女王の化粧師、書籍化おめでとうございます!!!!
本当に大好きな物語なので、この度の書籍化は嬉しいことこの上ないです。
本記事は、みんな書籍買って読みましょう、Web版も読みましょう! というプッシュです。
この記事読むよりも本文読んだ方が断然面白さが伝わるので、「いますぐ作者様のサイト、なろう、カクヨムにどうぞ!」で終わってもいいのですが、この素敵な物語を読まずにいる人を減らすため、少しでも背中を後押ししたいのです。読んで、そして一緒にお勧め勢になりましょう。
それではネタバレなるべく伏せつつ、魅力的なポイントを挙げていきます。
1.骨太のストーリーが面白い!
花街の化粧師であるダイが女王候補に喚ばれるところから始まるこの物語、色々な見所があるのですが、まずはストーリーから。一介の民であったダイが、慣れない環境に苦労したり事件に巻き込まれたりしながら、国の大きな流れに深く携わっていくストーリーは、大河ロマン的な面白さがあってそれ自体が読み応えあります。世界観もかなり練りこまれていて、物語が進むにつれ何気なく語られていたことの背景が明らかになり、そこまで考えられているのかと唸ることが幾度もありました。
その物語の主役であるダイは化粧の腕を除くと非力な一般人なんですが、そんなダイを魅力的な主人公たらしめているのが化粧師としての意志の強さだと思います。化粧師であることに対して矜持を持っていて、それを覆そうとする圧力に対してはどんなに危険でも意志を曲げない。その姿勢や技術が周囲に影響を与えていく様子が実に格好良いのです。例えば序幕の3章終わりで、周囲の人間に対して切る啖呵がとても好きです(このシーンはおそらく1巻にも入るはず)。芯の通った主人公の少女小説が好きな方にはきっと刺さるはずです。
またダイ以外にも、自分の仕事や使命に対して真摯にあろうとする登場人物が多く、それが登場人物たちや物語をより好ましいものにしているのです。
あと特筆しておきたいのが、情報の隠し方・見せ方の見事さ。上でも少し触れましたが、伏せられていた事実が明かされ、これまでの風景が塗り替えられる様に何度驚かされて叫んだことか。そういった物語体験の面白さも味わえます。
2. ときめくロマンス!
少女小説なのでもちろんロマンスもあります、それも極上のロマンスです。作者様が言われているように序盤は甘さ控えめでも、ちゃんと甘くなります。
どうときめくかを語ろうとするとネタバレになってしまうのですが、一つ言えるのは、登場人物たちの生き方が恋をとても切ないものにしているのだと思います。上で述べたように、自身の仕事や使命を大切にして生きているので、その在り方を曲げるような行動はなかなか選べない。狂おしい想いはあっても、それを押し殺したり切り捨てたりしようとする。その手の切ないロマンスが好きな方には、この物語はツボだと思います(実体験済)。
もう一つはっきり言えるのは、序幕を読み終わった時点で、この物語を最後まで見届けなければと強く思うはずです。数多く読んできた物語の中でも、女王の序幕の幕引きは鮮烈に心に焼きついています。これから読む方、序幕を読み終えたら止まらなくなるのでお気をつけください。
3. 主従の関係が尊い
とても大事なポイント。「女王の化粧師」というタイトルのとおり、本作は主従の物語でもあります。
「私に出来ることはただひとつ、貴女を、貴女が望むように美しくすること」
そんな言葉から始まるダイとマリアージュ様の関係。理解者が誰もおらず孤独だったマリアージュ様にとって、現れたダイが投げかけるダイの言葉は、間違いなく転機。女王らしさとは何か、どう在るべきかをひたすら悩み変わっていくマリアージュ様の姿は、主人公だと思えるくらいに胸を熱くさせてくれて、「女王になってほしい、彼女が作る国の物語を見たい」、そんな想いを抱かせられます。序幕の5章引きのマリアージュ様、既読の方みんな好きだと思います、自分も大好きです。
ダイにとっても、自身の存在を望く強く望んでくれて、また同年代の近しい理解者として、時には友人のようでもあるマリアージュ様は大切な存在で。その関係はとても尊く、無二と呼べるくらいの絆の強さで、この物語はこのタイトルでないとと思わせてくれるのです。
4. お仕事描写や登場人物の魅力
お化粧シーンの描写が凄いんです。自分は化粧についてド素人ですが、それでも光景が浮かぶほど、顔が作り上げられていく過程の描写が丁寧。「貴方の化粧には力がある」という言葉に強い説得力がありますし、単なる仕事描写ではなく物語の一部になっていて魅せられます。
ダイに限らず、登場人物の生き方が魅力的というのは上にも書きました。女王候補や家を支える臣下をはじめ様々なキャラがいますが、自分の一押しはダダンです。いわゆる情報屋なんですけれど、経験に裏打ちされた行動力や洞察力、それでいて情が厚く苦労性気質、どこか影があるところ、など全部が好き。ダダンが登場するだけで小躍りするくらいです。そう、ダダンが大好きなんですよ!(既読の読者の皆さんには伝わる叫び) この気持ちを分かち合える人がもっと増えてほしい。
面白さの1割も伝えられていない気がします。是非Web版を最新話まで読んで書籍版も買って、一緒に続きを待ちわびる同志となりましょう。