おこぼれ姫と円卓の騎士 新王の婚姻 / 石田リンネ

2017年7月22日(土)

おこぼれ姫と円卓の騎士 新王の婚姻 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 新王の婚姻
石田リンネ
ビーズログ文庫
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完結おつかれさまでした、素敵なシリーズでした!

終わっちゃったんだなあ……というのが読み終わって最初に浮かんだ気持ち。いつの間にか、少女小説で読んでいる唯一の長期シリーズになってしまっていたので、余計に寂しくなりました。最初から最後まで、レティが格好良くて素敵な物語だったと思います。感想は折りたたみで。

 

前半の進撃編は、クレイグがいい味出しすぎでした。熊との友情とは一体……。真顔で喋ってそうなクレイグに優しく答えるシェラン、思っていたより大物でした。熊の死因が言及されなかったのだけ不思議だったんですが、王立騎士団の連絡のどこかで隠されたのかな?

レティ側は、演出を見事に決めるレティに感心し、ゼノンの非道に憤り、レティが築いてきたものがまた顕現するのにグッとくる。中でも目を引いたのはメルディのストレートで力強い言葉。ここ数巻、毎回のようにメルディ好きって言ってるんですけど、やっぱり好きだなあ。

ただ、ここまではある意味予定通りとも言える進撃。正直言うと、前半までは「面白いけど盛り上がりは前巻がピークだったかも」と思ったりもしていました。

そうしたら、本番は戦いが終わってからでした。なるほど、こんな風に清算をすることになるんですね……。フリーとヘルムの決断が辛い。これまでを壊して新たな関係を示すレティは、痛々しさもあったけれど凛々しかった。斬るシーンは、止めるだろうと思いつつも本気を感じました。

そしてエピローグ。一転して可愛いレティが! ちょっとキスが可愛すぎた。結婚相手はさすがに種明かし前には察しました。そして愛人王(メルディが犯人かー!)で綺麗な着地。カラーイラストの演出良かった! あとがき先に読んだりパラパラめくったりせずに驚けてよかったです。ノーザルツ公の顔にちょっと笑いました。この人のツンも最後までよかったなあ。

 

エピローグ後に触れる前にちょっと書き残し、ゼノンについて。どう決着をつけるのか、数巻ずっと気になっていました。思っていたよりもずっとあっさりで、最初あれっ?となったんですけど、フリートヘルムとの会話を読んで腑に落ちました。人の心を分からない敵という立ち位置はとっくに描かれている以上、これ以上描かれるべきことがなかったんですね。メルディとの決着もバッサリ、フリートヘルムの一言がとても痛快。解放されたメルディ良かった! シリーズ後半の裏主人公でしたね!

思えば、レティの剣も、味方が増えていくにつれて使われる頻度が減っていったんですよね。この巻では演出や落下の救出など、なくても何とかなってそうなところが出番でしたし。人に頼れるようになったレティが、人としてゼノンを圧倒する物語だったんだなあと、振り返って実感しました。

同じ理由で、賑やかな空間をもう一度見たかった王の間も、レティに必要なくなったから頻度が減っていったんですよね。それなら仕方ない。最後の王の間の、最後の一文が好きです。

 

で、戻りまして、エピローグ後は、なんといっても回想イラスト。ここでそれはずるい。とてもずるい。読者の多くがこういうラストになったらいいな、でも難しそうだなと思っていた夢物語にたどり着いたのがお見事。きっと何十年か先にはもっと落ち着いた関係になったと信じてます。

騎士たちの気になる描写も色々ありつつ(アイリーチェの騎士of騎士に噴きました)、最後は甘く。レティかわいかった!(二度目) ほしいものを全て手に入れたおこぼれ姫の道のり、格好いい物語でした。番外編はなさそうだから、あとは小冊子かな。何が読めるか楽しみです。(追記)と書いてたら、読メを見てみると番外編の可能性ありそう? なら読みたい!

 

 

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