こちらは商業小説編になります、オンライン小説編はこちら。全然読めてないなと思いつつ、数えたら50冊程度は読んでました。500冊読んでいたのは遠い昔。
女王の化粧師2 (千 花鶏/ビーズログ文庫)
はい、今年も女王推しからです。2巻発売して本当に良かった!! ビーズログさんありがとう!! 1巻だけだとこの物語の魅力の多くが伝わらずに終わってしまうので、秘密の1つにも踏み込む2巻まで進んだのは嬉しい。初めて読んだときは好みの設定に狂喜したのを覚えています。ここのネタバレをどうするかは推す際に悩むんですけれど、驚きを奪いたくないので結局伏せてます。2巻ではヒースの魅力が1巻より前面に出てきたのもポイント、最後の名前呼びの繰り返しが切なくて素敵。2巻の詳しい感想はこちらに。
でもまだ足りません。自分を含めて多くの読者を女王沼に引きこんできたであろう序幕終わりまで、ここまできたら何とか刊行してほしい。序幕終わりに辿り着ければ天下だって取れると、書籍化前からずっと思ってます。序幕終わりまでに2冊分の文量ありますが、電子版ならまとめて1冊のウルトラCとかできませんかね? 鈍器も刊行している電撃とかならともかく、ビーズログだと若干厳しそうですが、そこを何卒どうにか。
ところで、
ちょっとBookWalkerのギフトが1,2巻ともに余っているんですが、まだ購入されてなくて興味ある方がいたらご連絡ください。無駄になるのは勿体ないのでお気軽に。広がれ読者!
Babel III 鳥籠より出ずる妖姫 (古宮 九時/電撃の新文芸)
3巻が発売されて感無量です。Babelはこのキスク編とラストがとても好きで、それだけに文庫版2巻打ち切りは本当に悲しい事件でしたので……。UMとBabelを刊行してくれただけで、電撃の新文芸には感謝しかありません。
キスク編を読んで、言葉と意志だけで道を開いていく雫の姿に改めて圧倒されます。もう最初の試験からして強烈で、刻々と迫るタイムリミットへの恐怖や突き落とされる絶望を味わい打ちのめされながらも、そこで折れなかった雫が格好良すぎる。スリリングで見所たくさんで、最初の章だけでも割とお腹いっぱいになったくらい。
で、それが序の口なんだから恐ろしいですよね。オルティアから武器をつけられても言葉を止めない雫にゾクゾクさせられます。1巻の頃に比べて言葉に経験が伴ってきているし、オルティアの心を動かして、また雫がオルティアに情を移していくのがよく分かる。そして、真に主従になってからの交わす言葉の一言一言に強固な信頼を感じるのが最高にすぎる。票決の最後とか痺れますよね。そう、この姫と雫を書籍で読みたかった。
書籍化にあたり、もう少しマイルドになるかもとも思っていたんですけれど(対ジレドとか)、容赦なかったですねさすが。この辺りは、そこまでしないでもと思う一方、えぐさがあってこそ雫の頑なさが映えるとも思うので複雑です。そういえばウィレットを活かした対ジレド作戦、シリアスの中のほんのり痛快さが気に入ってます。ウィレットは癒し。
あとキスク編といえばニケですよ。Babelの恋愛面については割と状況状況で応援対象が揺れるんですが、3巻のニケの不器用な思いやりはとても良いですよね。魔法薬作ってくれるシーンとか、お前それ優しさ以外の何が詰まってるんだと。もう少し素直になってもいいと思うんですが、素直なニケはニケでないので難しい。でも、敵に塩送らなくてもいいと思うんですが!! 気持ちは納得いくんですけれど、そのくせ最後にああいうことしますからね。お前そういうところだぞ。
Web版で一番大好きなのが最終巻部分なんですよね。書籍ではどういう形で結末を迎えるんでしょうか。
ダイブ・イントゥ・ゲームズ2 電子の海で出会った仲間たち (佐嘉 二一/レジェンドノベルス)
今年の書籍化組の中でもお気に入りの一作、様々なゲームを楽しみながら、ボッチ主人公が時々友人との交流を深めていく青春ストーリー。
とにかく遊んでいるゲームがどれも楽しそうなのが魅力な作品。2巻では、相棒と一緒に空を駆けて商売する「セレスティアル・ライン」編が書籍化に伴い分量縮小されたのにはしょんぼり。登場ゲームの中でもお気に入りの一作だったので。でもその分、ヒーローやヴィランになりきって闘う「Destiny Blood」編が加筆でより面白くなってました。最後の「インフィニティ・レムナント」編もソロでの魅力、仲間と遊ぶ際の魅力、どちらも描いているのが良き。他ゲームでの繋がりによる思わぬ邂逅にもにんまりします。
なろうの連載の方も楽しんでます、青春チャンネル編の気の置けないワイワイしたやりとり大好き。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん (恵ノ島すず/カドカワBOOKS)
去年の作品ですが、読んだのが今年だったので。なろう版は少しだけ読んでピンとこずに止まったんですが、評判を聞き書籍を読んだら素敵なラブコメでした。
ツンデレ悲恋悪役令嬢を実況解説で救うというアイデアが良いというのもあるんですが、それより何よりツンデレなリーゼロッテのジーク一直線な恋心がかわいい。そして、そのかわいさが実況解説によってジークにも読者にも筒抜けで、リーゼロッテの一挙一動にニヤニヤできる。もうこれだけでこの物語の成功は約束されたようなもの。また、リーゼロッテとジークを幸せにしたい! という実況解説のモチベーションにも全力で同意できて、読み進めるのが楽しい。小林さんが読者の代わりに萌え転がってくれるので、同意の意味でいいねボタンを押したい。なろう版を何故途中で読むのやめてしまったのか、過去の自分が謎です。
メイン以外の2組のカップルもそれぞれかわいかったですね、恋した脳筋馬鹿ほど恐ろしいものはそうそうない、とバルの愛の言葉ラッシュで分かりました。後半の展開は、小林さん同様に拍子抜けしちゃう面もありましたけれど、思いが通じ合ったリーゼロッテが大変可愛かったので、それだけで満足でした。
エリスの聖杯3 (常磐 くじら/GAノベル)
祝完結。ちゃんと最終巻まで刊行されて良かったです、ラストシーンがあってこその本作だと思うので。
国家を揺るがす陰謀に迫るサスペンスでもありましたが、それ以上に、お人好しで頑固なコニーを主役とした少女小説だよなあと思うのです。無茶な行動力を発揮したりして人を惹きつけ、不器用な人に恋をして時には引っ叩いて気持ちを伝えて、さらには唯我独尊なスカーレットの心も溶かして。これまでのコニーの行動が活きてくる終盤の展開が気持ちいい。終盤の挿絵つきでのコニーとスカーレットのシーンは、どれも素晴らしいの一言でした。かわいくて行動力ある主人公は良いですね。
書籍版についた一言キャラ紹介の身も蓋もなさも笑えて楽しかったです、コニーの欄、半分くらいはひどい。
筺底のエルピス (オキシ タケヒコ/ガガガ文庫)
そういえばエルピスを一気読みしたのが今年でした。感想に書いたとおり、毎巻新たな魅力が追加されて面白さがどんどん増していく化け物SFでした。絶望への叩き落とし方がとんでもない物語ですが、全くそれだけではない濃密な読書体験。7巻が待ち遠しいです。