1月31日(土) |
<最近読んだ本> ◆ 女装王子の深遠にして優雅なたくらみ (一石 月下/富士見L文庫) 【amazon】 ドンピシャでした、楽しかった! 今月の富士見L文庫の新人さん作品。楽しそうなので普通に期待していたところ、「t-snowさん好きそう」とお勧めされたので速攻で読みました。 タイトルのとおり、訳あって姫君として育てられた王子が主役、その王子が婿選びをすることになって〜、というお話。作品の傾向を一言で表すなら、王子変態だけど少女小説っぽい、となるでしょうか。 前半は、王子のお淑やかとは程遠い変態加減を笑って楽しむ雰囲気。レクトルに対する仕打ちは結構酷いし下品なことも言うし、客観的に見ると悪ノリしすぎな王子なんですけど、王子もしっぺ返しくらったりとうまくコミカルで中和されていて、嫌な気分にならずに楽しく読めました。レクトルは不憫ですけど。 ただ、この作品の真価は中盤以降です。少なくとも自分にとっては。少女小説の色が増して、転がって読みました、王子の動揺が大変良いものでした、良いものでした。ドンピシャでした、好み見抜かれてる。 以下はネタバレなので少し反転。 オレス=女性に気づいたのは水かぶったところでした。遅い、遅すぎる。でもその分、気づいたときの歓喜もひとしおでした、凄いテンション上がった。その後の展開、お互いの動揺は垂涎もの。ごちそうさまでした。 そりゃ女装と男装で正体知らないでドキドキなんて、ドンピシャで好みに決まってるでしょう。読書傾向知ってる人にはバレバレでした。 終盤はうまく転がりすぎな感はありますけど、そこはそういうものとして、ルイーゼの悪ノリを楽しむものだと思いますこれは。そういう意味では満足。 人を結構選ぶと思いますが、好きな人はとても好きだと思います。ウィングスが好きな人あたりは向くかも? ともあれL文庫を選んだ作者さんはGJだし、L文庫の評価がますます上がりました。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 浪漫邸へようこそ 初夏の嵐 (深山 くのえ/ルルル文庫) 【amazon】 深山さんがおくる大正浪漫の第2巻。1巻の感想を書き損ねてましたが、1巻もこの2巻も、主人公の紗子と好青年の伊織の穏やかで焦れったい恋模様が素敵な物語でした。 この2巻はとにかく伊織が格好良かった。完璧なヒーローとはこういう人を言うのだと思います。紳士的で優しくて、時に情熱的な台詞を紡いで、機転もきいて、紗子が危ないときには見事に救ってくれる。こんな人傍にいたら惚れますよそれは。 紗子の方も台詞や態度から伊織に対する気持ちが溢れでていて、でも身分差などなどの問題で気持ちが通じ合ってないのが凄く焦れったい。この焦れ焦れがいいんですけどね。写真館に向かうときの嬉しそうな2人、写真館を出た後の紗子の告白まがいの台詞、あたりがこの巻のお気に入りです。 1巻で仄めかされてた脇キャラの恋愛は、しの達が一気に進んで驚き。そんな情熱抱えてたんですね。1巻の頃からお似合いで好きなカップルです。次は弟のターンですね! あえて難を挙げるなら、悪者が明確すぎるところでしょうか。ほぼ毎話に嫌な人が登場して、最終的には解決するんですけど、ちょっとモヤっとするところもあるので、次巻ではそうじゃない日常的な話ももっと読みたいです。父親は多分そのうち出てきちゃうでしょうから、それ以外で。 評価 ☆☆☆★(7) |
1月24日(土) |
大好きなオンノベサイトBARROCO様で「女王の化粧師」の連載が再開しております。こちらの作品はどれも好きで何度か感想書いてますが、その中でも「女王の化粧師」は人物や設定がドンピシャで大好きなのです。ついこないだも再読してました(積みが増える要因)。以前の感想はこちら。 2部がはじまった今が読みはじめるチャンスですよ皆さん!! <最近読んだ本> ◆ おこぼれ姫と円卓の騎士 二人の軍師 (石田 リンネ/ビーズログ文庫) 【amazon】 おこぼれ姫最新刊は、軍師勧誘編。と見せかけたメルディ成長編でした。ゼノンのせいで諦観を抱いて生きてきたメルディが、才覚を発揮して少しずつ活き活きとしていくのが微笑ましくて面白かったです。ちょっとヒネていても根は素直な子なので、ゼノンに負けるな! という応援心をくすぐってくるんですよね。頑張っている感が伝わってきますし。あと、アストリッドとはほんといいコンビだと思います、能力的にも性格的にも。 ストーリー進行は中休み気味で恋愛面も進展少なめがちょっと残念でしたが、策での戦いや扉の謎など面白さたっぷり。結局軍師は決まらず、しばらくはレティの負担変わらずかな。早くメルディが成長して自信つけますように。 マティアスの事件はいつかくるとは思ってましたが、ここで切り込むんですね。物語全体が後半にきたかなという感じがしてきました。殺害方法は考えてもどうせ分からないので、問題は「誰がどうして」の部分。兄弟は犯人と思いたくないし、違うと思いますけど、じゃあ誰が、という候補が浮かばない。うーん。 引きはゼノンの手強そうな匂いがプンプン。メルディがレティの剣怪しむくらいだから、ゼノンはレティの秘密を見抜いてもおかしくない気がします(人となりを間近で見てますし)。少なくとも今後対面すると危険そう。「意外性」が通じなくなるわけですし。 事件の犯人+ゼノンが後半戦の敵でしょうか、この先も楽しみです。そろそろ兄様たちも見たいな。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ 人格転移の殺人 (西澤 保彦/講談社文庫) 【amazon】 長らく積んでいた西澤さんの入れ替わりミステリー。入れ替わり設定をうまく使ったロジカルなミステリーでなかなか面白かったです。 アメリカの地下に謎の入れ替わり装置があって、避難でそこに入った男女が入れ替わってしまい、というお話。面白さは入れ替わった後ですね、次々入れ替わりが発生する中で、誰が誰の身体で何をしていて誰が怪しいのか、主人公がロジカルに考えていくのが面白い。結構考えが抜けているので、自分なりに推理しながら読んでました。 タイトルにもある殺人部分がアッという間に終わってしまったのには結構衝撃を受けました、そこはメインじゃないとばかりにバッサバッサと。こういう見せ方もあるんだなー、と。 根幹のトリックは入れ替わりならではの視点で考えていたら、自分にしては珍しくあっさり見抜けたんですが、最初から最後までロジカルで筋が通っているので分かっていても楽しく読めました。オチがいいですね、ドクターすごい。 難を挙げるなら登場人物でしょうか、好きになれるキャラが全然いなかったので、入れ替わり起こるまでがちょっと辛かった。読みやすくはあったんですけど。 同じく積んでいる西澤さん他作品もそのうち。積み電子書籍に押されているので大分先かもしれませんが……。 評価 ☆☆☆(6) |