___1月31日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 少年は、二度太陽を殺す 若き宰相の帝国 (和泉 朱希/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 砂漠生まれなのに白い肌、金の髪と瞳を持つ少年・ヤン。父を連れ去ったのと同じ兵士達が王宮を襲撃するのに出くわし、王子イウサールを助けたヤンは、彼と行動を共にすることに。が、二人はことごとく反発し…!? あちこちでファミ通新人の感想があがってる、それならこっちはビーンズだ! というわけで優秀賞受賞作品、吹き手を選ぶ不思議な笛を巡るファンタジー。 くそー、続きが気になるじゃないか! この作品、新人作品なのに思いっきり「つづく」で終わってるんですよ。それも、とても後からつけ足したとは思えない続き方なんです。新人作品でそれってどうなのよ、とも思うわけですが、例外をやらかすだけの面白さはあったので許しちゃいます。この手のファンタジーで時間ループしてやり直し(超絶ネタバレなので注意)がくるとは完全に不意打ち、続きが無茶苦茶楽しみです。 その続き方の部分を除くと、まあ普通に面白いかなといったところ。雰囲気はビーンズにしてはかなり正統派のファンタジー、無駄なBL要素がないのがとても好感触。キャラクターもシスコン王子、ブラコン幽霊、体は大人で心は幼女の女の子、と個性的な奴らが揃っていて楽しかったです、王子のイウサールはメキメキと成長していってかっこよかったですし。ただ、メイン主人公のヤンだけは好きになれませんでした。行き当たりばったりの行動はただの死にたがりにしか見えなかったし、アレにあそこまでショック受けるのが納得いかなかったので。惜しいなあ。 まあとりあえず続きですよ続き、どれだけ主人公たちが叩きのめされ絶望するのか、ビーンズなら1巻で切られることはないので安心して待ちましょう。 評価 ☆☆☆★(7) |
___1月30日(火) |
いつものように郵便受けをあけたら、なぜか富士見からの封筒が届いていました。 何かと思ったらポストカード。「銀月のソルトレージュ」のアンケートハガキ送った時の抽選が当たったらしいです。倍率2倍のDS購入の抽選は当たらないのに、どうしてこんな無駄なところで運を使ってしまうのか。ポストカードって使ったためしないです。 ところでこれ「毎月50名様プレゼント」らしいですが、アンケートハガキって毎月どれくらい届くもんなんでしょうか。人気の参考にするぐらいなんだから、総数の1%として1作品数百……はないか。でも全作品合わせて月100枚ってこともないでしょうし。何度もハガキ送っている人がいたら、どれくらい当たるものなのか聞きたいです。 実のところはそれよりも、3枚きたポストカードのうち、1枚が「GO AHEAD! 2005」、1枚が「BE HAPPY! 2006」なことの方が気になったんですが。2006はまだしも、2005はないでしょう2005は……。これだから富士見は(ry 【今日読んだ本】 ◆ 銀の騎士 金の狼 新たなる神話 (榎田 尤利/講談社X文庫ホワイトハート) 【amazon】 《あらすじ》 革命の象徴であり、人々の希望でもある『金の狼』フェンリルと、『運命の少女』サラ。ふたりを中心にレジスタンスはかつてない勢力になっていた。そんなとき、失敗の許されない作戦に挑むことになる。目標は『ドールハウス』。そこにはある目的のため、少女たちが囚われているのだ!悲劇を食い止めるための戦い。それは、誰のための、何のための戦いなのか? 希望と絶望の物語!! シリーズ名ころころ代わりまくりのレジスタンス小説、来月頭の新刊でついに完結するのでそろそろ読んでおくことに。 うわーうわー、そこまでやるかユージン・キーツ! そりゃね、ユージンのことだからレジスタンスにあっさり屈するわけがないとは分かってましたよ、退き方見て「さすが一筋縄ではいかない」とか思いましたよ。でもね、そこまでするとか、化け物ですかあんた、恐ろしすぎ。あまりにも血の通っていない行動は絶対に好きにはなれませんが、ここまでくると悪役として尊敬はしますね。最終巻では悪役らしくすっきりと打ち破られてほしいものです。 ユージンのインパクトが強すぎたわけですが、レジスタンス側で印象に残ってるのはフェンリルですね。