳(※6)、井上香織、早瀬みずち、井辻朱美、御木宏美、柏枝真郷、(萩原麻里(※7)、原田梨花、津原やすみ、倉橋燿子)※カッコ内はティーンズハートデビュー ※1 ホワイトハートで作品を出している期間限定 ※2 ティーンズハートでの最終刊行月 ※3 再デビュー ※4 ジャンプJ-BOOKSとほぼ同時デビュー ※5 この名義ではホワイトハートが初(神崎美佳名義で著作あり) ※6 秋野ひとみの別名義 ※7 新風舎から自費出版(?)の作品あり 余所デビューの人はかなりの数いますが、半分くらいは創刊期に余所から引っ張ってきた人です。創刊してしばらくしてからはBLの割合が増えたのもあって余所からの人は少なめ、2000年以降はほとんどいません。 で、肝心のホワイトハートデビューの人の活動ですが、思ったよりは多くない結果に。特に、2000年以降の受賞者は余所での活動がめっきり減ってます。単純に即消え新人さんが多いというのもあるんですが(00〜07年にデビューした受賞新人20人中、3冊以上ホワイトハートから本出したのは7人)。その一方、賞以外からのデビュー者は、最近でも余所での活動を行っています。ツテの差なんでしょうか。 そんなわけで、コバルトもホワイトハートも余所での活動は少ない、という結論。ただ、ホワイトハートは他の少女系レーベルでの活動にうるさいということはなさそうです。 |
5月23日(土) |
先日の余所で活動しているコバルト作家リストを受けて、有里さんがコバルト作家別刊行チャートを公開されました。これは凄い力作ですね! イメージよりも1冊消滅が少なかったですが、5冊以内に消える人はやっぱり多いです。 明日あたりにホワイトハート版を公開予定。 【今日読んだ本】 ◆ トマト畑クライシス (三浦 真奈美/コバルト文庫) 【amazon】 《あらすじ》 授業中に気分が悪くなり、トイレの個室に駆けこんだ遥は、うろたえて声をだしてしまった。「う、うそだろ……」遥の体から、あるはずのものが消えていた。いつのまにか遥は女のコになっていたのだ……。遥の父の話では、16年前のある晩トマト畑に降りてきた神様が置いていった天使、それが遥なのだという。天使の体を持つ遥は、男の子の中にいると女になってしまうというのだけれど。 今はC★NOVELSで活躍している三浦さんのデビュー作。といっても別に三浦さん作品だから手を出したわけではなく、単にTS物だから。 青春TSストーリーとしてかなり好きですこれ。思春期な男の子が、ある日突然でんでん虫体質(男に囲まれていると女になり、女に囲まれていると男に)に。男でいるためにプレイボーイな男の子と友達になるものの、そいつが女の子状態の自分に惚れてしまい……、というお話です。これだけだとドタバタコメディに見えなくもないですがそんなことはなく、幼馴染の女の子を加えた3人の気持ちが丁寧に描かれたよい青春物。主人公はとにかく反発したいお年頃で、こんな体質になって一杯一杯なために周りを傷つけたりもして、その一方で残りの恋する2人は正体不明の女の子バージョンに振り回され、奇妙な三角関係がどうなっていくのかをドキドキして読めました。幼馴染の子もプレイボーイの子も恋する姿が初々しくて純真で眩しくて、2人とも応援したくなるし、主人公の頭がグルグルするのも分かるあたりがとてもよかったです。 TS好きな人は是非一読をお勧めします。手に入りにくいのが難ですが……。マーケットプレイス2000円って!(相当前から探していたんですが、一向に見つからないので図書館で借りました) 評価 ☆☆☆☆(8) |
5月22日(金) |
いつもミス指摘ありがとうございます。これからはミスをなくします、と誓った矢先にDiaryログページが2008年になっているというひどいミスに気づいたのでした。こんな目立つとこ間違えるなんてもう駄目だ……。 【今日読んだ本】 ◆ 革命皇女 doll★llob (いわなぎ 一葉/一迅社文庫アイリス) 【amazon】 《あらすじ》 国を滅ぼされ、処刑されようとしていた皇女エルファリードの前に現れたのは、小さな狼の姿をした悪魔だった。国を救うため、そして、大好きだった人に気持ちを伝えるため、エルファリードは、命と引き換えに、悪魔と運命の3日間をやり直す契約をするが…!? 皇女に絶対の忠誠と愛を誓う騎士と、婚約者として現れた強国の王子。彼らと共に、エルファリードは運命に抗い、限られた時を駆け抜ける。愛と野望のファンタジックロマン!! 富士見でデビューしたいわなぎさんの久々の新刊、は過去の3日間ををやりなおす恋愛ファンタジー。 やけに主人公が乙女なのが印象的なファンタジーでした。主人公視点の地の文が、「……もん」やら「〜しちゃおう!」