8月31日(土) |
<最近読んだ本> ◆ ブレイブレイド4 神葬の魔剣 (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア) 【amazon】 ジンが最後までかっこよかった! 最近個人的一押しのあやめさんが送る「ブレイドレイド」最終巻は、期待通りの面白さでした。シリーズとおして、主人公のジンがとことんアンチヒーローなのが格好良かったです。 どうしても我慢できないことは絶対にやらない。やると決めたことは人の都合なんて知ったことじゃないし、何が逆側の天秤にのっていても厭わない、たとえこの巻のようにどんなにスケールがでかくても。この姿勢をとことん貫くのが非常に痛快でした。かといって変わらなかったわけじゃなく、巻が進んで大切なものができたり責任を意識したりする中で、ジンのやりたいことが自然なものに見えていって。一方で、他のキャラがジンに感化されて好きに振舞うようになって、垣根がなくなっていくのが素敵ポイント。 お話的にはウィルの動機の見え方が二転三転するのが面白かったです。特に、ジンを怒らせれば、というのにはウワッとなったなあ、ただ驚かされるだけじゃなく、ウィルのジンへの信頼とか色々と見えるのが。ジンの方もウィルのことよく分かってますしねえ。いい友達です。 その後のイルマが運んできた意趣返しも素晴らしかった、大人世代がやられっぱなしじゃないっていうのがいいです。やられた感たっぷり。 ここのロンデニオに限らず、ほとんどのキャラに意志があって見せ場もあったので、ワクワクするシーン多すぎて大変でした。お兄ちゃんっ子なローズかわいいとかエリスかわいいとかそういう感想もあるんですけれど、それが二の次になるくらい。いや二の次は嘘でした、ジンとローズの邂逅は大変よいものでした、ローズよかったね。 全4巻、前作に引き続き大変面白かったです、ひねくれた格好いい主人公が好きな人に特にお勧め。新シリーズ予定は来春くらいということでかなり先ですが、楽しみに待ちたいと思います。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆ 悪魔のような花婿 プリンセス・フェスティバル (松田 志乃ぶ/コバルト文庫) 【amazon】 主役夫婦がそこかしこでイチャイチャしていた「悪魔婿」シリーズ、本編終了後の番外編。本編は風変わりなキャラたちを楽しみつつ、主役夫婦が安定しすぎててマンネリ感もあったんですが、この番外編はリオン王子のお話が楽しかったです。 元々イーヴとリオンのコンビが好きだったので、年をとってもその関係が変わらないのにニンマリ。おまけにキーンやベンジャミンまでリオンを助ける(+観察する)仲間入りしてて楽しさUP。 ジュリエットの姉が出てきたのにはビックリでしたが、ジュリエットのこと引きずってるリオンにはピッタリですね確かに。貴族離れしている性格もお似合いですし。文通からというオチも良かった、明らかに好意は持ってるのにどれだけ奥手なんですか殿下。でもきっと幸せになるでしょう。 次回作はなんでしょう。また和物を読んでみたいです。 評価 ☆☆☆(6) |
8月26日(月) |
<最近読んだ本> ◆ レッドドラゴン4 第四夜 夜会擾乱 (三田 誠 他/星海社FICTIONS) 【amazon】 三田さんがゲームマスターをしているTRPGリプレイの第4巻。前から気になっていて、イスカリオテから三田さん繋がりでweb版を読んでみたら、面白くて一気読み。4巻分がwebでなかったので購入しました。 この4巻も凄かった! まずこのシリーズ全体通して素晴らしいのが、プレイヤーそれぞれが物語を作れる人で、実際に物語を作っているところ。マスターの作ったシナリオに乗る必要性など考えもせず、キャラクターの思うがままに動く。主要なNPCを殺しにいったりと半端ないです、虚淵さんこわい。 このキャラクターの動きに応えるマスター側がまた素晴らしい。どれだけスタッフいるのか分かりませんけども、無茶な要望がまかりとおる裏に、緻密な準備がはっきりと見えます。その結果、シナリオが生き物のようで先が見えず進んでいくのが大変に面白い。作り手ってすごい。緻密な準備の分だけifも膨大に用意されていそうで、没シナリオ集を見てみたいです。 この4巻の感想にいきますと、ダイスの神様が凄かった。TRPGリプレイ読んでいるとダイスの悪戯はそれなりに見かけますけども、山場な場面で凄いことしてくれます。そのファンブルが呪いとして描かれるのには「うわー」と声出ました。五夜にかかっちゃいますけど、これを受けてのスアローの心情の描きっぷりもよかった。 お話的な山場は婁の戦いですね。ダメージ的にはインフレですけどシステム的にはギリギリの戦いなのが痺れます。各キャラクターが自分らしく動いた末の必然の帰結感がでていていました。 個人的には、序盤の禍グラバの根回しのあれこれも、キャラクターが物語を動かしにいっていて面白いと思ったポイント。あと、黒リンゴもとい紅玉さんが急にアグレッシブになってて笑いました、三夜までは普通に見えたのにどうしてこうなった。こっちが本性ですかね。ガブガブ。 五夜もwebで最新まで追いつきました、呪いはそういうことかー! 明日更新ということで楽しみです。 評価 ☆☆☆☆(8) |
