2019年読書まとめ記事

2019年12月26日(木)

もはや、まとめ記事=生存報告になってきていますね。生きてます。
海外暮らしになって物理書籍は手に入りづらくなりましたが(女王とUMだけは取り寄せました)、電子書籍やオンライン小説はそれなりに読んでます。
ただいま日本に帰省中で、紙書籍しか出ていない十二国記は確保しました。来年読みます。

というわけで今年のまとめ、商業・オンライン小説まとめて。作者名は敬称略。


女王の化粧師 (千 花鶏/ビーズログ文庫)

2019年といえば、何といっても女王の書籍化ですよね。素晴らしい1年でした。書籍版ではマリアージュ様の魅力が5割増しで、名君への第一歩を踏み出していましたね。
このサイトを見に来るような皆さんはもちろん購入済ですよね。え、買ってない? 今すぐAmazonBookWalkerへGo! 知り合いの方は年内に声かけていただければ無料でお送りしますよ!(布教用に買ったのが余っているので) 推しポイント書いた記事はこちら
コミカライズの影響か最近新規読者が増えているように感じますし、何とか2巻3巻と出て欲しいです。巻が進む毎に面白さ増すし、序幕終わりまでいければ人気爆発するって信じているので!

Web連載の方は3幕が佳境。ここにきて、序幕での様々なシーンが重みを持ってくるのには脱帽する他ないです。こちらのオススメ紹介本への寄稿で、「序幕終了の先に壮大なロマンスが待っている」と書きましたが、今まさに最高のロマンスを味わってます。切なすぎてしんどい。最初の頃からこの物語を追いかけてきて良かった、と特に最近感じます。Web版未読の方も、3幕がそろそろ終わるキリがいいタイミングで是非。


Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て (古宮 九時/電撃の新文芸)

今年はUnnamed Memoryまで書籍で読むことができました。しかも、このラノ第1位になってAct.2も発売決定、本当にめでたい。Act.1ラストはピンポイントで何度も再読しているくらい好きなんですよね、オスカーが格好良すぎる。(その後ついつい先まで読んでしまうのがお約束パターン)

この調子でがんがん売れて、Babelの続刊やRotted-Sも読みたいです(強欲) 特にBabelは姫とニケが好きなので3巻読みたいし、Act.4の雫が最高に好きなので最終巻まで読みたいのです。電撃は間が空いての続刊もたまにありますし、読める日を願います。
あ、Unnamed Memory1巻も特典確保用に買ったのが余っているので、未読の知り合いの方いたら女王と一緒に送ります!


フシノカミ 1 ~辺境から始める文明再生記~ (雨川 水海/オーバーラップノベルス)

なろうでの連載開始当初から、これは書籍化するだろうなあと思ってました。
前世の知識持ちを活かして中世風の世界を変えていくというのはよくある設定ですが、主人公アッシュの、生活を良くするために突っ走る熱量にぐいぐい引っ張られます。変人と紙一重なくらいにパワフルで、活き活きとした語り口が小気味良くて楽しい。辺境の村の厳しい環境が少しずつ変わっていくのを見るのもワクワクさせられます。
書籍版では幼なじみのマイカ視点が加わって甘さ増量なのも個人的に嬉しかったポイント、この調子で加筆あるなら続きも大変楽しみ。


私の従僕1 (トール/アース・スターノベル)

こちらもなろう発作品。貴族のお嬢様に仕える従僕が主人公です。
お嬢様は無邪気で何をしでかすか分からないびっくり箱みたいなトラブルメーカーで、小悪魔というよりも悪魔と表現する方が近い存在。そのお嬢様を口八丁手八丁でごまかしつつ、ごまかしきれずに時にムチ打たれ、それでも割と飄々と生きている従僕。この主役2人の関係性が独特で、妙にハマるんです。従僕がたくましすぎる。
Web版の最新話まで読んでも、いまだに底を見せないお嬢様とんでもない。何も考えていないのか聡いのか、の絶妙なラインを生きてます。


エリスの聖杯 (常磐 くじら/GAノベル)

