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___4月29日(日)


【今日読んだ本】

空とタマ Autumn Sky,Spring Fly (鈴木 大輔/富士見ミステリー文庫)amazon



《あらすじ》
 7回目の家出先に選んだ廃倉庫で、少年・空はヘンな少女と出会う。上階に居座って姿を見せず、敵対心むき出しな少女……。なにかと空の行動に難癖つけてくる彼女を、空は「タマ」と名づけた。空とタマそして廃倉庫――。ふたりの未来を少しだけ変えることになる、一夜だけの戦争が始まる! 富士見ファンタジア文庫で大人気の『ご愁傷さま二ノ宮くん』の著者が描く、ほんのり甘く、ちょっぴり切ない物語を堪能して下さい!


 発売当初から気になってはいて、色んな賞でも好評なのを見てようやく手をだした、廃倉庫が舞台のハートフル(?)ストーリー。
 なるほど、これは面白い。主要登場人物は主人公の空とヒロインのタマの2人だけ、物語の舞台の8割以上は廃倉庫の中、と徹底した世界の狭さ。でも狭いだけあって、出会いが最悪だった2人が試行錯誤しつつ距離を詰めていく過程が凄く丁寧に描かれているのがよかったです。特に序盤の手探りの攻防が好きですね、声以外分からない状態から、説得・挑発・工作、はてには特攻と色々やる空が見てて楽しかった。
 ただ、前半に比べると後半はちょっといまいち。空とお父さんの話はじわっとくるいいものだったんですが、タマ側のネタがちょっと安易に思えてしまって。エピローグのアレは常套手段ですが、唐突に感じてしまい感動できませんでした、残念。
 またこの手の話が出たら読んでみたいですね。同著者の二ノ宮くんは……いいや。


評価 ☆☆☆(6)



___4月27日(金)


【今日読んだ本】

ダナーク魔法村はしあわせ日和 〜ドラゴンが出たぞ!〜 (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

表紙は公式で。

《あらすじ》
 魔女長アガードに突然呼び出しを受けたイズー。イヤな予感は的中し、暴走魔女のビーと一緒に、213年ぶりに出現したドラゴンを調べるという指令が下ったのだ! 大人気マジカル・コメディ!


 魔法が過去のものとなりつつある世界が舞台、魔法村に赴任した警察署長が主人公のほのぼのコメディ第3巻は、外界にドラゴンが現れて対処しにいくお話。

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 L・O・V・E! L・O・V・E!
 ⊂彡。

 2巻でビーのことを結構意識するようになったイズーですが、3巻では強力なライバルが登場。初対面なのにビーに偉く親しげに接する魔法使いの少年、そして彼を迷惑がらないどころか仲良さそうに話すビーに、イズーはとても不愉快な様子。そう嫉妬ですよ嫉妬、1巻であんなに堅物だったあのイズーが! いやー、人って変わるもんですね。でも、魔女長の道を行く覚悟を決めた時のビーの横顔にはイズーじゃなくても惚れますよ、普段がアレなだけに、たまに見せるかっこいい一面には痺れます。外に出て元気のないビーに対して一時は無力を実感し、魔法使いのセイから厳しい事実を突きつけられたりもしたイズーですが、彼ならばそのくらい跳ね返せるって信じてます。だって「えへっ」だけで言いたいことを読み取れるんですよ、これ以上お似合いなカップルがあるわけないじゃないですか。尻には敷かれますけどね。
 ちょっと浮いていると思っていたイズーの過去が、ここにきて本筋に絡んできたのも見事。つーかあの人がアレだとは想像の範囲外でした、やられた。この人がきっとラスボスになるんだろうなぁ。ドラゴン追っかけ、イズーやビーと彼とのやりとり、ドラゴンの正体など見所も多くて、ラブ抜きにしても面白かったです。
 エピローグ手前のオチと最後のオチも両方ほのぼのしててとてもよかったですね。前者の方には爆笑しました、そこでそうくるのは上手すぎです。後者は「ぎゅー」がかわいすぎですし、あーやっぱりこのシリーズいいなあ。8月くらいに出るらしい次巻が待ち遠しいです。


評価 ☆☆☆☆(8)


