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このラノ2026に投票しました

2025年9月28日(日)

毎年投票してても履歴残してませんでしたが、感想書いておきたいなと思う作品がいくつかあったので、備忘録がてら久々更新です。

Unnamed Memory -after the end- (古宮九時/電撃の新文芸)

まずはなんといってもアンメモ。after the endも佳境で、長い時を経ての想いや覚悟があまりに切なくしんどい。刊行範囲だとラヴィニアに思いっきり泣かされて、Aeternaは何度読んでも号泣。残るは未知の領域、二人の結末を見届けます。

忘却聖女 (守野伊音/SQEXノベル)

胸にぶっ刺さる、愛と執念の物語でした。守野さんヒロインは感情が壊れていることが多く、マリヴェルはまさに典型なんですが、その壊れたいびつさを燃やし尽くす熱情が改めて振り返っても物凄かった。     コメディとシリアスの反復横跳びで感情をとことん揺さぶられたのも印象深く、これは守野さんにしか書けない物語だなあと思います。

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと (依空まつり/カドカワBOOKS)

これもここ数年の推し。本編完結巻でのモニカの成長描写や伏線回収の気持ちよさは最高。アニメも良い出来で、2期以降も期待しちゃいます。そして外伝刊行も始まりました、めでたい! 外伝のアイクの物語は本編以上に好きなので、そこまで刊行してくださいお願いします。 
依空さん作品は連載中の白翼のハルピュイアも推しです、学園群像劇好きな人には特にお勧め。

筺底のエルピス (オキシタケヒコ/ガガガ文庫)

久々刊行だったので1巻から全部再読したら、面白すぎてびっくりしました、再読なのに。絶望を何度も乗り越える熱さに、その裏にある物語の壮大さと緻密さ、キャラクター配置も絶妙で、SFライトノベルの最高峰と言っていいのではないでしょうか。
8巻は最終巻に向けた準備かと思ったら、前哨戦で既に仕掛けたっぷりの二転三転で滾りました、そんな作戦とは。脇役も零さず拾ってくれるのも好きなところ、ヒルデの活躍が無茶苦茶光る。最終巻はきっと傑作、楽しみです。

かくして少年は迷宮を駆ける (あかのまに/MFブックス)

続きも出てほしい最近の書籍化作品その1。
主人公の覚悟・精神力や物語の熱量が魅力的なお話で、先に進むごとに絶望がインフレして面白さも増すので、順調に刊行進んでて嬉しい。3巻のラスト編好きなんですよね、リーネ登場でイカれ度合が増して、描かれる地獄も強烈で。……なんか文字列だけ見ると酷いですが面白いんです! 絶望が濃いほど、跳ねのける姿は眩しいんです。

7 Knights To Die (道造/ファミ通文庫)

続きも出てほしい最近の書籍化作品その2。まずタイトルがオシャレで好き。
令嬢の婚約破棄物語はたくさんありますが、その令嬢の名誉を守るための決闘裁判がメインの硬派な物語なのが珍しく面白い。それぞれの理由があって集まった騎士たちがどういう誇りを抱いて参加し戦うのか、その描写が格好良いんです。特に黒騎士ヨルダンの不器用な生き方は心を熱くさせてくれました。一人一人の背景が全然違っていて、7人の騎士の「死」がどのように描かれるのかがとても気になります。

稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる (酉柄レイム/オーバーラップノベルス)

続きも出てほしい最近の書籍化作品その3。
なんといっても主人公のニコがこの作品の魅力。コミュ障がVtuberというなかなか無茶な設定なところに、元気な幽霊少女を相方に据えたのが見事な配置で、愉快な掛け合いが四六時中起きるのが強い。コミュ障ゆえの暴走・ボケからツッコミの流れにはテンプレめいた面白さがあります。コミュ障いじりって下手すると嫌な気分になりそうですが、ニコの明るさや人の良さのおかげで、全然そんなことなく気持ちよく読めました。空気を読まない言葉の真っすぐさが、時に笑えて時に素敵。

周囲のキャラクターの個性も皆強くて、軽くファンタジー入ったVtuber物として楽しく読めました。VTuberジャンルだとこれとアラサーVが今のお気に入り。

たぶん悪役貴族の俺が、天寿をまっとうするためにできること (嶋野夕陽/KADOKAWA)

続きも出てほしい最近の書籍化作品その4。枠が足りません。
設定はよくある悪役転生で、チートのような派手さはないんですけれど、主人公のルーサーの人間らしい生き方が気に入ってます。家族や仲間を大切にする、起こるかも分からない有事のために努力を重ねる、といった一挙一動はそんな特別なものではないんですが、全体的な姿に真摯さが見えて、見届けて応援したい気持ちが産まれます。著者の嶋野さん作品は他のWeb連載もどれも気に入ってるので、キャラクター描写が合うのかもしれません。  

長靴をはいた侍女 (霧島まるは/e-ブラン)