まだまだ続く、なろう発の作品。いかに書籍オリジナルを読んでないかが分かりますね。明らかに守備範囲のはずなのに、書籍発売直前まで存在を知りませんでした、不覚。
サスペンス、ミステリー、友情、恋愛、など色んな要素てんこ盛りなお話ですが、一番はコニーとスカーレットの関係性ですよね。スカーレットに振り回されるだけの一方的な関係ではなく、コニーの善良さや向こう見ずな行動力がスカーレットにも影響して、徐々に似合いのコンビになっていくのが良いです。本編の最後がとても好きなので、そこまで書籍化されると良いなあ。
しかし、こういう物語が少女小説レーベル以外から出て人気が出る、良い時代です。


オカルトちゃんねる (lpp/富士見L文庫)

2ch風掲示板形式でのホラーという、あるようでなかった、なろう小説。発想と組み立てが素晴らしいなあと思います、掲示板形式のおかげで怖さが程よく和らぎ、掲示板だけで進むので現地の様子が分からないドキドキ感があり。何より、超常的だけど人間味あるキャラクターをメインに据えていることでただの怪談で終わらない面白さがある。ミドリさんも咬みつきさんも、スレ民との距離感が絶妙に良いのです。


悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました6 (永瀬 さらさ/角川ビーンズ文庫)

とにかくリリア様が凄かった最新刊。この手のジャンルで悪役がここまで化けたのは記憶にないです。連載でのアメリアとの対決での格好よさには本当に驚かされました、こんな姿見れるなんて初期では想像つかないですよね? 6巻はアイリーンとリリアの物語だったなと思います。


魔法世界の受付嬢になりたいです2 (まこ/アリアンローズ)

ここ2-3年まとめで挙げてる作品、つい最近Web版本編が完結しました。最後まで素晴らしいケンカップルでしたので、ケンカップル好きは是非。


小雀恋模様 (28号/小説家になろう)

ここからオンライン小説です。「魔王はハンバーガーがお好き」などを書いている28号さんの今年の新作、落語家の女の子が主役、という珍しい設定の恋物語。
割と重たい設定なのに、主人公の明るさとヘンテコさのおかげで重さを感じず、むしろ勢いあってハッピーな気持ちになれる話です。シリアスとコメディが煮込まれて誕生した小雀のキャラクター造形凄い。こういう変わった設定をうまく見せるの、28号さんらしい作風だなあと感じて好き。


その無限の先へ (二ツ樹五輪(*´∀`*)/小説家になろう)

今更感もありますが、今年終了した6章ラストが素晴らしかったので改めて。伏線をがんがん回収しても全貌がまだまだ見えない壮大さ、罪も何もかも抱えて進み続ける意志の眩しさ、いやー熱くて格好いい。まだまだ先長そうですが、女性向けでないなろう作品では一、二を争うくらい好きな物語。


シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 (硬梨菜/小説家になろう)

今更語るまでもない、恐ろしいクオリティと更新ペースを保つ化物小説。サンラクの熱量が相変わらずすごい。ヒロインちゃん今年は頑張りましたが、このペースでも何年かかるか分からないのが何とも……。


アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい (翠川稜/小説家になろう)

転生による人生やり直し物。不器用でコミュ障な主人公が、母親の再婚でできた新しい家族と、転生前にはなかった関係を築いていくのを応援したくなる話。転生云々というよりも青春ストーリーとして面白いです。イケメンな義兄との気の置けない関係がいいアクセント。焦れ焦れ恋愛もあるので、そういうのが好きな方も。


「前世の記憶がある」と自称する幼馴染と野球をする話 (日戸有芽/小説家になろう)

タイトル通り、甲子園を目指して進んでいく少年少女の野球ストーリー。
前世物のお約束(?)通り、チートな能力を持っている幼なじみもいますが、それによる無双自体を楽しむというよりは、快進撃しちゃう野球部の緩い雰囲気を楽しんで読んでいます。何もしてないのに勝手に名将として祭り上げられていく先生が哀れだけど笑えます。チートで我が道を行く幼なじみと振り回される主人公による、夫婦漫才なやりとりも愉快(甘さはないですが)


