最近のオンラインノベル読書

2020年5月10日(日)

女王の化粧師2巻発売決定おめでとうございます!!!!!!

いやー、本当に良かった。ひとまず電子書籍版だけではありますが、これまで2巻が出なかった作品を星の数ほど見てきたわけで、続刊が出るだけでもまずは御の字です。しかも大幅改稿と圧縮で6章まで収録とのこと。控えめにいって神では? これでより多くの人が女王の沼にハマって布教をはじめますね。もちろん紙の本も欲しいですけれど、何よりも願うのは序幕終わりまでの刊行です。そこまでいけば沼が人で満員になるはずです。

というわけで、しばらくはTwitterで事あるごとに騒ぐと思いますが、去年からそんな感じだったので通常運転です。フォロワーさんなど知り合いで書籍版未読の方いたら、いつでも電子書籍でギフトお送りしますので。推しは推せるときに推すんです。


さて、ここからが本題です(本記事は女王の化粧師のプッシュ記事ではありません)。著者の花鶏さんにサイトを紹介していただいたんですが、このサイト一覧を眺めていて気づいたこと。
「女王だけしか推してないサイトに推しの説得力ないよね……」
これはいけない。というわけで、女王2巻発売に向けて、サイトを微復活させることにしました。微復活なので亀ペースの更新ですが、止まらない程度に動かせればいいな(希望的観測)と思ってます。

リハビリがてら、最近のオンノベで好きなものの感想を。著者名は敬称略です。

 

Dジェネシス ダンジョンができて3年 (之 貫紀/小説家になろう)

ダンジョンが世界中にできて探索者がいるのが当たり前になった世界で、偶然でいきなりランク1位になり特殊なスキルも手に入れた研究者が主人公のお話。
あらすじだけ並べるとテンプレ作品っぽくも見えますが、このお話の違うところは、主人公たちの研究者らしい好奇心。主人公もその相方も根が研究者気質な上に、楽しく人生をおくることに重きを置いていて、能力はチートでもそれを嫌味に感じません。
国家や権力の陰謀や駆け引きなどは二の次、ダンジョンの謎の検証に夢中になったり(研究者に数値をたくさん与えてはいけません)、日々の食事を楽しんだり、あくまで日常の延長線でダンジョンをエンジョイしている姿が見ていて楽しいです。
ダンジョンの設定自体も面白いし、雑学や学問などの小ネタも色々と織り交ぜられたりしていて、見所たくさん。恋愛要素は薄めですが、このお話はその方が合っている気がします。近江商人な三好の活き活きした姿は、恋愛ありだと多分見られなかった。

現実世界にモンスターが溢れるローファンタジーのジャンルはいまいち惹かれず、ランキング上位作品を読んでも「うーん」となることが多かったんですが、これは一気に読みました。書籍版は現在1巻が発売中。

 

私達、欠魂しました (守野伊音/小説家になろう)

暗殺者から王子をかばったら一緒に欠魂し、王子と離れたら昏睡してしまう関係になった魔術師の女の子のお話。タイトルの一発ネタと見せかけて、中身はとてつもなくエモいから、守野さん作品は油断できない。

最初はかなりコメディ寄りなんです。無表情だけど思考回路が斜め上にぶっ飛んでいる主人公エリーニの言動がおかしく、振り回されて胃が死にそうになっている王子を見るのが楽しい。王子のセリフ、半分以上はツッコミ(もしくはツッコミが追い付かない嘆き)なのでは? エリーニは独特すぎてキャラが表現しづらいんですが、無表情マシンガントークとかする子です。一人称の文章でこのキャラを成立させているのが凄い。会話が愉快なおかげで、王子の味方は友人の医者1人だけという酷い状況なのに、全く悲壮感がないです。

そんな中、離れられない関係をごまかすために、偽装の恋人関係をはじめるんですが、ここからがまた独特。何せ、主人公が唐突に王子への好きを語りはじめます。王子は当然驚きますが、読者も驚く。一人称なのに真意がはっきりと分からない。でも何やらエモいのは分かる。この辺で期待が高まってきます。

そして随所に撒き散らされる伏線からの後半の回収パート。何これ尊い。ネタバレ防止のために何も書けないんですが、結びつきがあまりに素敵すぎる。直球な感情のぶつけ方にノックアウトされました。皆に幸あれ、そして王子は強く生きて。

 

ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~ (赤鯨/小説家になろう)

タイトルの通り、ぼっち主人公がVRゲームを遊ぶお話。1つのゲームをやり込むのでなく、色んなゲームを渡り歩いていくのが、この手のお話としては珍しいです。海の生き物となってリアルに生態系を味わうゲーム、ヒーローやヴィランのなりきりを楽しむゲーム、飛行船乗りになって相棒の動物と空を駆けるゲーム、ガチのロボゲー、などなど、バリエーション豊かでどれも面白そう。
そして、主人公がゲームを心から楽しんでいるのが伝わってくるのが良いのです。最初はぼっちだったのが、ゲーム仲間と時々一緒に楽しむようになるのもホッコリ。