レジスタンスの皆がそちらを選ぶのはしょうがないのかなと思わなくもないですが、フェンリルの言葉がサラにしか届かないのには悲しくなりました。ラジューの「両方」っていう言葉にもうちょっと賛同あがると思うんだけどなあ。サラはすっかりエリアスとラブラブで問題なさそうなので、あとはフェンリルが幸せになれる結末が待っていますように。 評価 ☆☆☆★(7) 【今日購入したもの】 薔薇のマリア Ver2 この歌よ届けとばかりに僕らは歌っていた (十文字 青/角川スニーカー文庫) アラバーナの海賊たち 幕開けは嵐とともに (伊藤 たつき/角川ビーンズ文庫) 少年は、二度太陽を殺す 若き宰相の帝国 (和泉 朱希/角川ビーンズ文庫) 108年目の初恋。 (末永 外徒/ファミ通文庫) 声で魅せてよベイビー (木本 雅彦/ファミ通文庫) バカとテストと召喚獣 (井上 堅ニ/ファミ通文庫) 学校の階段4 (櫂末 高彰/ファミ通文庫) 翼は碧空を翔けて2 (三浦 真奈美/C★NOVELS ファンタジア) 潮風の消える海に (light) 色々新刊。コバルトはまだ売ってませんでした。 ファミ通は読んでみたいと思わされる新人さんが多いなあ。MFも多い。逆にそそらないのはスーパーダッシュ、特攻にあまりいい思い出がないのも原因ですが。 |
___1月28日(日) |
感想リンクミスを一つ修正、指摘ありがとうございます。 【今日読んだ本】 ◆ 狐笛のかなた (上橋 菜穂子/新潮文庫) 【amazon】 《あらすじ》 小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。 「守り人」シリーズなどを書いている上橋さんがおくる、中世日本の政争と愛を描いた児童文学。 自分好みっぽいあらすじで以前から気になっていたものの、「守り人」シリーズを相当昔に図書館で借りて、数十ページも読まずに返した過去があったので(理由さっぱり覚えてませんが、多分文体が合わなかったんだと思います)、手を出すのを躊躇していました。が、空想堂さんでお勧めされ、文庫化されているのも知ったので読んでみることに。 まず外すことはないだろうと思ってましたが、その期待通りの面白さでした。物語の核となっているのは、小夜と呪者に使われる霊狐の野火との恋愛、豊かな若狭野を巡る二つの一族の因縁、の二つ。「小夜の目を通すことで忘れたくても忘れられない恨みの連鎖の哀しさが上手くかけている」とか、「風景描写が分かりやすい上に綺麗」とか、誉める箇所たくさんあります。 でもやっぱり一番よかったのは恋愛部分、野火がかっこよすぎます。主に逆らったら即刻死亡、でも小夜を守るために全てを投げ出しちゃう。疑われても何も言い返さずに耐える姿などにやさしさと想いの深さが見てとれて、「なんとか幸せになってほしい!」と強く思いながら読んでました。あと、戻れない道に踏み出す時の覚悟が印象に残ってます、玉緒のいうところの「ばか」さが素敵。欲を言うなら、蜜月状態の2人をたくさん見ていたかったです、出会ってからどんどん話進んでいって、甘さを十分に楽しめなかったので。でも不満はそれくらい、結末はよかったの一言。オススメありがとうございました。 今なら楽しめる気がするので、守り人も再び読んでみるつもり、こちらも安くなっているみたいですし。 評価 ☆☆☆☆(8) |
___1月27日(土) |
【今日読んだ本】 ◆ リミットレス! (須堂 項/MF文庫J) 【amazon】 《あらすじ》 “クライムはのろわれてしまった”戦士のくせにモンスターが苦手なダメ人間のクライムは、どうやっても外すことのできない剣と鎧をうっかり装備してしまった上、その日からずっと“あるもの”に追われ続けていた。たまたま逃げ込んだ古い城でトレジャーハンターを名乗るレンと出会ったのもつかの間、城に棲みついた凶悪なモンスター“フォトゥルマ”に襲われてパニックに陥るクライム。そんな混乱の中、偶然クライムとレンの唇が触れ合ってしまい……。正体不明の謎の美少女に、あやしさ全開の魔法使いも押しかけて、クライムとレンの大冒険が今、幕を明ける!! MF文庫の新刊、うっかり怪しい武器と鎧を装備してしまったアホが主人公のへっぽこファンタジー。 (ノ#゚Д゚)ノ=============>┼○←クライム 最近なぜかキャラが合わない作品によく出会っていますが、これもその手の口。