5月13日(月) |
1年前くらいに感想短くする宣言した気がするんですが全然短くなっていないので、読書メーター+αくらいの短めバージョンの感想も載せることにしました。長期シリーズあたりをこの形式で書く予定。 <最近読んだ本> ◆ デ・コスタ家の優雅な獣4 (喜多 みどり/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 TLであと1巻で終わりということを先に知りました。綺麗に終わるのはいいことだけど寂しいです、ブラックシープもそうだったし……。そんな「デ・コスタ家」第4巻。 ダリオーーー!! ノアといつか決別するのは想定展開だったんですが、思った以上にダリオの役回りが辛かった。大胆な口説きをしてロージーをちょっと揺らがせてもノアの絶対ポジションは揺らがないし、プロポーズのタイミングはノアが強烈な楔を打ちつけていった後という最悪さですし。このタイミングだからこそOK出たとはいっても、5巻のダリオが想像するだに辛くてですね。仮に負け展開だとしても、ダリオが幸せである結末でありますように。 ノアはえぐい、というかずるいです。確信犯で気持ち向けさせるなんてずるすぎる。兄弟愛ない以上こういう行動に出るのに躊躇いないでしょうけど、ロージーを傷つけるのはひどい。そんなわけでダリオ派です。和解エンドは想像しづらいだけに、どうなることやら。鍵はエミリオですかね。エミリオ好きなので最終巻で活躍してほしいという気持ちもあります。 あとは気になるのはリカルドたちですが、ほっといても上手くやるでしょう。ロージーがどういう選択をするのか、納得がいくラストであることを願ってます。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 身代わり伯爵の失恋 (清家 未森/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 ミレーユがようやく暴走を反省したかと思ったら、反省したのは追いかけたことだけでしたという巻でした。いやそこは無茶をやめようよ! とツッコミいれたいですけど、ミレーユだから仕方ないですねはい。 ということで、ミレーユの暴走を止められないリヒャルトさんが悪いということになりました。ミレーユと付き合うには、「リヒャルトを守る」発言でミレーユの行動を察するくらいの先読み力が必要だと思うんです。鈍感なミレーユに気持ちを分からせる口説き力は目立ってきたので、あとは先読み力を。しかし口説き力強いですね、「反則」は良いものでした。 フレッドがやけにあっさりやられて、これ何か布石打ってるんじゃないかと思いつつ次巻へ。 評価 ☆☆☆★(7) |
5月10日(金) |
5月9日(木) |
<最近読んだ本> ◆ 柳うら屋奇々怪々譚 (篠原 景/廣済堂モノノケ文庫) 【amazon】 先月の新刊、遊郭が舞台の時代小説。先週までレーベルの存在すら知らなかったんですが(今年創刊のレーベルみたいです)、「時代物だけど少女小説読みが気に入りそうなところが色々とあるんですよ!」とお勧めを受け、あらすじもなかなか面白そうだったので読んでみました。 恋心の描き方が大変よいお話でした。 主人公は「柳うら屋」という名前の妓楼で働く遊女。ある日その妓楼で、一位の遊女が何者かに殺される事件が発生。それを機に主人公たちに不思議な能力が身について――、という始まり方をする物語。主役の霧野には人の過去が時折見えてしまう能力が備わり、過去が見えた人の想いを中心に話が展開していきます。 遊郭に関わる人の情念は、身勝手だなと感じるものもあり、切なく感じるものもあり、どれもままならないものばかり。遊女→客、客→遊女だけでなく、それ以外の情念も多く、そちらに印象的なものが多かったです。亮吉を求める生霊は恐ろしかったなあ。 遊女の日々の仕事を描いたシーンも多くて、少しくらい体調が悪くても仕事で好き勝手に扱われる辛さ、狂気をやどした客を相手にする怖さなど、心理描写が丁寧。将来行き着く先を想像し悟ってる様子などは結構ズシリときます。 そんな作品ですが、読んでてあまり重たく感じないのは、遊女仲間の存在が大きいです。泥々した関係ではなく、軽口を気軽に叩ける存在が2人もいるのは、この環境では貴重すぎ。不思議な能力の秘密を共有したり、ちょっとしたことでからかいあったり、楽しい日常に癒されます。少女小説読み的にお勧めポイントその1。 そして、少女小説読みにお勧めということで恋愛要素ももちろんあります、描かれるのは遊郭の料理人との恋。遊女と料理人ということで幸せな道はあまり見えないんですけども、それを承知で想い合う、ささやかだけれども深い恋心が良いものでした。 恒太が作った料理を何とか口に入れようと画策する霧野、そして大切に口に入れて喜びを感じる、この描写がなんともいじらしい。二人きりになっても心が少しだけ触れ合うだけで、でもその触れ合いの切なさが鮮烈。「もうとっくに、どうにかなっちまってるじゃないか」と呟く霧野が非常に印象的でした。 終わり方も良かった。心の支えとして描かれるのは儚いもので、遊女の行き着く先の暗さは完全にはぬぐえなくて、でも希望を信じるたくましさが心に残る。元気になれるラストでした。 読み終えてから振り返ると霧野の能力が話の展開に便利すぎかもと思ったりもしましたが、新人さん作品ですし、読んでいる間は全然気にならなかったので問題なし。レーベル全部がこういう作品ではないみたいですが、この路線でいくのであれば次回作も楽しみです。続きも読んでみたいです。 評価 ☆☆☆★(7) |