【今日購入したもの】
 流血女神伝 喪の女王6 (須賀 しのぶ/コバルト文庫)
 ダナーク魔法村はしあわせ日和 〜ドラゴンが出たぞ!〜 (響野 夏菜/コバルト文庫)
 ヤヌスの城 ―罪深き恋のさすらいびと― (天堂 ハルヒ/コバルト文庫)
 放課後あやかし姫 ―夢の中でも危機一髪!?― (足塚 鰯/コバルト文庫)
 学校の階段5 (櫂末 高彰/ファミ通文庫)
 吉永さん家のガーゴイル12 (田口 仙年堂/ファミ通文庫)
 世界で一番不思議なあの子 (森山 侑紀/講談社X文庫ホワイトハート)



___4月26日(木)

 ラノベの杜見たら、富士見がハードカバー戦略とるらしいですね。まあそのこと自体はいいんですが、

リグザリオ洗礼 レジェンド・オブ・レギオス 雨木シュウスケ

 レギオス読んでないんではっきり分からないけれど、あまりハードカバー向きとは思えないんですが……。レギオスせっかく売れてるからハードカバーで搾り取る気満々、に見えます、うーん。


【今日読んだ本】

黄色い目の魚 (佐藤 多佳子/新潮文庫)amazon



《あらすじ》
 海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて―。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。


 先日のメディエーターに続いて少女向け非ホモ本スレ推奨本、女の子と男の子の成長と恋を描いた青春小説。買ってから本屋大賞をとった人の作品だということに気づきました。普通逆ですよね。
 と何となく買ってそんな期待していたわけでもないんですが、いやいやどうして素晴らしかった! 主人公は、人と関わるのが嫌いで伯父さんのところだけが居場所のみのりと絵を描くのが好きな悟の2人、まず出会うまでの2人をそれぞれ描き、その後は視点が交互に入れ替わって進む構成になっています。で、まず特筆したいのが心理描写。産まれかけの恋や何となく逃げたい気持ちなどなど、言葉にしにくそうなものもある思春期の悩みや感情が、心にストレートに響いてきました。「からっぽのバスタブ」あたりの、理想郷や学校生活が少しずつ変わりゆく時の感情表現とか大好き、文章自体はかなり平易と言っていいのに、どうしてこんなに胸を揺さぶられるんだろう。
 もちろん心理描写だけではありません。恋愛と成長が不可分で、2人が惹かれあう中で成長していく物語もよかった。2人それぞれに特別な存在の大人がいるんですが、彼らの存在感がとても大きく、2人が成長していく過程の苦さがなかなかのもの。 特に心に残ったのはみのりサイド。みのりにとって通ちゃんの側がとても居心地がよいのがひしひしと伝わってきていただけに、成長と共に何時の間にかその場所に抱く気持ちが微妙に変わっていってしまったことには、悔しさとか悲しさとかが色々入り混じった気持ちを感じざるを得ませんでしたね。でもだからこそ、とても大切な場所から抜け出すことを決心したみのりの強さには惚れ惚れしましたし、その真っ直ぐさには、読んでいて「頑張ろう」という気持ちにさせられました。
 エピローグは心から「よかったー」と思える清々しい終わり方で、恋愛物としても文句なし。願わくば、あとがきにあるオールダーの物語も読めますように、過去や行く末が気になる人物が多すぎます。それだけ登場人物たちに惹かれたってことなんですが。
 これだけのものを書く人なので他作品にも手を出そうかと思うのですが、本屋大賞の上中下巻はちょっとハードルが高いなあ。とりあえず、どこぞの積んでいる人の感想待ちで。(とプレッシャーをかけてみる)


評価 ☆☆☆☆★(9)



___4月25日(水)

 久々にBookshelf更新、こまめに更新を(ry。


【今日読んだ本】

オペラ・カンタンテ 静寂の歌い手 (栗原 ちひろ/角川ビーンズ文庫)amazon



《あらすじ》
 人生は舞台だ―死に至る病を負った、薬師カナギの旅は続く。謎の詩人と、魔導師の少女ミリアンを道連れに、不死を、永遠を求める旅は続く。私怨から彼らを追う人々を巻き込み、物語は「不死の法を得た魔導師」の城へ。そこに待ち受けるのは、命を懸けた勝負と、詩人の正体…。歌い手よ、かくして第二の幕が上がる! ビーンズ小説大賞受賞者×THORES柴本による、宿命のロード・ノベル。