クライムのあまりのアホさにイライラさせられまくって、楽しんで読むことが全然できませんでした。賢さたりてないのはともかく、せめて人の話はちゃんと聞いてください……、序盤のドラゴンが不憫でなりません。過去の説明もろくにないので、ただのアホ以上の認識が不可能です。 キャラ無視して物語を楽しもうにも、舞台がどういう世界なのかがよく分からない(モンスターの数とか脅威の認識度合とかどうなってるんだろう)ですし、うーん。フィアナの設定は面白いし、悲しい未来が待ち受けていそうな幼馴染関係もあったりするんですが、いかんせん主人公のことが理解できないのでどうしようもありませんでした。 評価 ☆☆(4) 【今日購入したもの】 リミットレス! (須堂 項/MF文庫J) |
___1月26日(金) |
潮風買い忘れた、なんてこった! 明日だと手に入るか怪しいので大人しくamazonで注文。 【今日読んだ本】 ◆ ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ (尾関 修一/富士見ミステリー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 都市部では近代化が進んでいるが、辺境ではいまだに前近代的な社会が残っている時代。人形作家フレデリックの屋敷でメイドとして働くシャーロットは、5年も住み込んでいながら、フレデリックの妻ミリアムを一度も見たことがなかった。ミリアムの正体は人形なのでは? 疑いだしたシャーロットは、真実を確かめるため、屋敷に出入りする墓守の家を訪ねるが……。これはそんな時代に存在した、ひとつの屋敷で起きる三つの時代にまたがる愛と狂気の物語! 富士ミス新人賞の佳作受賞作、洋館を舞台にしたホラーミステリ。 この作品にはこの言葉を捧げましょう。 こんなの分かんねーよばーか! 見事なまでにミステリ部分に敗北。色々ミスリードを誘っているなというのは分かっても、相当終盤にいくまで物語の全体像がさっぱり見えませんでした。いやでも、分からなくても仕方ないと思うんですよ。読み終わった後に1章あたりを読み返してみると、確かに「あーこれはこうだったのか」と気づく箇所がいくつもあるんですが、これ、『煌夜祭』みたいに構成上手いんじゃなくて、ただジグゾーパズルをバラバラにちらばらせただけに見えるんです。バラバラなんだから分からなくてもしょうがない。負け惜しみじゃないですよ? でもひょっとして、ミステリのえらい人たちは2章くらいまでで完全に真相見抜いたりできちゃうんでしょうか。だとしたらミステリ読みにはなれなそうです。 文章は読みやすかったし、話に引き込む雰囲気も出ていたので、こんな凝らなくてもよかったんじゃないかなあ、惜しい。 評価 ☆☆☆(6) |
___1月25日(木) |
忘れないうちに2006年下半期ラノベサイト杯に参加しよう! トラックバックは狩田さんのところから。 今回は勧めたいものをピックアップしたら5作品にはおさまりそうになかったので、あまり人が挙げなさそうなものを中心に選出してみました。 以下隠し……なんてことはblogじゃないからできません。 「新人・新作部門」 煌夜祭 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) →感想 【06下期ラノベ投票/単発/4125009481】 すでに何度再読したか分からない傑作。読み返す度に発見がある構成の緻密さは皆が褒め称えていますが、キャラクターも素晴らしいんです。クォルンは2006マイベスト。 エパタイ・ユカラ 〜愚者の恋〜 (高丘 しずる/B's-LOG文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/単発/4757730667】 女の子の友情、道ならぬ恋、日本分割で内戦、などなど色んな味が楽しめる激動の物語。今もっとも続きが気になっているシリーズかも。ちゃんと続きが出ますように。 悠久展望台のカイ (早矢塚 かつや/MF文庫J) →感想 【06下期ラノベ投票/単発/4840115729】 青臭くて青臭くてたまらない、でもそれがいい。 