リスト外だけどどうしても入れたかった枠その1。bookwalkerでもラノベカテゴリなので、おそらく新規レーベルのリスト漏れ。
雨の日が舞台の、手紙を運ぶ少女と執事のかわいらしいロマンス。Webの頃も好きだったので、まさかの書籍化で嬉しかったです。「雨の日のみ手紙を届ける」という1つの軸だけで、ここまで気持ちを温かくしてくれるのが凄い、言葉選びが素敵。そして書き下ろしのボリュームたっぷりの後日譚が、本編の空気感を維持しながら糖度増していてとても良いもので、さらに大好きになりました。

成り代わり令嬢のループライン (古宮九時/角川文庫)

リスト外だけどどうしても入れたかった枠その2。角川文庫ですけどカクヨム連載だし内容もライトノベルカテゴリなので! 
意思を武器に歩んでいく芯の強い女性主人公の物語で、昔も今もずっとこの手の物語が大好きです。で、ループラインはその点に加えて、ループやRTAといった好みの要素が加わって面白さが倍増。ループの中での咲良のたくましさや行動力が見ていて爽快でしたし、ユールへの想いの描き方も好き。やっぱりループとロマンスは相性がいいですね。

今年の読書 (2024年末)

2024年12月24日(火)

ご無沙汰してます、生存報告と年末挨拶と読書感想のごった煮記事です。

今年はUnnamed Memoryのアニメ化が最高でしたね!! 一幕ラストは何百何千と読んできたWeb小説の中でも上位で読み返しているくらいに刺さっているので、120%のクオリティで描いてくれたのに五体投地で感謝。2期もありがとうございます、2幕まであってこそのUMなので年明けが楽しみです。

他にも好きなWeb小説のメディア展開が目立ってきてホクホクしてます。今気になっているのは死にプロのアニメ化があるかどうか。人気的にはありえる気がして、とても見たい気持ちと、尺足りないよなあ……という気持ちが入り交じり。まあ当面はコミカライズの最初のクライマックスを待ちます。

で、いつもの読書感想記事です。今年は推しWeb小説の完結が多かったので、満足感と寂しさが入り交じり。Webで読むもの減ったので、来年こそは商業本と紙本の積みを減らしたいなという気持ちです。2桁後半くらいは今年も読んでいるんですけど、なんか増えてるんですよね……。

●オンラインノベル

忘却聖女

祝完結、そして書籍版も無事最後まで刊行されました、良かった!!
コメディとシリアスの転調がものすごい守野さん節の真骨頂を見せてもらいました。叩きつけられる絶望や剛速球で飛び交う想いに感情をボロボロにされましたが、間違いなく心に残る物語となりました。書籍あとがきで守野さんが「人の執念の物語」と述べてましたが、全く同じ印象。愛でもあるんですけど、忘却によるあまりにハードな状況からこの結末に辿り着かせた燃える想いは、執念という言葉がふさわしかったです。

かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~

祝完結その2。冒険者の入口から、勇者も魔王も神も殴るところまで、ノンストップで駆け抜けていった凄い物語でした。進むにつれて立ち塞がる絶望がより強大になっていって、熱量も面白さもどんどん上がっていったなあと思います。黒炎砂漠あたりからずっと毎日楽しみでした、リアルタイムで読めてよかった。最後まで生き延びたウルにあっぱれ。

サイレント・ウィッチ(外伝)

祝完結その3。外伝の最後の方は本当に外伝だったので、あれこれ見せてくれてありがとうございますの気持ち。アイクとシリルが向き合うところまで読めて感無量でした。しかし最後まで作者さんは天才だったなあ、毎話面白かったし着地も完璧。
あと何度か書いてますが、この外伝は「おまけも本編」で最高なので、本編読者は全員読むべし。アニメ化もきますし、外伝も商業での刊行期待してます。

TS衛生兵さんの成り上がり

祝完結その4。完結ばかりですが、ここまで全部過去紹介済みなのです、本当に完結が多かった。
これはとにかくラスト10話前後が凄かった。多くの主要キャラも命を落としてきた、泥沼でどうしようもない戦争を、こんな形でまとめるとは。驚き、胸熱、呆然、寂しさ、など諸々が詰まってました。伏線とストーリーテリングに脱帽です。シルフ……

成り代わり令嬢のループライン

少しは新規作品も。古宮さんの新作で、ループの中で悲劇を打破する現代人のお話。ループやRTAといった自分好みの要素が、時に楽しく、時に容赦なく仕立てられていて、とてもツボでした。古宮さん主人公とループ設定の相性が良すぎるのか、大変でしんどいところもあり最後までドキドキでしたが、着地も素敵でした。
書籍で読みたいけど無理かなあと思ってたら、急に書籍化発表があって歓喜しました、楽しみ!