 なんだか新刊があちこちで評判いいのを見かけたので9ヶ月ぶりに崩すことにした、やや退廃的なファンタジー「オペラシリーズ」第2巻。
 元々つまらなくて積んでいたわけでもないし今巻もなかなかでした。1巻ではファンタジーっぽい雰囲気や設定諸々を主に楽しんでたんですが、2巻になってキャラクターも好きになってきましたね。狂言回しで厭世的な態度が見え隠れする詩人、とっても病弱、2人と出会って考え方が変わってきたカナギ、1巻の印象から比べると凄く2人に頼るようになったけれど、時折鋭いところをついたりする元暗殺者のミリアン、3人がいい具合に噛み合っててどのコンビのやり取りも面白いです。カナギ派かと思いきや詩人になつきまくっているミリアンがどっちとくっつくのかに注目(不純)。今のところそういう雰囲気はないんですが。あと、バシュラールが渋くいい味だしてますね、こういうしつこくて案外情が深いタイプは好きです。
 物語はまだまだキャラ紹介気味で地味でしたが、ラストで強烈なのがどーんときて、これから面白くなってきそうですね。というわけでamazonで既刊一気にポチっとな。ぴったり1500円なのがいかしてます。


評価 ☆☆☆(6)



___4月23日(月)

 先日の反省点。調査を入念にせずに断定口調で書いたこと。一応調べはして似たような事例も見て大丈夫だと判断したんですが、結果間違っていたわけで。今後気をつけます。ただあれはやっぱり戦術としては許せないし、100歩譲って乃枝個人の作戦としては認めても、チーム全体の戦略としてはなあ。どのみち自分みたいに勘違いする人もいそうだし、野球物としてはいまいちっていう評価は変わらず。


【今日読んだ本】

天空のアルカミレス4 カストラの虜囚 (三上 延/電撃文庫)amazon



《あらすじ》
 クランテリオンの拠点『城』への手がかりを探す拓也達の前に、グロスマンによる精神支配を受けた礼菜が帰ってきた。記憶を封印され、テリオンの刺客として荒れ狂う礼菜――だが礼菜とは戦えない拓也に打つ手はない。礼菜の矛先が自分にのみ向けられている事に気が付ついた日向子は、拓也を守るため、一人で礼菜を誘い出す作戦に出る。礼菜の追撃をかわしながら、日向子が向かったのは……。 一方、《災厄の絶星》ルスラン・ヴォルクの動向を探る深月は、恐るべき光景を目にする! いよいよクライマックス直前、風雲急を告げるシリーズ第4弾!


 よかったけどよくない!
 というわけでアルカミレスとテリオンとの戦いの中での三角関係を描いた「天空のアルカミレス」第4巻。前巻の時に脳裏をよぎった嫌な予感は杞憂に終わってとりあえず一安心。が、三角関係だったはずなのに、なんかほぼ完全に決着ついちゃってますよ! いないうちにとっちゃうなんてこの泥棒猫! 礼菜の立場と心境を考えると許しちゃいそうなのがまた……。この4巻で礼菜の事件時と今までの心境がよく分かって、礼菜の好感度がさらに上がっただけに辛いです。
 そしてそれよりもさらに問題なのが、なんか最終的に礼菜死にそうな予感がするんですよ。ルスランが何かやらかしそうだし、拓也と日向子がくっついた時に幸せに暮らす礼菜があまり想像できないので。だから、神様仏様三上様、礼菜大逆転お願いします。でもシャドウテイカーの時も駄目だったし、うーん。


評価 ☆☆☆★(7)



___4月21日(土)

 ミス1個突っ込みありがとうございますー。
 ついでに本文と☆との間隔がおかしかったことに気づく。いつからだこれ……。


【今日読んだ本】

BLACK BLOOD BROTHERS 7 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 王牙再臨― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)amazon



《あらすじ》
 ついに暴かれた九龍王の墓所。九龍王復活を目論むカーサたちは、この機を逃さず特区に攻撃をしかける。一方、『九龍の血統』の九兄弟、その八番目たるラウ・王の凶弾に倒れた陣内のもとに、セイが駆けつけるのだが!?