銀月のソルトレージュ ひとつめの虚言 (枯野 瑛/富士見ファンタジア文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/単発/4829118776】 アリスかわいいよジネット。これも続きが出ますように。 ダナーク魔法村はしあわせ日和 〜都から来た警察署長〜 (響野 夏菜/コバルト文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/単発/4086008416】 ほのぼの田舎物。堅物男が女の子に振り回される話が好きな人は必読です。 クジラは順調に2巻出てるし、他に推す人たくさんいそうなので割愛しました。 「シリーズ作品部門」 ウィザーズ・ブレインVI 再会の天地(上) (三枝 零一/電撃文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/複数/4840236380】 上巻でも面白すぎるから入れざるを得ません。クレアがんばれー。 桜乃きらほの夏色救急箱 (月見 草平/MF文庫J) →感想 【06下期ラノベ投票/複数/4840117462】 カルナの頃と比べると、かなり上手くなったなーと思わされます。なんで打ち切りなんだろうほんと……。 ねじまき博士と謎のゴースト (樹川 さとみ/コバルト文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/複数/4086008289】 博士のヒネクレっぷりのかわいさは異常。男ツンデレのブームがそろそろきたりしないものでしょうか。 薔薇のマリア VI. BLOODRED SINGROOVE (十文字 青/角川スニーカー文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/複数/4044710082】 あまり話題になっているの見かけない気がしますが、燃えも萌えも鬱も高いレベルでとりそろえている名シリーズですよ。 銀盤カレイドスコープ vol.9 シンデレラ・プログラム:Say it ain't so (海原 零/集英社スーパーダッシュ文庫) →感想 【06下期ラノベ投票/複数/4086303310】 BBBと迷いましたが、祝完結ということでこちらに。挫折と復活の描写には圧倒されました。 |
___1月24日(水) |
保存した後htmlをupするの忘れてた! というわけで一気に二日分の更新です。 【今日読んだ本】 ◆ 僕たちのパラドクス ―Acacia2279― (厚木 隼/富士見ミステリー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 高校生の高崎青葉は、学校の帰り道で恐るべき光景を目撃した。怪しげな倉庫の中で、少女が男を日本刀でまっぷたつに切り裂いたのだ。その少女ハルナは、青葉に「自分は未来からやってきた」と告げた──。タイムマシンの発明によって時空犯罪が生まれた未来。ハルナは時空犯罪捜査のために現代に現れたのだという。だが、時空犯罪者を処刑した直後、彼女の帰るべき未来が消失してしまう。青葉は、ハルナとともにその謎を探りはじめるが……。 富士ミスの新人さんの大賞受賞作、未来から時空捜査官の少女がやってくるボーイミーツガールタイムパラドクスミステリ。 むー、話の骨格はなかなかいいと思うんですがそれ以外が……。 とりあえず肝の一つであるタイムパラドクス部分は、真面目に考えるとツッコミ所が山のように出てきそうなので、諦めてそういうものだと受け入れることにしました。すると、ストーリーは時空を越えたラブが結構切なくて悪くないんです。 でも、それを構成するキャラクター、特に主人公が好きになれませんでした。まず思いっきり引っかかったのが冒頭。「ヤクザっぽい人が倉庫から!→怪しげな取引が!?→入ってみる」 えーと、馬鹿ですか? 気が強くない普通の少年はまず逃げ帰ると思います。その後も一目惚れで流されているだけで、覚悟などがあまり感じられませんでした。使命感薄いハルナにも好感は持てなくて、メインキャラ2人が気に入らなかった時点でアウト。しかし、バクトといいこれといい、富士ミスの賞のつけ方はいまいちよく分からないなあ。 評価 ☆☆(4) |