やら「〜なのかな?」やら、女の子全開な箇所多め。現代舞台ならともかく、ファンタジーでこういう古きよき少女小説な語り口はかなり珍しい気がします。 こんな乙女な女の子が過去をやりなおして国と愛する人を救うお話なんですが、ストーリーはやり直しの割に盛り上がりどころがはっきりせず、あまり楽しめませんでした。箱庭育ちなやり直し前と、観察力も行動力もあるやり直し後で主人公が変わりすぎに見えてしまったのも原因かもしれません。ヘタレ王子ややたら不気味で底知れない黒幕など、サブキャラにはいいキャラ多かったんですが。特にヘタレ王子は相当に不憫、結構かっこいいのに、主人公に想いを気づかれることもないまま便利キャラ化。台詞回しが軽いのもあってピエロでした。最近こういう不憫キャラとよく出会います、好きなんだけどもうちょっと報われてほしいです。 あと引っかかったのが文章。富士見時代から変わらない「……」と「――」を多用するスタイルで、多用自体は別に構わないんですが、主人公の心理描写でも三点リーダを多用だったので、主人公が気弱で鬱陶しく見えてしまいました。この辺も上で挙げたギャップの原因に。伏線残ってて続きも出そうですが、とりあえず様子見。 評価 ☆☆★(5) |
5月21日(木) |
メルフォレスー。 >あれ、林葉さんはX文庫ではなかったですかね。ピンク色の背表紙の頃の。 メインはX文庫ですが、コバルトでも1冊書いていたようです(参考)。自分も調べている過程ではじめて知りました。リンクにあるあらすじがひどい……。 そして、じわじわと追加されてます。公開前に再チェックは入念にしましょう。 【今日読んだ本】 ◆ 姫君達の晩餐 猫と前菜 (山咲 黒/B's-LOG文庫) 【amazon】 《あらすじ》 美しさも誇りも右に出る者なしの“白雪姫”、柔和な笑顔が最強の“灰かぶり”、妖艶な二百云十歳“眠り姫”。3人の姫君達が対峙した魔女により《赤い森》の魔法は解かれたのだが、同時に魔女が行方をくらましてしまった! その森で拾いもの上手の“灰かぶり”が今回拾ったのは生後3カ月ほどの赤ん坊。近くの村で子供の行方不明事件があるとの嘆願書を見た彼女達は、3人の王子とともにそこへ向かうことにしたのだが…!? お伽噺の3組の姫君&王子が繰り広げるラブコメ童話、新章スタート! 白雪姫とシンデレラと眠り姫をミックスし、さらに魔女を放り込んで色々とアレンジしたファンタジー「姫君達の晩餐」第3巻。 なるほど、こう続けるんですね。2巻の感想で魔女が後半スルーされたことに文句言いましたが、ちゃんとその後が語られるようで安心しました。まさか続きが出るとは思っていなかったので、次巻への伏線だとは分かりませんでしたよ。文章も1巻以外は普通に読めるレベルになってるし、色々と驚かせてくれます。 中身の方は、魔女関連の伏線張りが多くて新章スタートといった感じ。前2冊では若干印象が薄かった眠り姫カップルにスポットが当たってます。「俺にまかせとけ、お前は何も見なくていい」的なヒーローはあんまり好きじゃないんですが、王伊に限っては200年の重みがあるのでその気持ちにも納得いきました。他2カップル含めて、3カップル6人みんな気に入っているので、話あんまり進んでなくても読んでて楽しいです。早苗>珀連>男ども、な力関係がいいなあ。 子供は魔女のなんなんでしょう、転生先とかではないと思うんですが、うーん。気になるので続きも読みます。 評価 ☆☆☆(6) |
5月20日(水) |
一昨日のコバルト記事は適宜追加&修正中。情報いただいた方々ありがとうございます。 【今日読んだ本】 ◆ BLACK BLOOD BROTHERS 11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 『九龍の血統』と激しい闘いを繰り広げるジローの下へかけるミミコ。そこにあるのは『カンパニー』の代表としての姿ではなく、葛城ミミコという一人の少女の姿だった。新感覚吸血鬼サーガ、堂々完結! 吸血鬼の「BBB」ついに最終巻。 あー、凄かった。以下いつものようにネタバレ反転。 えー、見所ありすぎて何から書いたらいいか迷いますが、うちらしくまずはミミコ&ジローから。この2人については、まさかラブラブ状態の2人が見れるとは思わなかったので、それだけで満足だったりします。よく最後に男見せたこの朴念仁! それにしてもミミコは凄い女性、彼女がここにまで至った軌跡をとても読み返したくなりました。 次にカーサ。戦闘中に何度も感情的になってしまうほどの複雑な思いと、それでも決して失うことのない誇り高さがたまらないです。