あの旅の日々が蘇りました、凄かった。
100号企画の中でも目玉の後日譚。胸が躍る旅、活き活きとした登場人物たち、心の琴線に響く言葉。ページをめくるスピードが他作品の半分以下になるくらいの密度の濃さ。連載当時、発売日に夢中になって読んだ、懐かしき日々が確かにここにありました。
金星特急好きな人は是非とも全員読むべき、これを読み逃したら後悔すると思います。
以下ネタバレ感想です。
3回くらい死にました。いやもっとか。
もう雷鳥様のあたりで、これは死ねるしこの先もやばいと感じたんですけど、三月と夏草に胸を撃ち抜かれて、ユースタスと砂鉄で語彙が死滅しました。
まず冒頭、桜の成長っぷりに月日の流れを感じました。確かに花はいかにも盲点になりそうなアイテム。追いかけていく旅だと分かり、この先の展開にワクワク。旅装のスーツにはちょっと驚き。何でだろうと思って読んでいたけれど、墓参りのため? 伏線何か忘れてますかね……。
伊織の登場、今回唯一の癒し枠。相変わらずのトラブルメーカーっぷりとどうにか回避しようとする錆丸に笑い、行ってきますの挨拶に和む。兄弟仲が変わらず良さそうでほっこりしました。
月氏訪問編。到着前のやりとりに、ああ月氏ってこんなところだったなあという懐かしさ。鎖様とのやりとりはお互いさすが、腹を探り合いながらの確かな信頼関係が良いものです。鎖様は桜の絵を見てどう感じたんだろうなあ、想像するためにちょっと本編読み返したい。
雷鳥様がまじ雷鳥様! 何も言わずにスッと産んで戻ってくるのが、とても雷鳥様らしい。無名が子育てに苦戦しているのも無名らしくてほのぼのな風景。錆丸が父親らしさをこれでもかと見せてくれてましたね、特に赤鎖への頼み方が凄かった、「無名のため」への誘導がプロの所業。
そして錆丸が語る雷鳥様の心。ここでまず死にますよね、大家族!! 錆丸の想像ですけど、きっと本当だろうと思える。特に無名の子だから、というのは絶対でしょうし。外伝をパラパラと読み返したら、無名への信頼を経て、家族をという思いに至るのも分かる気がします。そこに至るまでの雷鳥様の心の変化も想像したくて、やっぱり本編を読み返したくなる。この後きっと、無名は知ったことが言動に表れて、雷鳥様はそれを察するけど何も言わずにフッと笑って賑やかな家族の暮らしを楽しむ、そんな未来を想像しました。
とんでもなかった三月夏草パート。旅立ちの時点でユースタス達にとられてショックを受けてるんだろうとは察しましたが、経緯を読んで、自分たちの発案で役目奪われたら落ち込むよね……と納得。日本社会でユースタスに勝てないのはもう仕方ない。で、錆丸の作戦がこれまた上手い。その後の大爆笑発言も含めて、さすが錆丸(この旅何度目かの感想)。
夏草の故郷訪問、ついに見つけたんだ……! という想いでまずグッときて、三月の表情に撃ち抜かれる。え、これ三月好きな人(自分含む)みんな死ぬでしょ? 夏草の提案聞いたときの三月の反応見て死んで、作戦まで考えてた夏草の想いに触れて死んで、菜の花畑でオーバーキル。諦めきっていた寂しさから、希望に触れたときの心情、どれ程のものかとても想像はできないけれど、胸が苦しいし泣ける。表現するには語彙が圧倒的に足りない。良かった。良かった。
グラナダ編。アルハンブラ宮殿まで聖地訪問しに旅行しにいったのを久々に思い出しました。もう3年も前になるんですね、懐かしい。閑話休題、まずは「やんねえよ!」。大人気ないというより、何がなんだろうと絶対譲らないという愛情の深さと独占欲に殴られる。ああ、これが砂鉄だよなあ。
旅の話題。拾い方が細かい! アンリとかかなり記憶が薄いあたりまでその後を見せてくれるのが丁寧で素晴らしい。本編再読したい。
結婚式ーーーーー!!! ドレスーー! 桜と嬉野先生ありがとうございます。ドレスが着たいと思えたユースタス、良かったね……。
その後の、ユースタスを後押しする錆丸、こことても好き。旅の最初から2人を見ていた錆丸だから伝わる言葉だと思う。魔法で優しく伝えるのも素敵。
誓いの言葉。うん、ユースタスと砂鉄だ。最高。
旅の終わり、物語の着地。美しすぎるでしょう。物語を聞いた桜がどう感じ、どう育っていくのか、未来へと思いを馳せる終わり。
語彙が足りない垂れ流し感想ですが、駄目ですこれはまとまらない。後日譚でこんなに揺さぶってくる嬉野さんが鬼。素敵な再会をありがとうございました!