連載で読んでいるもの

切り口が面白い配信モノの配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信、シャンフロフォロワーで糖度100倍なアルカディア、だいぶ主人公が変わってきてそろそろ何かありそうなアラサーV、サイレント・ウィッチ作者さんの新連載の白翼のハルピュイア、などを読んでます。前2作はさくっと書籍化までいってました、最近はスピード感がすごい。

●商業小説

やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中7

Web版の正史に跳ね返されて3巻付近で止まっていたんですけど、アニメ化を機に再び手をつけたら一気読みでした。ジルがかっこかわいいだけでなく、お話が純粋に面白い。特に4巻と7巻が好きです、原点に返って驚きの展開が待っている物語ってテンション上がりますよね! アニメも楽しんで見てます。
なお、正史はまだ手をつけてません。買ってはあるので、そろそろ覚悟を決めます……。

魔眼の匣の殺人

今年読んだミステリの中で一番好きだったのがこれ。クローズドサークル+死者の予言、という設定はそこまで目新しくもなさそうなのに、何層にも重なったトリックが鮮やか。特に最後の種明かしが印象的でした。キャラクターやストーリーとトリックが密接に結びついていたのが、ここまで刺さった理由かもしれないです。トリック単体が面白くてもやっぱり微妙、と今年読んだ別作品で思い知ったのもああり。
次の巻以降はまだ積んであるので、近いうちに。

彗星を追うヴァンパイア

ほんタメでの「ニュートンが出るファンタジー」といった紹介が気になって。歴史+ファンタジー+理系ロマンという組み合わせがツボでした、ヴァンパイアという存在の活かし方が良かった。終わり間近の、とある一行の力強さに心が痺れました。

地雷グリコ

流行りもの。こういう変わった知恵比べ、好みだろうなあと手にとって、どの話もしっかり驚かされて面白かったです。「自由律じゃんけん」が一番好きかなあ、盲点のつき方がよかった。

最近の読書(2023年末)

2023年12月31日(日)

あっという間に年末ですね。今年は謎解きとスイーツに寄っていた年でした。読書的には、「ほんため」の影響などもあり、ミステリやSFの流行り物を少々読むようになりました。

一瞬だけ更新ペースが上がりましたが、その後はまた低空飛行でした。もうじきサイト開設20年ですが、こんな具合に細々続けていく予定です。

●オンラインノベル

今周の予定は決まってる?

ループ物の新発明! タイトルも洒落ていて好き。

ループをしない少女の視点から描かれる物語で、短時間ループする少年に巻き込まれて1話ごとに記憶がリセットされるのが新鮮。記憶はなくてもSF等の知識は持っていて、それを話すことでループしている側の行動が変わって物語が動いていくのが面白いです。主人公がリセットを受け入れられる変わり者タイプで、ループする側は普通の少年なので、情報量の差があってもうまくバランス取れてます。

話が進んでいくと、高校生の少年少女の青春恋愛物の要素が出てくるのもポイント。ループを知っている唯一の存在ということで、かなり閉じた独特の関係なのにドキドキします。真山くん頑張れ。

かくして少年は迷宮を駆ける ~勇者も魔王も神も殴る羽目になった凡庸なる少年の話~

前回の更新でも挙げましたが、最終章に突入する直前の今が旬。クリスマス前後の怒涛の情報開示が凄かった。相対的に凡人のままの主人公がどうやってタイトル回収をしてくれるか、来月の最終章が無茶苦茶楽しみ。毎日更新で叩きつけられる熱量のライブ感も魅力なので、更新を追って読んだ方が楽しいタイプの作品。

サイレント・ウィッチ(外伝)

これも何度か取り上げてますが、それくらい常に面白いんですよ。長編なのに、ほとんどの話で綺麗にオチや見所があって、更新毎の満足度が非常に高い。Web連載としても練られてるなあと思います。書籍のルイス学園編も面白かったし、このまま本編も順調に刊行されて外伝まで出てほしいところ。

TS衛生兵さんの成り上がり

自分の中での心を抉ってくるオンノベ第1位は、今作と「忘却聖女」が争ってます。TS要素はおまけ程度で、戦争での容赦ない展開がメイン、主要キャラがバタバタ倒れていきます。「どうしてそんなことするの?」と何度作者に言いたくなったことか。でも絶望をくぐりぬけていくストーリーテリングが面白いから読んでしまう。作者の術中です。ちょうど更新が再開されたので、またしばらくは怯える日々です。

●商業本

ウィザーズ・ブレインX 光の空

完結おめでとうございます!!!!!!! 文句なし、感無量な完結でした、発売当時から追っていてよかった。感想を書きそびれてしまったので、短編集出た際には。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身XII」

完結おめでとうございます!!!!!!!(その2) 連載当時からモンスターな作品だと思ってましたが、これだけの巻数を毎巻書下ろしたっぷりで重ねるとは脱帽です。最終巻の加筆、Web版ではスポットが当たらなかったそれぞれの別れが心に染みました、リヒャルダに涙。

レーエンデ国物語 喝采か沈黙か

これまでのレーエンデ3作の中では、この3巻が一番好き。多崎さん過去作の「煌夜祭」や「夢の上」は、想いの切なさ・鮮やかさやその繋がりが特に好きなんですが、その側面が一番色濃かったかなと。前巻の物語を劇として繋いでいくという構造がまず好みでしたし、この巻で描かれる兄弟間の葛藤や激情が心に刺さりました。  

煌夜祭」で多崎さんに魅せられた身としては、過去作品が再販されて再評価される流れが嬉しいです。煌夜祭の書き下ろし掌編が「そのキャラをそうやって見せてくれるの!?」という内容で素晴らしいので、他媒体で既読の方も是非。