最後の2冊に限っていえば、一番素敵な女性はミミコではなく彼女でした。ケインとの再会の場面での揺らぎと涙は最高。最後はきっとジローと2人なんだろうと予想はしていましたが、以前の2人に戻って笑って逝けて、心からよかったと思います。 戦力が綺麗に拮抗していて、少し気を抜いただけで二転三転どころか四転五転とする戦闘も凄かった。各人文字通り死力を尽くした戦闘で、盛り上がる箇所多すぎます。中でも一番痺れたのはゼロ距離羅炎、張り巡らせた策も見事だし、サユカ&ゼルマンかっこよかった! 他のキャラ、カンパニーサイドでは、バウワウ卿が中の人がいる時もいない時もおいしすぎました、ザザとの遭遇シーンが好きです。九龍サイドではナブロの執念深さが印象的でしたが、他のメンバーも血の通りの生き方を貫いていてかっこいい。途中まで九龍の兄弟はあまり区別ついていなかったので、今読むと色々違いそうです。 そうして迎えたラストは感無量の一言。はじまりのシーンと絡めているのが実に心憎いです。あとがきにある未来図にワクワクしました。 10つけるかどうか迷ったのですが、アクション分がちょっと多すぎ(アクションは苦手)というのと、7巻の方がインパクトでかかったという理由で、限りなく10に近い9にしました。いずれにせよ名作であることに変わりはないです。 5年間面白い物語をありがとうございました。次回作も楽しみに待ってます。 評価 ☆☆☆☆★(9) |
5月19日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ メニメニハート (令丈 ヒロ子/講談社) 【amazon】 《あらすじ》 ぼくは、小国景太。毎日を無難におくりたい小学5年生。ところが、引っ越したマンションの両隣に住んでいたのは、美人だけどウソだらけのサギノと、真面目すぎる委員長のマジ子。クラスでも目立っている、もっとも関わりたくないタイプのふたりだった。 でも……。雨の旧校舎、「呪いの大鏡」の前でぶつかった二人のおでこから、ピンクとブルーのハートが飛び出て入れ替わったのを見てしまったぼくは、「関わりたくない」とは言っていられず、ぼくの愛する平和でおだやかな日は、はるか彼方へ……。その日以来、サギノとマジ子の様子はなんだかへんだし、もしかしてそれは、入れ替わったハートのせい? 心の入れ替わりときいて飛びついてみた(最近釣られすぎ)、小学生たちが主役の児童小説。講談社100周年書き下ろし100冊のうちの1冊らしいです。 児童向けにしてはキャラがたっていてなかなか面白かったです。いかにもな男の子受けキャラを演じているサギノと小うるさい委員長を地でいくマジ子の心が徐々に入れ替わっていくお話。徐々に、しかも心だけ、というのがポイント、記憶は入れ替わらないのがなかなか珍しいです。入れ替わっていくことで犬猿だった2人の価値観が変わり、お互いのいいところを発見したりといった児童向けな面と、入れ替わりが進むにつれて2人ともかわいくなっていくキャラクター小説な側面を両立してるあたりは、さすが著作100冊のベテラン作家だと思わされました。 また、主人公の性格もなかなか風変わり。「ぼくの好きなことは整理整頓と収納の工夫」「カリスマ主婦である神崎栗子先生が出ている番組は絶対に見る」……こんな小学生実際にいたらちょっと嫌だな、と思う男の子ですが、見てる分には楽しいです。2人とつきあっていくうちに彼もまた無自覚に影響を受けていく様子がうまく描かれていました。 先日のイングールといいこれといい、児童向けにも面白い本は転がってますね。なかなかそこまで手が回らないんですが。 評価 ☆☆☆★(7) 【最近購入したもの】 姫君達の晩餐 猫と前菜 (山咲 黒/B's-LOG文庫) BLACK BLOOD BROTHERS 11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫) 愛のもとに集え3 (サカモト ミク/花とゆめコミックス) しゃにむにGO31、32 (羅川 真里茂/花とゆめコミックス) LOVE SO LIFE1 (こうち 楓/花とゆめコミックス) |
5月18日(月) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先日Twitterで「コバルト作家で余所で活躍してる人って少ないよね」という話題になって、実際どれくらいいるのか気になったので調べてみました。例によって間違いや抜けがある可能性が高いので、見つけた方は教えていただけると助かります。