___1月23日(火) |
【今日読んだ本】 ◆ 抗いし者たちの系譜 再始の女王 (三浦 良/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 元勇者にして現魔王サラが治めるサッハースは、存亡の危機を迎える。蘇った初代魔王エルによって魔物たちが暴走し、共存していたはずの人間を襲い始めたのだ。サラとラジャス、二人は世界の運命の濁流にのみ込まれる 3巻で強烈な引きを見せてくれた、ラブと陰謀の「抗いし者たちの系譜」シリーズ、とりあえずの最終巻。 うん、名作。あの引きからしてかなり目まぐるしい展開をするとは思ってましたが、まさかこんなに熱い物語を見せてくれるなんて。まず見所なのが、サラやラジャス達だけでなく謀臣たちにもかなりスポットをあてているところ。腹に一物も二物を抱えながらもサラを一応は認めて行動する彼ら、決して無能ではなく、策を弄する姿はなかなかかっこいいものでした。また、スキピオとグレンデルのやりとりは、揺らぎながらも切れてはいない魔物と人間の絆を象徴していて印象に残りました、2人とも素敵。 そして、彼らの行動を通して見えてくる、サラの本当の凄さ。個々の陰謀も大したものでしたが、「運命に抗いし者」としてここまでの国を作り上げた手腕には感服するしかありません。抗うことを何よりも重視した彼女だからこそ、エルに対する言葉と行動に非常に重みが感じられました(もちろんラジャスの言葉も重いんですが、多数を背負っている分サラの方が上だなあ)。エルのとった行動も決して間違いとはいえないだけに、止められるのは彼女らだけだったでしょう。皆がかっこよくて胸をうつ物語でした。 ラブ方面も終章をはじめとしてドキっとさせる場面ありましたし(193ページの挿絵いいですね!)、文句なしにシリーズの中で一番面白かったです。結構売れていたようだし、次回作にも大期待。 書き忘れ、内容は素晴らしかったんですが誤字脱字が目立ちました。キャラ名を間違えている箇所もあったりしてかなり杜撰、校正ちゃんと仕事してください、もったいないです。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆ クジラのソラ02 (瀬尾 つかさ/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 兄を追いかけるために、特殊なゲームの勝利者となることを目指す<ジュライ>のリーダー桟敷原雫は、伝説のメカニック・聖一や智香、冬湖という仲間とともに予選を突破し、いよいよ世界戦の舞台へと臨むが。 「ゲーム」で戦う百合SF「クジラのソラ」第2巻。 SF方面の話が一気に急展開、この巻も面白かったです。ゲームの真相が明かされるのは想定内としても、こんな裏の方まで説明され、さらにもうあの人が出てくるとは予想外。ちょっとしか登場しなかったけれど噂どおりのかっこいい人っぽいですね。一緒に出てきた人も何者か気になります、タイトルとどれくらいリンクしてるんだろう、まんまじゃなさそうな気がしますが。戦闘は知略やスパイラルゲージが相変わらず熱いし、1巻と立場入れ替わって強まった雫と冬湖の関係もいいですね。新キャラは……人気取り? 一般人間サイドは新キャラ投入しても1巻より影薄くなっていたのがちょっと残念。 当然3巻にも期待なんですが、今巻で書くこと書いちゃった気がして、これ以上盛り上がるか不安の方が大きいです。対人ゲームで盛り上がることはなさそうだし、聖一たち残されし者をどう扱うのかが全然見えません。口では「いないと不安」と言っていても、雫と冬湖はそれだけで完結しちゃってる関係ですからね。上へ連れて行かれるのをみすみす見逃すようなことはしないと思うんですが、どうしようもなさそうだけにどうするのか、3巻が待ち遠しいです。 評価 ☆☆☆★(7) |
