最近の読書(2023年末)

2023年12月31日(日)

あっという間に年末ですね。今年は謎解きとスイーツに寄っていた年でした。読書的には、「ほんため」の影響などもあり、ミステリやSFの流行り物を少々読むようになりました。

一瞬だけ更新ペースが上がりましたが、その後はまた低空飛行でした。もうじきサイト開設20年ですが、こんな具合に細々続けていく予定です。

●オンラインノベル

今周の予定は決まってる?

ループ物の新発明! タイトルも洒落ていて好き。

ループをしない少女の視点から描かれる物語で、短時間ループする少年に巻き込まれて1話ごとに記憶がリセットされるのが新鮮。記憶はなくてもSF等の知識は持っていて、それを話すことでループしている側の行動が変わって物語が動いていくのが面白いです。主人公がリセットを受け入れられる変わり者タイプで、ループする側は普通の少年なので、情報量の差があってもうまくバランス取れてます。

話が進んでいくと、高校生の少年少女の青春恋愛物の要素が出てくるのもポイント。ループを知っている唯一の存在ということで、かなり閉じた独特の関係なのにドキドキします。真山くん頑張れ。

かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~

前回の更新でも挙げましたが、最終章に突入する直前の今が旬。クリスマス前後の怒涛の情報開示が凄かった。相対的に凡人のままの主人公がどうやってタイトル回収をしてくれるか、来月の最終章が無茶苦茶楽しみ。毎日更新で叩きつけられる熱量のライブ感も魅力なので、更新を追って読んだ方が楽しいタイプの作品。

サイレント・ウィッチ(外伝)

これも何度か取り上げてますが、それくらい常に面白いんですよ。長編なのに、ほとんどの話で綺麗にオチや見所があって、更新毎の満足度が非常に高い。Web連載としても練られてるなあと思います。書籍のルイス学園編も面白かったし、このまま本編も順調に刊行されて外伝まで出てほしいところ。

TS衛生兵さんの成り上がり

自分の中での心を抉ってくるオンノベ第1位は、今作と「忘却聖女」が争ってます。TS要素はおまけ程度で、戦争での容赦ない展開がメイン、主要キャラがバタバタ倒れていきます。「どうしてそんなことするの?」と何度作者に言いたくなったことか。でも絶望をくぐりぬけていくストーリーテリングが面白いから読んでしまう。作者の術中です。ちょうど更新が再開されたので、またしばらくは怯える日々です。

●商業本

ウィザーズ・ブレインX 光の空

完結おめでとうございます!!!!!!! 文句なし、感無量な完結でした、発売当時から追っていてよかった。感想を書きそびれてしまったので、短編集出た際には。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身XII」

完結おめでとうございます!!!!!!!(その2) 連載当時からモンスターな作品だと思ってましたが、これだけの巻数を毎巻書下ろしたっぷりで重ねるとは脱帽です。最終巻の加筆、Web版ではスポットが当たらなかったそれぞれの別れが心に染みました、リヒャルダに涙。

レーエンデ国物語 喝采か沈黙か

これまでのレーエンデ3作の中では、この3巻が一番好き。多崎さん過去作の「煌夜祭」や「夢の上」は、想いの切なさ・鮮やかさやその繋がりが特に好きなんですが、その側面が一番色濃かったかなと。前巻の物語を劇として繋いでいくという構造がまず好みでしたし、この巻で描かれる兄弟間の葛藤や激情が心に刺さりました。  

煌夜祭」で多崎さんに魅せられた身としては、過去作品が再販されて再評価される流れが嬉しいです。煌夜祭の書き下ろし掌編が「そのキャラをそうやって見せてくれるの!?」という内容で素晴らしいので、他媒体で既読の方も是非。

最近の読書

2023年6月26日(月)

ウィザブレの感想を書いたら少しモチベ上がったので、短文感想で列挙します。

●オンラインノベル

かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~

オンノベの最近のお気に入り。主人公の覚悟・精神力の突き抜けっぷりが、これまで読んできた全物語の中でも有数。タイトルの通りどんどん相手がインフレしていく絶望に対し、精神力を最大の武器として打開していくのが面白い。他のキャラも負けない個性もっていて、やりとりも楽しいです。毎日更新の速さも嬉しい。

忘却聖女

読者を全力で殴りにきている物語。特にここしばらくの、感情を上げたり落としたりがきっつい。書籍版1巻の感想で『1話更新されるたびに情緒がかき乱されてます』と書いていたんですが、上には上がありましたね……。書籍版も今のところ順調に刊行されているので、ぜひここまで進んでほしい。

