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 12月9日(日)

少年向け読むのに専念していたら大分開いてしまいました。何冊か感想書くつもりですが、今日は金星。


<最近読んだ本>


金星特急7 (嬉野 君/ウィングス文庫)amazon
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毎回毎回、読むのが本当に楽しみだった恋と冒険のファンタジーもとうとう最終巻。連載時にここここでがっつりと感想書いてますが、今回加筆が多かったので、加筆部分中心に改めて感想書いていこうと思います。語りたくなる箇所多いので、13話と最終話とキャラを分けて。

------第13話---------------------------------
まず目次見て感じたのが、「あれ13話の分量が最終話以上!?」という衝撃。連載時は最終話の方が倍くらいあったのに加筆どれだけ、と動揺しました。結局は分け方変えてたというオチだったんですけれど、いやー驚きました。

で、この13話はまずは加筆部分です、市街戦の加筆量すごい。連載時は絶望的な引きから一気に解決に向かった駆け足感が若干あったんですけれど、ここが加筆されて流れがしっかりしたなと思います。二鎖3人でも敵わない黒曜さん半端ない。錆丸の姿も加筆後の方がしっくりきました、逃げるだけじゃなくて知恵も使ってこそ錆丸。
そして加筆で伊織や黒曜の目的がよりはっきりしたのもよかったですね。伊織は本当にいい兄さんだなあ。過去の伊織が錆丸への愛情をどう育んだのか、ますます読んでみたくなりました。黒曜は不器用で、勝ち逃げのずるさがより実感できました。痒いところに手が届く加筆です。

もう一つの大きな加筆部分、追加イラスト。このイラストは叫びましたね、薄く描かれる幸せそうな2人と彗星の黒い絶望感の対比が、対比が! 転がりたいけど転がってる場合じゃないっていう。表情が辛い。この関係を彗星が見たらどうなるんだろう、とずっと不安だった部分を明確に絵にしてくれて、いいイラストだったと思います。

リオンの例のシーンは、連載のときは絶望でぶった切られて「ここで3ヶ月待たせるなんてちょっとリオン爆散しろ!」と叫んだものですが、連続してると多少和らぎますね。でも許せませんけどね。ここのユースタスは何度読んでも格好いいです、そして何度でも言います雷鳥様GJGJ。

あとは和みシーンが印象的でした、連載時にも書きましたけど、伊織と夏草の会話の四兄弟やっぱり好きだなあ。

------第14話---------------------------------
主な加筆部分であるエピローグについてはキャラ別で語るとして、本筋の錆丸と金星の物語に改めて胸うたれました。錆丸の過去が辛くて、幸せになって欲しくて、だから旅の終わりに用意された物語の切なさが果てしない。再読なのに泣きかけましたよ涙腺固いのに! 凄かったとしか言えません。
あとは連載時感想とかぶる点が多いのでそちらに譲ります。

------キャラ---------------------------------
こちらも連載時に一度書いてるので、改めて感じたことを中心に。
錆丸は、素晴らしい主人公でした。1巻の感想読み返すと「能天気」「人好きのする」といった言葉しかないのに、こんな成長して格好良くなって。強キャラばかりの中で物語を引っ張ってくれました。
あとがきによると錆丸メインの番外編はないようで、となると子供が生まれ変わりな線はやっぱりないのかな。好きな女の子と幸せになれないのは悲しいですけれど、家族がいて、兄弟もいて、間違いなく幸せではあるのだと思います。

砂鉄ユースタスは、やっぱりずっと離れてたんですね。2人の性格と彗星との別れを考えると自然かなと思います、特にユースタスは想いだけを抱いて生きていける人ですし。もしそんなことになってたら辛すぎですけど。
最後の場面は彗星が許したかというと少し違う気もしました、彼女の想いは許す許さないとは別の次元にあったと思うので。でも起こった現象は本物なのだから想いは昇華されたように見えるし、ユースタスの感じ方でもいいんだと思います。2人ともお幸せに。

三月は心の空虚や錆丸の甘さを肯定するシーンが加筆されてて、より一層好きなキャラに。三月をここまで好きになるとは登場時には全く思ってなかったし、一番意外でした。錆丸と出会えてよかったねよかったね。
兄弟生活をおくれる日はなかなか来ないんでしょうけど、射手座綿雲に譲って引退して近くに暮らす日がくるんだと信じてます。

金星堂の女の子たちは、エピローグで出番増えてて、その後が描かれるだけで印象大分変わりました。集めた金星には許されない恋の仲間を、以上の目的はなかったかもしれないけど、結果的に彗星以外はみんな良い方に向かって良かったなあ。
金星は物語の中では幸せになれたのかな。レジーさんならしてくれたと思ってます、せめて物語の中だけでは。

バドルおじさんは最終巻で株上げましたね、文句言いながらも射手座と綿雲の面倒見てるバドルの姿を想像するだけでニヤニヤできちゃいます。甥と姪が、なんてことになったらどんなに悩むのか心配でしたけど、ヤスミンの様子見てるとあまり心配いらないかな。

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予告されてたサプライズは画集。金星はイラストも砂鉄ユースタス中心にいい場面を何度も作ってくれたので、画集として読めるのも嬉しいです。アニメ化がきたら一番うれしかったですけど、まあ99%ないですしね……。

さてそろそろまとめ。1巻から最後まで、ほぼ中だるみすることなくずっと面白かったシリーズでした。2回に1回くらいは続きが気になる強烈な引きが待っていて、3ヶ月先が待ち遠しかったのもいい思い出。それもあって金星目的に本誌読む人が周囲に次第に増えていって、昔からウィングス好きな身としてちょっと嬉しくなることもあったり。素晴らしい物語をありがとうございました、次号からの番外編も楽しみにしてます。

評価 ☆☆☆☆☆(10)