___1月22日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ 黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで (細音 啓/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 彼女は、ずっと考えていた。人と関わらず、孤独な人生。それで、いいのかと。だから、決めたのだ。自分の“心”を形にして詠び出せる、名詠式を学ぶことを。そうすれば、少しでも彼に……何かを伝えられるかもしれないから――。『Keinez(赤)』『Ruguz(青)』『Surisz(黄)』『Beorc(緑)』『Arzus(白)』――この五色を基本に、呼びたいものと同じ色の触媒を介し、名前を賛美し、詠うことで招き寄せる名詠式。その専修学校に通うクルーエルは、年下の転校生で、異端の夜色名詠を学ぶネイトに興味を抱く。一方、学校を訪れた虹色名詠士・カインツもまた、夜色名詠の使い手を探していて……!? 第18回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作。“君のもとへ続く詠。それを探す”召喚ファンタジー。 今月の富士見の新人さん、色ごとに体系づけられた魔法「名詠式」を学ぶ学校が舞台のファンタジー。 これはあらすじ見てアンパイだと思っていて、その期待通りのいい話。竹岡絵がつくのも納得の地味な学園ファンタジーなんですが、泣かしのセンスが素晴らしいですね。他人を心配し想う心や孤独感といったものが透明感ある文章でつづられていて、胸にすっと染み渡ります。普通ならこの手の話はあざとさ感じるのに、この作品に限ってはそれが全くありませんでした。多世代に渡って、普通の人も描いているのもうまいなあ。生徒世代の2人もいいですが、それよりもイブとカインツの話が好きですね。冒頭だけで完全に心つかまれました、イブ切ないー。 事件発生を小物に頼ってるのが違和感あったり、さすがにクルルがそれ使えちゃうのは多少ご都合主義に思えたりと、物語の作りには甘い点があってその辺が佳作の要因じゃないかなと思うんですが、センスと雰囲気はそれを補ってあまりあります。名詠式もなんとなく浸れるくらいには気に入ったし、これはまた1人楽しみな作家さんができました。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 太陽戦士サンササン (坂照 鉄平/富士見ファンタジア文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「太陽戦士サンササン、降臨ッ!」来間鉄斎が出会ったのは、族メットに憑依した自称・異世界の勇者ジャバだった。彼は伝説の勇者となるため、自分を装着することを鉄斎に強要する。鉄斎は全面拒絶するが……!? もう1人の富士見の新人さん、準入選作のヒーロー物。 駄目だ、これは合わない。カンフーや鰓みたいなネタ小説を期待していたらネタ度は案外低くて、本筋は男の熱血小説。大切な人と街を守る話で、編集部解説でも主人公のことを「かっこよすぎます」と書いています。が、自分は全くかっこいいとは思えませんでした。人の気持ちを全然推し量ろうとせず、自分の想いだけ押しつけようとする、こんなガキの一体どこがいいんですか。その後の対応もあまりにもひどくて投げ出しかけました。ちゃんと自発的に反省したならいいんですけど、周りに諭された感が強かったし、こいつ絶対また同じこと繰り返しますよ。ただでさえ男じみた話はあまり好きじゃないので、ここで完全に脱落。 評価 ☆☆(4) |
___1月20日(土) |
気づかぬうちに4年目突入。特に記念企画などもありませんが、今後ものんびりと続けていくのでよろしくです。 【今日読んだ本】 ◆ ポチのウィニングショット (葛西 伸哉/GA文庫) 【amazon】 《あらすじ》 試合終了のコール。突き上げられる右手。ギャラリーの大歓声を浴びてヘッドギアを取ったその人を見て、あたし、犬塚星子は恋に落ちた。大きな球体の内側に立ち、2人のプレイヤーがゴールを競い合うバーチャルスポーツ「スフィアボール」。まるっきりの初心者だけど、憧れの黒崎先輩に手取り足取り教わる日々は本当に楽しかった。ポチって呼ばれて、お弁当を一緒に食べる。きっと気持ちは通じ合っている、そう思っていた。ある日先輩が、もっと強くなる為に別のジムへ行く、って言いだすまでは。このままじゃ終われない。あたしは黒崎先輩が好きで、その気持ちは誰にも負けないんだから! ボールに乗せたあたしの想い、先輩のハートをぶち抜け! 今月のGA文庫の新刊、全くノーマークだったのがあちこちの感想見て気になった、女の子一人称のスポ根物。 うん、感想見て予想した通りの感じでなかなかよかったです。主人公は犬系、恋をしてスポーツはじめる、体力馬鹿で物凄い成長、ということで「しゃにむにGO」を思い起こさせるキャラ。