 吸血鬼と人間たちが繰りひろげる、戦い・友情・血の宿命その他色々と詰め込まれた物語「BBB」、ついに第2部完結。
 なんだこの熱さ、おかしいよこれ。圧倒的な絶望と育まれてきた一筋の希望、というのはDクラでもあった展開だけれど、あれよりも登場人物が増えて、その一人一人を見事に描ききったゆえに熱さが何倍にもなってます。どいつもこいつもかっこよすぎて脳汁がでまくり、特にカンパニーがね、もうね。回想シーンをはじめ色んな箇所でメーター振りきれました。あと、展開の容赦のなさもお見事。あとがき先に読んだのでアレがああなるのまでは予想ついてましたが、さらにアレまでああなるとは。さすがあざの耕平おそるべし。
 シリーズ途中であまり満点はつけたくないんですが、これ以上の盛り上がりは想像しにくいのでつけちゃいます。第3部でまた10がつけられますように。


評価 ☆☆☆☆☆(10)



海馬が耳から駆けてゆく4 ( 菅野 彰/ウィングス文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 ある時は日本の南端、波照間島へ。ある時は、常に様々な話題を提供する月夜野 亮とともにフランスへ。またある時は、ひそかに韓国・釜山へ……(文庫あとがき参照)。しかし、旅好きの著者の旅は、なぜかいつも波瀾に満ちあふれ……!? 爆笑必至!! 待望、人気エッセイ第四弾!!!


 「屋上の暇人ども」を書いているはずの菅野さんがおくる、波乱な日常を描いた爆笑エッセイ第4巻。
 今巻も面白かったです、4巻でもネタ切れないんだなあ、すごいなあ。言いたいことは、既刊の感
に全部書いてあるのでそちらで。ほんと、よく日常にこんなにネタが発生するなあと感心します。家族や友人もなかなかのネタ揃い、類は友を呼ぶんでしょうか、少しだけ憧れます。最近、角川文庫でもエッセイ出したみたいなのでそっちも読んでみますかね。
 ところで、「屋上の暇人ども」新刊が出たら積んでる続きを崩そうかと思って待っているんですが……。連載再開される気配すらないんですがマダー?


評価 ☆☆☆★(7)



___4月20日(金)


【今日読んだ本】

大正野球娘。 (神楽坂 淳/トクマ・ノベルズEdge)amazon

画像はamazonで。

《あらすじ》
 時は大正十四年、七月??洋食屋<すず川>の一人娘、小梅は東邦星華高等女学院に通う十四歳。良家の子女が通う学院で、仲良しの“お嬢”こと晶子が突然、「一緒に野球をしていただきたいの!」と。なんとなく頷いてしまった小梅だが、九人集まるのか、道具は何をどう使うのか、ルールはどんなものなのか、分からないことだらけで……。 野球で女子は男子に勝てるのか? 男尊女卑の世間に一泡吹かせたい、大正時代の乙女たちの奮闘物語!


 トクマEdgeの今月の新刊、変な物スキーなライトノベル読みの間で話題になりまくっていた、大正時代に野球をはじめる女の子たちの物語。自分は基本的に全レーベルチェックしているので当然マーク済でした。
 うわーうわー、なんという竜頭蛇尾、もったいないババァが出ちゃいますよこれ。前半〜中盤は文句なしに面白かったんです。殿方を見返すためにはじめる→人集め→障害を乗り越えつつ特訓、という流れはベタといえばベタなんですが、女学生に普通の特訓は無理とみて工夫された特訓手段が次々と出てきて飽きることがなかったし、一つの目標に向けてみんなで頑張っていくうちに仲良くなる、その雰囲気が凄く心地よかったです。主人公格の小梅だけでなく、メンバー一人一人の視点から頑張りや友情が伝わってくるのがいいんですよね。小梅は皆から大人気ですが、こういう庶民的で真っ直ぐな性格は女学校では受けそうだなー、と想像できるので素直に受け入れられましたし。まともな強化器具がこの時代に作れるのか、とか突っ込みいれたくなる個所もあるんですけれど、こういう話で突っ込みいれるのは野暮。恋愛要素もきっちり備えていて、女学生たちの友情+αという視点で見れば文句なしの良作でした。
 でも、タイトルにも含まれている「野球」の部分があまりにも……。とりあえず、野球の試合部分がたった10ページしかないっていうのが、いくら本題が次巻だからとはいえ舐めすぎ。いや、別に10ページでも結果が負けならまあ構わないんです。でも、これはない。バントを決めることの難しさが分かってんのかこんにゃろー、とか気になる箇所が一杯。中でも、以下の場面がひどい。珍しく引用してみます。