サイレント・ウィッチ(外伝)

本編より外伝が長くなった大人気ファンタジー。本編も好きですが、外伝はさらに好き。ただの後日譚ではなく、しっかりキャラクターの成長や人間関係の変化も描かれるので、実質第2の本編といっていいかも。アイクが好きです。

甘党男子はあまくない〜おとなりさんとのおかしな関係〜

両片思いでじれじれ、スイーツを添えて、というおいしいお話。自覚してからの甘さが良くて、こういう作品が日々更新されていると心がほっこりします。書籍化もめでたいですね、楽しみ。

全肯定奴隷少女(タイトル長いため副題)

今年になって完結。ネタみたいな設定を、綺麗で変わったボーイミーツガールに仕立てていて、特に終盤の対イーズアンや対奴隷少女ちゃんの展開は圧巻。この作品で泣かされるとは思いませんでした、完結してくれてよかった。

アラサーがVTuberになった話。

一時期増えたVtuberオンノベの中で1番好きな作品。読んだ人が後方腕組み勢になる話で、脱サラ報われてくれー、抱える深い闇をみんなで救ってくれー、と思いながら読んでます。書籍化は少し不安でしたが無茶苦茶人気あるようでよかった。

職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。

MMO物の中でも一風変わっていて好きなお話。主人公がゴーイングマイウェイで無双する話と見せかけて、掲示板での濃いプレイヤー達のたっぷりな描写を通して「きまくら。」というゲーム全体を描く話でもあるのが面白いです。主人公視点なんてものはゲームの一部でしかないのですよね。だからこそ全体に影響を与えるビビアさんの描写がまた映えるのです。

ウマ娘二次創作

一時期に比べると大分数は減りましたが、面白い作品はあるので読んでます。トレーナーが濃いキャラのもの、オリジナルウマ娘が出てくるもの、など色々ありますね。最近はテンプレオリシュホシノウィルムの物語がお気に入り。

●商業本

レーエンデ国物語

多崎礼さんの新作。多崎さんのファンタジーを大長編として読めるのが何より嬉しい。登場人物たちの描き方がいかにも多崎さんらしいです、特にトリスタンの生き様が愛しい。編集部の異例なほどの猛プッシュを見ると、2巻以降もこれ以上のクオリティが続きそうで楽しみ。

マヨナカキッチン収録中

森崎緩さんの新作。テレビ番組の制作が舞台で、時には無力感感じる描写もありつつも根っこは優しいお仕事小説の側面が面白かったです。個人的には、「キッチンバサミは万能」という話を最近耳にしたばかりだったので、時短料理の描写といったお料理小説の部分もタイムリーでした。森崎さんの恋模様描写も読みたいので、続いてほしいです。

セーデルホルムの魔女の家

古き良き少女小説をお好きな方々におすすめ。妖精の見える女の子とのハートフルなやりとり、その養父の軍人さんとの不器用なロマンスなど、素敵な要素が詰まってます。Web版は存在を知らなくて、電子書籍セールでふと目に留まって買ったので、当たりを引けてラッキー。

名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件

評判になっていたミステリー。評判通りの多重推理の見事さが面白かった。こういうロジカルなミステリは全然先を見抜けないんですが、時々読みたくなります。個人的には、動機やそれに関わる部分も気に入ったポイント。

自由研究には向かない殺人

こちらも評判作。現代海外の空気を混ぜ込んだ少女小説ミステリで、SNSも使って調査していくあたりが今風。明るく行動力のあるタイプの主人公が結構無茶もするので、時折ハラハラさせられつつ楽しく読めました。

三体X 観想之宙

三体のアナザーエピソード、というよりド派手な二次創作というべきかも。スケール大きくて面白いifでした、原作での希望に満ちた描写を逆手にとるあたりは、そこまでするかといった感じでしたが、確かにありえる筋ですしね。

(書籍感想)ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈下〉/三枝零一

2023年6月3日(土)

長年待ち続けた作品で、これが読みたかったんだと思えるものを、期待以上のクオリティで提示される。こんな幸せなことってないよね、と思える下巻でした。端的に言って最高。

完結巻も秋に読めるってほぼ確定しているのも素晴らしい。あと1巻なのか複数巻なのか分かりませんが、楽しみに待ちましょう。

以下、全力ネタバレ感想タイムです。

 

 

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