最初真剣にとりくもうとしないのに少しイラっとさせられるものの、やる気になったら一直線、メキメキ上達していく様を見るのは楽しいです。試合の描写も物が物だけに若干分かりにくい場面もありましたが燃えましたし、やっぱりスポ根はいいですね。ただ、終盤でのポチのあの行動にはかなり萎えました。そこでその行動とるのは、今まで先輩の何を見てきたのか、スフィアを通して何を感じてきたのか、そう問い詰めたくなります。すぐに気づいたといっても、それしちゃった時点で台無しじゃないかと。これなければ燃え燃えだっただろうだけに残念ですね。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 僕たちのパラドクス ―Acacia2279― (厚木 隼/富士見ミステリー文庫) ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ (尾関 修一/富士見ミステリー文庫) 太陽戦士サンササン (坂照 鉄平/富士見ファンタジア文庫) 黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで (細音 啓/富士見ファンタジア文庫) 抗いし者たちの系譜 再始の女王 (三浦 良/富士見ファンタジア文庫) クジラのソラ02 (瀬尾 つかさ/富士見ファンタジア文庫) スロウハイツの神様(上) (辻村 深月/講談社ノベルス) スロウハイツの神様(下) (辻村 深月/講談社ノベルス) 狐笛のかなた (上橋 菜穂子/新潮文庫) 富士見新人全特攻ーーー! 詠使い以外はどれもやばい臭いがしていてガクブル。 でも同時に買った5冊はどれも8以上の評価を期待できるものなので、地雷踏んでもすぐ癒せて安心。 |
___1月19日(金) |
潮風の消える海にのDL版が発売された模様。早狩儲なんで購入は決まってるんですが、クレジットでのネット購入はあんまりしたくないので大人しくパッケージまで待つことにします。 【今日読んだ本】 ◆ トキオカシ (萩原 麻里/富士見ミステリー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 藤沢誠一は子供の頃から異常な記憶力の持ち主だったが、ごくごく普通の日常生活を送っていた。ある日、誠一の通う学校に双子の転校生が現れる。観池眞名と眞依と名乗る二人は、この世のものとは思えない美しい少女だった。初対面の朝、黒髪の少女・眞名は誠一と対面したとたん、震えはじめ、言った。「やっと、逢えた……」と――。時の神の系譜をもつ少年、少女が繰り広げる、新感覚タイムトラベル・ミステリー。 明日には富士見2つの新刊出ると気づいて絶望してますが、なるたけ下半期の未読を崩します。これは9月の富士ミスのラブミステリー。 なんというラブ寄せ、三角関係修羅場を見ただけでワクワクしてしまった。この小説は間違いなく富士ミス。 ホワイトハートでは学園舞台なのにラブ薄めの地味ホラーを書いていた萩原さんも富士ミスにかかればこの通り、立派なラブ戦士が誕生です。しかも出会ってすぐに抱き合ったりキスしたり、今時なかなかお目にかかれない三角関係での腕の引き合いが見られたりとかなりの飛ばしっぷり。何もない状態から積み上げていく恋もいいですが、絆だけあって心がじわじわそれに追いついていく恋もいいものですね。時置師についてちゃんと説明してくれているので、眞名の行動も自然に納得できますし。でも、ナイフ狂いの設定は電波過ぎだと思います、イラストの顔つきが微妙に変なせいで怖い怖い。これはやめてほしかったかも。 話も時置師の設定がよくてなかなか楽しめました。上でも書いたけれど、この設定はラブ的にはすごくおいしいですね。「それも歴史で定められていたこと」でのタイムパラドックス回避はSF的にはありなのかな、ちょっとずるい気もしました。あと、ミステリーとしてはどうなんだろう、真相を推理するのに必要な材料がたりてないような気もしましたが、まあ驚けたからいいことにしておきます。ご主人様を4巻まで出す富士ミスなら1巻できられはしないだろうし、続きも期待。 評価 ☆☆☆★(7) ◆ ボトルネック (米澤 穂信/新潮社) 【amazon】 《あらすじ》 恋人を弔うため東尋坊に来ていた僕は、強い眩暈に襲われ、そのまま崖下へ落ちてしまった。