8月24日(土) |
<最近読んだ本> ◆ RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日 (荻原 規子/角川文庫) 【amazon】 ついに深行が本音見せた! アニメも終わったRDGの5巻は、とにかく深行に尽きる巻でした。ようやく泉水子に対する対応が素直になってきて、微糖も微糖ながらこれまでを考えるとニヤニヤ。笑顔や困惑が分かりやすいですし、助けにいくときも必死ですし、名前呼びも見え隠れしますし。なんでトトロなのか考えると大変ニヤニヤできますね。 素直になったのに伴って覚悟が決まって格好良くもなったと思います。真響に対する受け答えに大人を感じました。 ところで、先日存在を知ったアニメDVDについている短編では、1巻の頃から深行が内面ではデレていたらしく。「えっ」と驚いたんですが、最後まで読んだらとりあえず1巻読み返してみないと。 泉水子の方は、知らない間に受ける精神操作が怖かった。泉水子の内心変化が違和感なく切り替わってるのが恐ろしいです。その分、高柳の変成にはスッとしましたね。もう少しひどい目にあっても良かったと思いますけども。 本人が望まないのに力がどんどん強くなってしまっていって、最後には祭り上げられる存在になってしまったのは、こういう運命なのか。このまま何も助けがないと姫神ルートなんでしょうか、でも深行がいればきっと大丈夫。 まだ文庫落ちしていない最終巻をどうするか迷っていたら、色んな方から背中を押されたので単行本注文しました。深行にどれだけニヤニヤできるか楽しみです。 評価 ☆☆☆☆(8) ◆ 大穴 (ディック・フランシス/ハヤカワミステリ文庫) 【amazon】 40年程前に出版された海外ミステリ。五代ゆうさんのプッシュ記事を読んで興味もって1冊積んでおいたのをようやく読みました。って、この記事2年半前じゃないか……。 積んでたのがもったいない面白さでした。怪我で引退した元騎手が、競馬場をめぐるきな臭い事件を解決しようとしていくお話。このお話の面白さは大きく2つに分けられると思います。 1つは競馬場乗っ取り事件との戦い。敵の動きがなかなか用意周到かつ胸糞の悪いもので、糸口が少ない中で敵の企みを探っていくのが面白いです。特に鏡に遭遇した中盤あたりからは、主役のハレーの身に危機が迫るスリリングな展開の連続で、ドキドキハラハラ。最後のハレーの機転が痛快でした。 もう1つがハレー個人の物語。騎手をやめて生き甲斐を失った彼が、捜査に適性がハマって生き甲斐を取り戻していく様子が喜ばしく、また胸を暖かくさせてくれました。妻との仲が壊れているのに義父とは仲良くなっているという不思議な関係が興味深かったなあ。ミス・マーティンとの関係の描き方は、切ないけど物語的には綺麗でした。 このミステリは競馬シリーズと呼ばれているだけあって、競馬要素も良かったです。レースシーンみたいな直接的なシーンはないんですけれど、コースのカーブに対する記述など細かい描写が多く、作品全体に息づいていました。解説にもあったように表現がいいなと思います。聞いたところではこの巻は競馬要素少ないらしいので、他の巻も読んでみたくなりました。「利腕」か「本命」あたりにいってみます。 評価 ☆☆☆★(7) |
8月17日(土) |
メルフォレス。 >「お、西澤さんのそのシリーズに〜」の方 純粋な発表順は「解体諸因」が最初みたいですね。幻冬舎文庫がこのシリーズのメイン刊行元みたいで、その幻冬舎文庫での刊行順ではなくて発表順で「彼女の死んだ夜」から読むのがいいですとアドバイスいただいて、ここから手をつけてます。幻冬舎文庫での刊行順が初出の発表順とずれているようで、おまけに初出の発表場所はバラバラで、ややこしいですねこのシリーズ。 「解体諸因」は短編ということで割と例外的なポジションなんですかね? とりあえず時系列順には「麦酒の家の冒険」が次のようですし、まずは素直に発表順に読むことにします。ノベルス版のねじれビールデザイン面白いですね、ブックオフで見かけたら見てみます。アドバイスありがとうございました! イスカリオテを読んで気持ちがラノベ読みになったので、「好きなライトノベルを投票しよう!! 2013年上期」に投票します。でもあくまで気持ちだけなので、投票先はCノベと少女小説です。だって上半期発売の少年向け文庫の読了数は僅か1……。こんな状態での投票は少し気が引けますが、最近のCノベ面白いんで! タイトル横の◆が感想リンクになってます。 ◆ ブレイブレイド3 惨下の都 (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア) ◆ 八百万の神に問う1 春 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア) ◆ グルア監獄 蒼穹に響く銃声と終焉の月 (九条 菜月/C★NOVELSファンタジア) ◆ (仮)花嫁のやんごとなき事情 離婚できずに新婚旅行!? (夕鷺 かのう/ビーズログ文庫) ◆ 幽霊伯爵の花嫁 闇黒の魔女と終焉の歌 (宮野 美嘉/ルルル文庫) ◆ 英国マザーグース物語 裏切りの貴公子 (久賀 理世/コバルト文庫) 【13上期ラノベ投票/9784125012469】 【13上期ラノベ投票/9784125012452】 【13上期ラノベ投票/9784125012490】 【13上期ラノベ投票/9784047287242】 【13上期ラノベ投票/9784094522488】 【13上期ラノベ投票/9784086017022】 <最近読んだ本> ◆ イスカリオテ7 (三田 誠/電撃文庫) 【amazon】 前巻ですでに凄い盛り上がりを見せていた「イスカリオテ」最終巻。 前巻以上の盛り上がりで凄い最終巻でした、名作! 6巻ラストで一回ピークがきてどう締めるのかワクワクしてたわけですが、こうも全てを見せてくれて大団円に辿りつくとは、恐れいりました。 主人公が退場したところから始まって、ノウェムの孤独な戦いがまず熱い。皆が忘却している中で、というのは結構見る展開ではありますが、世界を守ろうとする側、イザヤを救いたい側、双方の気持ちがとてもよく理解できるから、対峙シーンが凄く引き立ちます。ノウェムだけじゃなく、シスター・レアもカルロもかっこいい。 で、そこからが凄かった。これまでの設定を最大限に活かして、想像外の盛り上がりをがんがん見せてくれる。諫也登場はまだ理解できる範囲(これも驚いたんですけど)にしても、完全に終わったと思っていたバビロンの大淫婦の再登場とか! そんなの出てきただけで滾りますよ! 満足そうな最期で良かった。 主役2人も盛り上げる盛り上げる。繰り返し設定なんて大好きでテンション上がるに決まってるし、シミュレーションしちゃう馬鹿なノウェムまでいるんだから、たまらないですよねもう。イザヤ呼びで、苦しい思いを共有して。この2人大好き。 そして最後の戦い、その組み合わせをもってこられただけで読者の負けです。諫也の大罪はなるほどと思えるもので、悲しく切ない。それに対して応えるイザヤが素晴らしい。半年の暮らしと見てきた大罪が糧になって、ここに至ったから叫びが胸に響く。本当にかっこいい主人公でした。ニセモノですらないものの呼び方で終わる、最後の着地も完璧。 1巻の段階からノウェムかわいくて盛り上げ方もかなりツボで、その勢いを最後まで保つ、いや増してくれました、名作でした。三田さんは昔もスプラッシュとか好きでしたし、他作品もまた読んでみようと思います。まずはレッドドラゴンから。 評価 ☆☆☆☆★(9) ◆ 身代わり伯爵の婚前旅行II 狙われた花嫁 (清家 未森/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 「身代わり伯爵」アルテマリス里帰り編は、相変わらず甘々健在でした。1巻の感想書いてませんが、1巻も2巻も甘い甘い。いつでもどこでもイチャイチャが自然になってきてます。で、それを見たアルテマリスの面々の反応が楽しい。アルテマリス時代を考えたら、そりゃ面食らったり感慨にふけったりしますよね。騎士団と舎弟の交流も楽しかった、パンで通じあう心。 事件はミレーユが斜め上な気の使い方をしてドタバタ。前にもこういうことありましたし、これがミレーユなのは分かってますけど、今のミレーユがそれをやるのはちょっと無理やり感がある気がしました。明るみになったときでなく隠したときのリヒャルトの気持ちももう少し気にしてほしい、というのが引っかかりポイントなのかも。 婚前旅行編はサブキャラの動きも色々ありましたが、とりあえずジャックさんが南無い、完全にパパのかませポジションの準備。これはこうなることを見抜けなかったリヒャルトが悪いともいえますね。 セシリア様が今回出番多かったですね。リヒャルトと過ごす時間が取れたのはよかったなあという気持ちに。フレッドのこともより一段好きになりましたね、大人になろうとする姿や「素敵なうえに実はいい人」と思うところなどかわいかったです。だからフレッドも早く気持ち見せてください! セシリア様に悟られちゃうような感情の出し方して、分からないんですよ本音が! 個人的にはユーシスが散々放置されたあげく、ちょい役だけで終わったのが寂しいです。もうちょっと活躍の機会を! 活躍=不憫、な気もしますが……。 評価 ☆☆☆★(7) |