 同時に胡蝶が走る。盗塁だった。捕球した捕手があわてて二塁に送球しようとした。その瞬間に環がバットを振る。バットは捕手のミットにあたって球をはじきとばした。
 「打撃妨害!」
 乃枝が思い切り叫んだ。

 そ れ は 守 備 妨 害 だ 。  スポーツやる人間として道義的にどうなのかという問題もあるけれど、それ以前にルールがおかしい。打撃中に捕手が打者に触れたら確かに打撃妨害ですが、捕球した後にバット振ってミットからボール飛ばすのを、どうやったら打撃妨害だと思えるんでしょうか。少なくとも本文描写みる限り、これは捕手の送球の妨害で立派な守備妨害です。もし家で読んでいたら本投げ飛ばしていたかもしれません。著者はあまり野球知らないんじゃないかと疑りたくなります。 追記 これはごめんなさい。

21日昼追記
もしかしたら突っ込み入るかなーと思っていたらきてしまいました。ここにあるとおり、ミットに当てたのか故意かどうかで打撃妨害か守備妨害か決まるようです、まじか。勉強になりました、ありがとうございます。決めつけて書いたのは失礼しました。ただ、この本で「ミットがバットに当たると出塁できる」と当たり前のように書いているのはやっぱりどうかと。盗塁のケースですし、振ったの結構遅そうですし、おまけに故意ですしね。女の武器? ただずるいだけでしょう。

 というわけで野球物としては地雷でした。野球じゃなければよかったのに。夏に2巻発売らしいですけれど、野球部分がこんな調子なら見送りですね……。


評価 ☆☆★(5)



海の仙人 (絲山 秋子/新潮文庫)amazon



《あらすじ》
 宝くじに当った河野は会社を辞めて、碧い海が美しい敦賀に引越した。何もしないひっそりした生活。そこへ居候を志願する、役立たずの神様・ファンタジーが訪れて、奇妙な同居が始まる。孤独の殻にこもる河野には、二人の女性が想いを寄せていた。かりんはセックスレスの関係を受け容れ、元同僚の片桐は片想いを続けている。芥川賞作家が絶妙な語り口で描く、哀しく美しい孤独の三重奏。


 確か妹尾さんのところの感想を見て気になって買った、「ファンタジー」という名前のうさんくさい神様が出てくる現代文学。
 だめだー、よく分からない。「ファンタジー」という名前のおっさんの神様を出してくる発想、そのおっさんと普通の人々が交わすやりとりはなかなか面白いし、文学の割にはかなり読みやすくてスラスラ読めるのも○。でもそれだけなんですよね。全くと言っていいほど心を揺さぶられることがありませんでした。解説読んだら、あーそうだったのかと思わされることもありましたが、それ止まり。amazonレビュー見ても好評なのでこちらの問題なのでしょう。やっぱり純文学はよく分かりません。


評価 ☆☆★(5)


【今日購入したもの】
 BLACK BLOOD BROTHERS 7 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 王牙再臨― (あざの 耕平/富士見ファンタジア文庫)
 大正野球娘。 (神楽坂 淳/トクマ・ノベルズEdge)



___4月17日(火)


【今日読んだ本】

秋津島 斎なる神のしもべ (鷹野 祐希/GA文庫)amazon



《あらすじ》
 武芸一筋で奥手の少女・佐唯(さい)にも、秋人というボーイフレンドができた。  手を繋ぐことにすら慣れない彼女に、秋人はゆっくりと少しずつ二人の距離を縮めようと言ってくれる。しかし、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。佐唯に訪れた変異。それは、彼女の日常をすべて壊し、変えてしまうものだった。大切な人に裏切られ、愛する者を奪われたとき、少女は戦いを決意した! ジャパネスク伝奇ロマン開幕!