―はずだった。ところが、気づけば見慣れた金沢の街中にいる。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。どうやらここは、「僕の産まれなかった世界」らしい。 8月に出た米澤さんの青春小説、「if」の世界をまざまざと見せつけられるお話。 「黒い」「えぐい」「ラストが……」などの感想を目に入れていたので、どんなものかと身構えていたのですが、なるほど皆がそう言いたくなるのが頷ける話ですね。主人公の見た「if」は「これでもか!」という程に輝いていて、追い詰められていく主人公の心理が否応なしに理解できます。積み重なっていってギリギリの状態にきたときのラスト一文の切れ味はまさにナイフ。ただ、全編に渡って「if」をかいているだけで、大きい盛り上がりもなくてちょっと薄味に感じました。ハードカバー1冊で1400円もとられてるのは微妙、短編〜中編で読みたかったかな。 評価 ☆☆☆(6) 【今日購入したもの】 ポチのウィニングショット (葛西 伸哉/GA文庫) |
___1月17日(水) |
珍しいことに今日もメルフォレス。 >らぶよせってなんですか? その名の通り、作品内の恋愛分が増加することです。富士ミスがミステリーからラブへと変革したときに生まれた言葉ですね(言い出したのって編集部でしたっけ?)。ユーフォリは何より技術部分が面白かったので、三角関係やエル×ネルがメインになると嫌だなあ、と。主に恋愛分が薄い作品に使われる用語なんで、これに使うのはふさわしくなかったかも。……そもそも富士ミス用語なんだから、他レーベルの感想にあまり使うべきじゃないですね、気をつけよう。 まいじゃーさんからラノベ専の話題。うちもほぼラノベ専なわけですが、一番の原因はアンテナが弱いことですね。ハードカバーや一般文庫方面は巡回サイトのどこかで取り上げられていないとなかなか気づかないです。 それでも各賞受賞作くらいはチェックしていて、取り上げられている「僕僕先生」「でかい月だな」あたりはあらすじ読んで興味は持ってました。ただ、ちょっと値段が高い&主人公が女の子じゃない、という理由で回避してるだけです。やっぱりハードカバーは高いですよ。となり町戦争での苦い記憶があったりするので、どうしても一押しがないと手が伸びづらいです。 【今日読んだ本】 ◆ さよならトロイメライ7 想いの輪舞曲 (壱乗寺 かるた/富士見ミステリー文庫) 【amazon】 《あらすじ》 女子校というのは、いい匂いのする女の子がウフフくすくすなんて額と額をくっつけあって笑い合ってる――そんなこの世の楽園のような場所。柿崎妹・津々美によって、花の女子校・私立北森学園に拉致されてしまったダメ<トップ3>藤倉冬麻。御城学園で気を揉む都や<パートナー>の泉の気もしらず、津々美の積極的なアタックに流されがちな冬麻だが……。女子中学生にいぢられまくり「ああっ(ハート)」な冬麻を救う為、遂にあの人が立ち上がる!? 今週と来週は下半期の未読本&読んでおきたい本崩し週間です。これは先月発売の作品、女子校拉致編の後編。 自分がこのトロイメライシリーズを読んでいる動機をキャラで分類すると、 やっちん50% とーま20% 都10% その他20% いらない子0% といった感じになるんですが、今巻で長峰さんの割合が10%ほどになりました。2,3巻前あたりからこの人の株がどんどん上がってます。底知れなくて誰も勝てなそうな反面、みどりさんにはあっさり殴られる、このギャップがいいですね、うさんくさい喋りも楽しいですし。エピローグの弁舌は「な、なんだってー!」の一言、気づきませんそんなの。 メインヒロインのやっちんは、抱きついた時の破壊力はやばかったんですが、6巻での活躍見てもっと出番あると思っていたので残念。黄桜(桜だか黄桜だか分かりにくいですこの子)のアクが強くて食われちゃってましたし。まあ他2人より出番多かったのでよしよし。 そして7巻のメインである津々美ですが、あんた素だったのかよ……。育ってきたバックグラウンドが分かって6巻の時よりはマシになりましたけど、やっぱり態度がうそくさくて気持ち悪い。周りにこれだけ人がいて、もうちょっと普通に育たないものかなあ。エピローグ見ると今後も出てきそうで萎えます。 評価 ☆☆☆(6) |