5月6日(月) |
<最近読んだ本> ◆ ブレイブレイド3 惨下の都 (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 ひねくれた主人公の割り切った生き方が清々しいファンタジー「ブレイブレイド」第3巻。 意外な人が意外な行動に出た巻でした、全く気づかなかった! 色んな出来事があった3巻ですが、一番の驚きはウィルの行動。全くといっていいほど疑ってなかったですよ、そんなキャラだったとはなあ。言われてみると確かに特殊なポジションではありますが、これは気付けない。ウィルがラスボスってことになるんでしょうか、目的の神様がまだ分かりませんが。 マキナがウィルにいった「貴方も、莫迦なのですね」はジンのこと大好きシンパシーが感じられていい台詞。ジンのあるがままの生き方が人と違う彼らを惹きつけたんでしょうか。 動きがあったメインキャラたちの中ではローズマリーがかっこよかった。自分がそうしたいから、人を助けたいから「勇者」であるんだ、ジンの妹だからそうするんだという吹っ切れ方が素敵。ジンと同じようにというところにお兄ちゃん大好きな気持ちが入っていて良かった。今回は過去エピソードあたりからも兄妹の仲の良さが伝わってきたし、おいしいシーン一杯でした。 そして吹っ切れたローズマリーさんマジ強い。キレ方も兄譲り。もしかして英雄さんも昔はこんなキレ方したんですかね。それはなんて恐ろしい。 ローズとジンの道は交わりそうにないですが、最終巻ではジンとちゃんと話せるといいな。寂しく「ばか」って言っちゃう子がそのままで終わってしまうのは寂しすぎるので。 メインキャラの中で一押しのエリスは、今回もいいポジション。無茶するジンに文句いいつつも、一番の友達・相棒的な存在として嬉しそうなのがかわいいです。そして、ジンに攻撃を向ける葛藤、そんなおいしいものをさくっと1ページで流してしまうなんてもったいない。このサラッと加減が良くもあるのですけど。 で、マキナにとられるなんて何ていうこと! 耳たぶ噛みきってしまえ! というのは冗談として、最後までジンの隣にいられればエリスは満足でしょうし、そうありますように。 3巻のゲストキャラたちはキャラ薄かったなあ。メインキャラが多すぎ濃すぎだから仕方ないのかな。ジャックはかなり思わせぶりだったのに。ゲストキャラといえばまさかのイルマの再登場。元気そうで何よりです。 さてあとは最終巻。Cノベは3〜4巻構成が多いですね、きっちり終わるのはいいことですけど寂しい。最後までジンのジンらしさを楽しめるといいです。 評価 ☆☆☆☆(8) |
5月3日(金) |
「wonder wonderful」の小話まとめ冊子の販売がはじまったようです。既読の方はみんな買うといいですし、未読の方は傑作なので本編買うといいと思います。 私は幸運にもプレゼント抽選に当たったので入手済。一気に読むのもったいなくて少しずつ読んでます。収録作の「私はあなたの」、ちょっと前にサイトで読んだばかりなのに、とてもじっくり読んでしまう。ザキくん! となります。いい話です。 <最近読んだ本> ◆ 2 (野崎 まど/メディアワークス文庫) 【amazon】 昨年の発売時に大変騒がれていて気になった作品。既刊5作全部読んでないと面白さを100%を味わえないと聞いて読み進め、ようやくここまで辿り着きました。ここまでの作品で、伏線張りつつ最後に爆弾投げてくる作風であることは理解していたので、見抜いてやろうという気持ちを当社比5割増しで抱いて臨みました。 清々しい完敗でした、面白かった! 凡庸な主人公が人気劇団の入団審査を受けるところからはじまるお話。この物語の最初の衝撃は最原さんの登場シーンでした。それまでに出てきた演技の才能を全部ちっぽけに見せてくれる圧倒的な狂気、そしてそれまでに出てきたキャラクターをバッサリと捨て去る豪快な展開。槍子さんをはじめ普通に物語を構成していけそうなキャラのポイ捨てにびっくりしました。後から思うと、ここでこんな驚き方してる時点でもう翻弄されてるわけですけども。 そこからはこれまでの作品からのオールスター登場。私はリンク知ってて読んだので再登場の衝撃はなかったですけども、発売当時はお面が現れたシーン衝撃だったんだろうなあ。