おまけ 他所デビューでコバルトでも書いてる(た)人(順不同)赤川次郎、樹川さとみ、野梨原花南、天河りら(さいきなおこ)、藤水名子、新井素子、ひかわ玲子、山浦弘靖、松本祐子、谷山浩子、喜多嶋隆、林葉直子、竹内志麻子、団龍彦、赤羽建美、野原野枝実、小林深雪、折原みと(計18人)、(追加)かたやま和華、時海結以、吉川トリコ※ 最後にやってきたのは折原みと(2000年12月) ※※ 2009年9月にかたやま和華参入、その後も何人か参入 ※1 コバルトで作品を出している期間限定 ※2 再販は除く ※3 王領寺静名義あり ※4 Sファンタジーでの最終発売日 ※5 コバルト外では立原透耶名義 ※6 1999年にアンソロジーでの短編あり ※7 2004年に怪談集での短編あり ※8 移籍後は藤咲あゆな名義 コバルトって10年以上、余所から作家連れてきてないんですね……さすが老舗。と思っていたら折原さんがいたようです。連れてきていないのは8年以上ですね。 まずは並行して出していた人、19年で16人。この数を少ないとみるか多いとみるかは難しいですが、少年向けや児童向け、一般文芸など他ジャンルへの出向以外はなかなか並行して書かせてもらえないようです。少女向けで並行して出しているのは藤本さん、倉本さん、榎木さん、マエタマだけ、これは間違いなく少ない。ティアラで出すらしい花衣さんがどうなるか、気になるところです。 一方で出ていった作家さんは19年で9人。こちらも少ないです、特に21世紀に入ったあたりからガクンと減少傾向。少年向けではレーベル横断が進む中、とても逆行した動きになっています。竹岡さんは超希少例だったようです。 比較対象としてビーンズ、ホワイトハートあたりは……気が向いたら作ります。 5/18 少女向け並行作家の記述に藤本ひとみ追加 5/19 田中啓文、香山暁子、折原みとを追加、花衣沙久羅の備考追加 5/20 小林弘利を追加 5/21 島村洋子、小林深雪、小沼まり子、藤上貴矢を追加 |
5月17日(日) |
ティアラ文庫全部読み終わってのまとめ。 一言で表すなら、創刊してよかったなと。女の子向け+ファンタジー+H、という今までにないジャンルを真面目に開拓しようという姿勢が伝わってきただけでも、まず評価したいです。18禁度合の濃淡の幅広さは、それを売りにしていくのか、それとも手探りなのかはまだ分かりませんが、できればこのまま色んなものを出していってほしいところ。ただ、ストーリー甘いなあと思う作品もいくつかあったので、そちらをないがしろにするのは勘弁。 今後の鍵はどの辺から作家引っ張ってこれるかでしょうね。BL以外の人ももうちょっと引っ張ってこれるようだと物語の幅も広がってきそうなんですが、一般向けの人はやっぱり厳しいかなあ……。 1冊薦めるなら「華の皇宮物語」か「ヴァンパイア〜」、前者は話重視、後者はエロ重視の人に。 今後もしばらくは全買いでいってみようと思っています。願わくば18禁ならではの面白い作品に出会えますように。 5/31追記 検索等できた人用 個別感想はこのあたりからどうぞ。 【今日読んだ本】 ◆ とぅ うぃっち せる! (一色 銀河/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 人見知りの激しい金髪少女、美鈴川エステルとお淑やかで誰にでも優しい女の子、黒瀬さくら。いつも一緒にいるそんな二人を(主として好みのタイプのさくらちゃんを)ボクはずっと気にしてた。でも、とある事情から、ボクは二人がずっと一緒にいる理由を知ってしまう。そう、ボクが「さくらちゃん」になってしまうことによって……。って何それ!? どうゆう状況!? いやいや確かに男の子なら一度は夢見ることですケド! でも『魔女』とか『魔法』とかいったいナニ!? そしてこんなボクが、やらなければならないことって──? TSときいて高速で買ってきた、今月の電撃新刊の現代魔女っ娘モノ。 魔女っ娘の成長物語としてはいい出来だったと思います、でも自分が読みたかったのはこういうのじゃないんです……。学園舞台で女の子に憑依(もどき)というとてもおいしい設定なのに、全然胸躍りませんでした。多分原因は、憑依先のさくらの人間関係が希薄なこと。そのせいで、せっかく憑依しても、周りの反応もさくらの反応もいまいち面白みに欠けていました。 おまけに、後半は完全にエステルに焦点がいってしまって、「これ主人公男のままでも全然問題ないじゃん」という。自分の力を振るうことに臆病になっているエステルが思い悩む様やその成長を見守る過程がしつこいくらい丁寧に描かれているのはよかったですが、TS薄いがっかり感の方がはるかに上でした。 「TS+魔女っ娘」とは非常に相性が悪いので、もうちょっと情報集めてから手出すべきでした、失敗。 評価 ☆☆(4) |