憑依ワカメ奮戦記 (ワカメモドキ/ハーメルン)

二次創作にも少し手出してました。Fate/Zero世界の慎二に憑依した主人公が、生き残るために奮闘するお話。
「生き残るなんてどう考えても無理ゲー」という状況から、戦力を整備して知恵を振り絞って危機を乗り越えていく様が胸熱です。慎二がZero時空で、という設定がとにかく厳しすぎるので、それを一発ネタでなく真っ向から書ききったのが凄い。終盤の展開は圧巻でした。主な戦力が蟲など癖もある物語ですが、合う人はハマると思います。

好きラノ2019上期投票

2019年7月10日(水)

久々に好きラノに参加します。


女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (千花鶏/ビーズログ文庫)
【19上ラノベ投票/9784047355231】

はい、女王を推すための参加です! ここ数年でのマイベストWeb小説の書籍化です。何としても続きが出てほしいのです。プッシュ記事を以前書いたので、詳しくはこちらを。


Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI) Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (古宮九時/電撃の新文芸)
Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (古宮九時/電撃の新文芸)
【19上ラノベ投票/9784049122671】
【19上ラノベ投票/9784049123807】

UMも待望の書籍化。王様と魔女の楽しい掛け合いや惹かれ合い、壮大さに驚かされるストーリー、脇役まで愛しいキャラクター達(既登場だとラザルとパミラ推しです)、全てが大好き。4巻以降も出ますように!


魔法世界の受付嬢になりたいです 2 (アリアンローズ)

魔法世界の受付嬢になりたいです2 (まこ/アリアンローズ)
【19上ラノベ投票/9784866572222】

努力家で負けん気の強い女の子と完璧貴公子を中心とした、ほのぼのお仕事ストーリー。ケンカップル未満な応酬がラブコメ的に大変おいしいです(特に貴公子側の執着が見え隠れするあたり)。
最近、Web版での更新が最高に盛り上がってます。連載開始から今まで読んできてよかった。


魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (MFブックス)

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (甘岸久弥/MFブックス)
【19上ラノベ投票/9784040656342】

ゆっくりした空気のお仕事物。ダリヤとヴォルフのお互い信頼しきった関係が、恋人にもなっていないのに夫婦のような安定感があって素敵なのです。2人での食事シーンがとても美味しそう&幸せそう。


天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (小川一水/ハヤカワ文庫JA)
【19上ラノベ投票/9784150313623】

ライトノベルか? と判断を迷いましたが、ついに着地を迎えた、この素晴らしいエンターテイメントを入れないわけにはいけないだろうと。大団円に感無量でした。


「女王の化粧師」書籍化おめでとうございます!

2019年3月3日(日)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師、書籍化おめでとうございます!!!!
本当に大好きな物語なので、この度の書籍化は嬉しいことこの上ないです。

本記事は、みんな書籍買って読みましょう、Web版も読みましょう! というプッシュです。
この記事読むよりも本文読んだ方が断然面白さが伝わるので、「いますぐ作者様のサイトなろうカクヨムにどうぞ!」で終わってもいいのですが、この素敵な物語を読まずにいる人を減らすため、少しでも背中を後押ししたいのです。読んで、そして一緒にお勧め勢になりましょう。
それではネタバレなるべく伏せつつ、魅力的なポイントを挙げていきます。


1.骨太のストーリーが面白い!
花街の化粧師であるダイが女王候補に喚ばれるところから始まるこの物語、色々な見所があるのですが、まずはストーリーから。一介の民であったダイが、慣れない環境に苦労したり事件に巻き込まれたりしながら、国の大きな流れに深く携わっていくストーリーは、大河ロマン的な面白さがあってそれ自体が読み応えあります。世界観もかなり練りこまれていて、物語が進むにつれ何気なく語られていたことの背景が明らかになり、そこまで考えられているのかと唸ることが幾度もありました。