しかも再登場キャラもあっさり出番なくなるキャラ多めという。鈴木さんマジ南無い。 話の展開自体は最原さん登場してからしばらくは大人しめに感じました、日常シーンのボケツッコミはさすがに慣れてきてましたし。なので再登場や進化論の薀蓄を楽しみながら、ばらまかれる伏線を見抜こうと読み進み。いつもより多少は見抜けたんですよ。空白の「」の中は子供だってことはすぐに察しましたし。でも、「観る人」はきっと特定の人なんだろうなと思いつつそこで止まったり。二見が出てきてないのはおかしいよなあ、等号? でも年齢とかおかしいよなあ、と思考停止したり。ここで止まるのが駄目なんです。くそう。 そして待ち受けていた「1」以降。「愛することだったんだ」ってどういうことなの、と疑問を抱かせてからの怒涛の展開は凄いとしかいえない。もう「1」の段階でかなりやられてましたからね。薀蓄を絡めた「創作とは何か」への切り込み、「2」の意味が分かって分かる最原さんの容赦のなさ、キャラすり替え、首。瞬間の衝撃は首が一番でしたね、その後すぐに彼女との関連気づけましたけども。ただし入れ替えまでは頭回ってない。考えが浅いです。 なので「2」の前半はうわあミスリードだと分かりつつ、その先は見えてない居心地の悪さ。からの、ドカンとくる後半。この全部が手の内感、恐ろしい。あとは魔法使いも同一、というのが個人的には一、二を争うくらいの驚き点でした、それは全然気づかなかった。 で、最後。最原さん怖いまじ怖い。なんですかそのスケール。最初さえも無駄にしないんですか。「創作とは何か」「愛とは何か」の結論がこれですか。アムリタから辿り着いた地点がここというのが空恐ろしい。最後の一文をそれで締めるのが、凄いものに辿り着いたという気持ちと怖さを同時に与えてくれました。 5冊を経ての物語にふさわしい面白さでした。ここで一区切りみたいですが、次作の「野崎まど劇場」も評判いいので楽しみです。 評価 ☆☆☆☆★(9) |
5月1日(水) |
<最近読んだ本> ◆ パーフェクトフレンド (野崎 まど/メディアワークス文庫) 【amazon】 「2」に至る道筋のラストは、小学生少女たちの友情話。 いい話だなー、で終わるわけないですよね全くもう! 天才少女と普通の小学生たちが友達になっていく物語。前半はまさしくこの字面通りのお話で、天才であるさなかの言動に大人びた理桜が振り回される様子が楽しい。さなかの鬼畜っぷりも理桜のツッコミも笑えます(若干やりすぎ感もありますけど。トムはかわいそうだよ!)。さなかが途中で提唱する「友人方程式」「友人定数」もそれらしくハッタリがきいているし、理桜が感じる気持ち悪さもうまく表現されていて、前半部分は珍しく普通の面白さでした。 中盤、不意打ちの事件で驚かせてくれる仕掛けも上手かった。いきなりガツンときて、さなかの思考が乱れる様子に説得力がありました。で、その後の魔法使いのトリックにも綺麗に騙されました。というか、ファンタジーを受け入れてトリックの存在すら疑わなかった私は騙される以前の問題。そういえばこのシリーズは純粋なファンタジーはなかったですね……。 それがラストであれですよ。一瞬綺麗に終わったと思ったらあれですよ。黒幕がいるまではいいとして、そこで貴方か! 微笑みが怖いわ! 何企んでるか怖いわ! 「2」で繋がるってことは他の作品も全部手の上まであるかもしれない? さすがにない? ともかく、「2」に行ってきます。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 身代わり伯爵と伝説の勇者 (清家 未森/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 身代わり伯爵の8冊目、シリーズ初の短編集。 主役が違う4篇、どれも安定して楽しかったです。 短編だとこのシリーズの大きな魅力である変わったキャラクターたちのコミカルさが全面に出てて、細かいこと気にせず楽しめていいなあと思いました。特にこの巻ではリディエンヌのインパクトが強烈で、4篇の中で一番良かったです。後宮入り発言がそこまでマジなものだったとはなあ、こんな面白い人だったとは。好感度が大分あがりました、終わりのジークいじめてる姿が素敵です。 そしてフレッドの気持ちの変遷が気になる巻でもありました。フレッドは今現在セシリアのことどう思ってるんでしょう? 今でも親愛のままなのか、少しくらいは恋愛に気持ち向いてるのか。本編の現状はほぼ親愛でもおかしくないんですよね。フレッドの感情がさっぱり見えません、セシリアへの態度は少し変わってきてても、これだけだと何とも。何か見落としてますかね、ちょっと確認したいところ。 あとは殿下が安定の南無さ。まあ自身でやらかしている部分もありますし、ミレーユに惚れた時点で自ら修羅の道を選んでるので、素直に笑って見てられます。とはいえ、本編ではなるべく早く諦めがつきますように。 評価 ☆☆☆★(7) |