 今月の鷹野さんのもう1冊の新刊、武芸に秀でている以外は平凡な女の子が神々の争いに巻き込まれていく伝奇&バトル小説。

 騙された! 伝奇物かと思ってたら狂った幼女小説だった!

 いや立派に伝奇物なんですけれど、とりあえず上みたいに書いた方が販促になるかなと。実際幼女小説でもありますし。前半にとってもかわいらしい姿を見せていた幼女たちの、後半の豹変の仕方が物凄いです。人格が入れ替わったかと思う程狂っていて、ホラーと言ってもいいくらいの怖さ。このギャップは明らかに狙ってますね、伝奇を売れ線にしようと頑張ってるなあ。
 伝奇部分はなかなか凝ってます、日本神話についての知識はあまりない&他で読んだのも忘れてるので、単純に読み物としても面白かったですね。これだけ読むと天孫がただの非道にしか見えないんですが、実際のところはどうなんでしょう。物語は地祇側の陣容が全然見えてこず、まだまだ序章。佐唯の抱いた復讐の気持ちは当然なものですが、周りの人々を見て少し思い直した模様。これから斎にどう向かい合っていくのかが素直に楽しみです。
 ラブはあるのかなあ、候補は一人いますが、このハードな展開を見てるとあまり期待できないかも。本格的に話が動く次巻待ちですね。


評価 ☆☆☆(6)



___4月16日(月)


【今日読んだ本】

ぼくのご主人様!?4 (鷹野 祐希/富士見ミステリー文庫)amazon



《あらすじ》
 女の子は恋をするとキレイになると言うけれど……。ドタバタ♂♀入れ替わりラブコメ最新刊は、佐倉邸のメイドたちのきゃるるんな日常をたっぷり詰めこんでお届けです。近頃めっきり女らしさを増したと噂の吉香。それは主に胸──。ふくらみ続ける吉香の胸の秘密に、佐倉邸のパパラッチことメガネ娘メイド春生が迫る! 吉香、春生らメイドたちの日常ほか、無事もとの身体に戻り学生生活を謳歌する吉朗に降りかかる新たな試練など、シリーズ初の中編集!


2005年秋  えー伝奇の鷹野さんが富士ミスでメイド物って何だそりゃ!
2006年冬  2巻発売工エエェェ(;゚○゚)ェェエエ工
2006夏コミ 3巻発売工エエェェ(;゚○゚)ェェエエ工
2006冬コミ 4巻発売工エエェェ(;゚○゚)ェェエエ工
 と、とことん驚かされてきた「ぼくのご主人様」第4巻は、キャラのその後などを描いた短編&中編集。当初は同人誌として発売するつもりだったものを、編集にうっかり話したら拉致られたものらしいです。
 短編集といっても今までと雰囲気は全く変わらないので、今までの作品が好きな自分は普通に楽しめました。一番よかったのは一篇目の吉朗の文化祭の中編。メイドオタにメイドの実践的なスキルが加わったらどうなるかという話で、吉朗の変態っぷりが存分に発揮されていて笑えましたね。メイド喫茶がアレになるのはバレバレでしたが、分かっていても面白いものは面白い。変態認定されても麻琴がいれば問題ないですよね、二人ともお幸せに。しかし諒悟はひどすぎるなあ、千広があまり困ってないからいいものの、もう少し空気というものを……。過去の三篇は、春生の二篇がコミカルでよかったです、「作戦→失敗→作戦→失敗」モノ(そんなジャンルあるのか?)は楽しいなあ。
 さて、さすがに今度こそネタ切れでしょう。もう3回くらい同じこと言ってきた気がするのであまり自信もてませんが……。伝奇以外も面白いもの書くことが分かったし、また富士ミスで新シリーズ書いてほしいですね。


評価 ☆☆☆(6)