その物語の主役であるダイは化粧の腕を除くと非力な一般人なんですが、そんなダイを魅力的な主人公たらしめているのが化粧師としての意志の強さだと思います。化粧師であることに対して矜持を持っていて、それを覆そうとする圧力に対してはどんなに危険でも意志を曲げない。その姿勢や技術が周囲に影響を与えていく様子が実に格好良いのです。例えば序幕の3章終わりで、周囲の人間に対して切る啖呵がとても好きです(このシーンはおそらく1巻にも入るはず)。芯の通った主人公の少女小説が好きな方にはきっと刺さるはずです。
またダイ以外にも、自分の仕事や使命に対して真摯にあろうとする登場人物が多く、それが登場人物たちや物語をより好ましいものにしているのです。

あと特筆しておきたいのが、情報の隠し方・見せ方の見事さ。上でも少し触れましたが、伏せられていた事実が明かされ、これまでの風景が塗り替えられる様に何度驚かされて叫んだことか。そういった物語体験の面白さも味わえます。

2. ときめくロマンス!
少女小説なのでもちろんロマンスもあります、それも極上のロマンスです。作者様が言われているように序盤は甘さ控えめでも、ちゃんと甘くなります。

どうときめくかを語ろうとするとネタバレになってしまうのですが、一つ言えるのは、登場人物たちの生き方が恋をとても切ないものにしているのだと思います。上で述べたように、自身の仕事や使命を大切にして生きているので、その在り方を曲げるような行動はなかなか選べない。狂おしい想いはあっても、それを押し殺したり切り捨てたりしようとする。その手の切ないロマンスが好きな方には、この物語はツボだと思います(実体験済)。

もう一つはっきり言えるのは、序幕を読み終わった時点で、この物語を最後まで見届けなければと強く思うはずです。数多く読んできた物語の中でも、女王の序幕の幕引きは鮮烈に心に焼きついています。これから読む方、序幕を読み終えたら止まらなくなるのでお気をつけください。

3. 主従の関係が尊い
とても大事なポイント。「女王の化粧師」というタイトルのとおり、本作は主従の物語でもあります。
「私に出来ることはただひとつ、貴女を、貴女が望むように美しくすること」
そんな言葉から始まるダイとマリアージュ様の関係。理解者が誰もおらず孤独だったマリアージュ様にとって、現れたダイが投げかけるダイの言葉は、間違いなく転機。女王らしさとは何か、どう在るべきかをひたすら悩み変わっていくマリアージュ様の姿は、主人公だと思えるくらいに胸を熱くさせてくれて、「女王になってほしい、彼女が作る国の物語を見たい」、そんな想いを抱かせられます。序幕の5章引きのマリアージュ様、既読の方みんな好きだと思います、自分も大好きです。
ダイにとっても、自身の存在を望く強く望んでくれて、また同年代の近しい理解者として、時には友人のようでもあるマリアージュ様は大切な存在で。その関係はとても尊く、無二と呼べるくらいの絆の強さで、この物語はこのタイトルでないとと思わせてくれるのです。

4. お仕事描写や登場人物の魅力
お化粧シーンの描写が凄いんです。自分は化粧についてド素人ですが、それでも光景が浮かぶほど、顔が作り上げられていく過程の描写が丁寧。「貴方の化粧には力がある」という言葉に強い説得力がありますし、単なる仕事描写ではなく物語の一部になっていて魅せられます。

ダイに限らず、登場人物の生き方が魅力的というのは上にも書きました。女王候補や家を支える臣下をはじめ様々なキャラがいますが、自分の一押しはダダンです。いわゆる情報屋なんですけれど、経験に裏打ちされた行動力や洞察力、それでいて情が厚く苦労性気質、どこか影があるところ、など全部が好き。ダダンが登場するだけで小躍りするくらいです。そう、ダダンが大好きなんですよ!(既読の読者の皆さんには伝わる叫び) この気持ちを分かち合える人がもっと増えてほしい。


面白さの1割も伝えられていない気がします。是非Web版を最新話まで読んで書籍版も買って、一緒に続きを待ちわびる同志となりましょう。