感想」カテゴリーアーカイブ

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス / 中村やにお,F.E.A.R.

2016年10月16日(日)

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス2 微笑むキミに会いたい<ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス> (富士見ドラゴンブック)ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス2  微笑むキミに会いたい
中村 やにお,F.E.A.R.
富士見ドラゴンブック
amazon

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス 3 1秒でも長くキミといよう (富士見ドラゴンブック) ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス3  1秒でも長くキミといよう
中村 やにお,F.E.A.R.
富士見ドラゴンブック
amazon

リプレイという媒体の凄さを感じました!

ループをテーマにしたリプレイシリーズ。評判も良かったので、リプレイ好きとしてホイホイされていました。1巻はそこまで刺さらなかったので、2巻以降はしばらく積んでいたのですが、読んだら面白かったです。

リプレイって、プレイヤー達の動きで物語が想像以上のものになっていくのが魅力の1つなのですが、この作品は特にそれが見事でした。各プレイヤーが自分だけの秘密をもってプレイすることで、プレイヤー同士も予想つかなくなっていることがまず理由の1つ。「過去をやりなおせるかもしれない」という選択肢のおかげで、大きな悩みが産まれ、各キャラの想いや決断が映えるのが1つ。そして最後に、プレイヤーさん達のキャラへの理解度・シンクロ率がとても高いこと。ベテランプレイヤーさんだけでなく、紅とアンゼリカのダブルヒロインも120%で没入していたように思えます。

特に3巻の後半、紅とアンゼリカの想いのぶつかり合いが本当に凄かった。何も示し合わせず、相手がその場にいなかったのに、お互いを想って対照的な願いを抱くんですよ。これだけでも奇跡的なのに、その願いが真っ向からぶつかり合って、世界を救うか大切な人を救うかの問題に答えを出そうとする。溢れ出る涙、なんて痺れる展開。リプレイは数えるほどしか読んでませんが、これは普通の小説では味わえない面白さだし、リプレイ史上に残るんじゃないかなと思います。見開きのタイトルロゴも抜群のタイミングでした。

リプレイ特有の、ストーリーが始まる前や合間合間の笑える会話も、なかなか切れていました。有世さん、どんだけネタ振りまくんですか。なぜか仲間のためにきびだんごを買ったり、シリアスシーンで大仏のお面かぶったり、他にももう色々とおかしい。これだから公共の場でリプレイ迂闊に読めないんですよ! 噴き出すんですよ! なんという天然。こんな人がシリアスシーンでは惹きつけられるやり取りするから、リプレイって凄い。

そんなわけで、何年ぶりかに読むリプレイシリーズでしたが、読んでよかったです。また面白いリプレイがアンテナに引っかかったら読みます。

幽霊伯爵の花嫁 恋する娘と真夏の夜の悪夢 / 宮野美嘉

2016年10月1日(土)

幽霊伯爵の花嫁8 ~恋する娘と真夏の夜の悪夢~ (ルルル文庫)幽霊伯爵の花嫁 恋する娘と真夏の夜の悪夢
宮野美嘉
ルルル文庫
amazon

変わらないサアラの姿が見れて楽しかったです。

まさかの幽霊伯爵シリーズ完全新刊。レディマリアーヌと一緒に発表されたとき、「これ功労者に最後のご祝儀的なやつでは……」とビクビクしていたら、案の定のルルル文庫終了のお知らせ。しばらく前から危ないかもとは思ってましたが……。作家さん方が無事に他に移れますように。

それはさておいて本の感想を。間が空いても、サアラのサアラらしさ、信念や言動が当時のままで、懐かしい気持ちになりました。諦めずに、なせることは全てやるという強さを当たり前のように体現しているサアラの姿は、やっぱり格好いいし見ていて気持ちいいです。ドイルをスパっと切るのが痛快。ジェイク様への愛情表現も、普通じゃない言動なのにしっかり甘いのが楽しい。

ジェイク様はこんな面倒くさい人だったっけ? と最初思いましたが、そういえば元々こうだったような。何度かグーパンしたくなりました。サアラは大丈夫でしたが、エリオスはよく頑張ってたと思います……。多分今後は少しはマシにはなるんでしょう、少しは。他のキャラクターだとアシェリーゼ様が見れたのも嬉しかったです、シリーズ一番のかわいさはそのままでしたね。

一捻り効かせたミステリ要素もやっぱりありました。綺麗に騙された後に「そうそう、このシリーズはこういう捻りあったよね!」と思い出してました。もう少し早く思い出していれば騙されなかったかも? いや騙されたかな。悲しい結末でしたが、いい捻りでした。

ルルルではこれで最後かもしれませんが、どこかで次回作が見れますように。