そもそも、ゲームを遊んでみたいと思わされた時点で読み手の負けです。ラオシャンでイルカになって海を泳ぎたい。書籍化決定済です、6月発売予定。

 

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 (硬梨菜/小説家になろう)

何度か挙げてますし今更ですが、オルケストラ編が最高だったので一言だけ。サイナの歌、素晴らしすぎでは?? この作者さんはこんな見事な舞台構築をどうやっているのか……。

 

本好きと香霖堂~本があるので下剋上しません~ (左道/ハーメルン)

タイトルから分かるように、本好きの下剋上の二次創作で、東方とのクロスオーバー作品。一言でいうと、序盤のマインさんの色々な障害(本がない、虚弱)が、あるお店の影響で取り除かれたifのお話。結構変化が大きいifなのにマインの再現度が高い、それがこの物語の好きなところ。本が読めちゃうので当然マインやルッツの進む道も変わってくるんですけど、その変わり方の切り口が面白いし、マインは変わらずやらかしたり暴走したりするし、ifとしての完成度が高いです。ベンノさんには強く生きてと言いたい。

東方とのクロスオーバーですが、東方知らなくても楽しめます。自分も当方はキャラ設定を軽く知っている程度なので、東方パートは軽めに流しつつ読んでました。

現在は第一部完。第一部の締めが原作にないオリジナル展開で、この設定だからこそできる優しいお話でとても気に入ったので、紹介することにしました。

2019年読書まとめ記事

2019年12月26日(木)

もはや、まとめ記事=生存報告になってきていますね。生きてます。
海外暮らしになって物理書籍は手に入りづらくなりましたが(女王とUMだけは取り寄せました)、電子書籍やオンライン小説はそれなりに読んでます。
ただいま日本に帰省中で、紙書籍しか出ていない十二国記は確保しました。来年読みます。

というわけで今年のまとめ、商業・オンライン小説まとめて。作者名は敬称略。


女王の化粧師 (千 花鶏/ビーズログ文庫)

2019年といえば、何といっても女王の書籍化ですよね。素晴らしい1年でした。書籍版ではマリアージュ様の魅力が5割増しで、名君への第一歩を踏み出していましたね。
このサイトを見に来るような皆さんはもちろん購入済ですよね。え、買ってない? 今すぐAmazonBookWalkerへGo! 知り合いの方は年内に声かけていただければ無料でお送りしますよ!(布教用に買ったのが余っているので) 推しポイント書いた記事はこちら
コミカライズの影響か最近新規読者が増えているように感じますし、何とか2巻3巻と出て欲しいです。巻が進む毎に面白さ増すし、序幕終わりまでいければ人気爆発するって信じているので!

Web連載の方は3幕が佳境。ここにきて、序幕での様々なシーンが重みを持ってくるのには脱帽する他ないです。こちらのオススメ紹介本への寄稿で、「序幕終了の先に壮大なロマンスが待っている」と書きましたが、今まさに最高のロマンスを味わってます。切なすぎてしんどい。最初の頃からこの物語を追いかけてきて良かった、と特に最近感じます。Web版未読の方も、3幕がそろそろ終わるキリがいいタイミングで是非。


Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て (古宮 九時/電撃の新文芸)

今年はUnnamed Memoryまで書籍で読むことができました。しかも、このラノ第1位になってAct.2も発売決定、本当にめでたい。Act.1ラストはピンポイントで何度も再読しているくらい好きなんですよね、オスカーが格好良すぎる。(その後ついつい先まで読んでしまうのがお約束パターン)

この調子でがんがん売れて、Babelの続刊やRotted-Sも読みたいです(強欲) 特にBabelは姫とニケが好きなので3巻読みたいし、Act.4の雫が最高に好きなので最終巻まで読みたいのです。電撃は間が空いての続刊もたまにありますし、読める日を願います。
あ、Unnamed Memory1巻も特典確保用に買ったのが余っているので、未読の知り合いの方いたら女王と一緒に送ります!


フシノカミ 1 ~辺境から始める文明再生記~ (雨川 水海/オーバーラップノベルス)

なろうでの連載開始当初から、これは書籍化するだろうなあと思ってました。
前世の知識持ちを活かして中世風の世界を変えていくというのはよくある設定ですが、主人公アッシュの、生活を良くするために突っ走る熱量にぐいぐい引っ張られます。変人と紙一重なくらいにパワフルで、活き活きとした語り口が小気味良くて楽しい。辺境の村の厳しい環境が少しずつ変わっていくのを見るのもワクワクさせられます。
書籍版では幼なじみのマイカ視点が加わって甘さ増量なのも個人的に嬉しかったポイント、この調子で加筆あるなら続きも大変楽しみ。


私の従僕1 (トール/アース・スターノベル)

こちらもなろう発作品。貴族のお嬢様に仕える従僕が主人公です。
お嬢様は無邪気で何をしでかすか分からないびっくり箱みたいなトラブルメーカーで、小悪魔というよりも悪魔と表現する方が近い存在。そのお嬢様を口八丁手八丁でごまかしつつ、ごまかしきれずに時にムチ打たれ、それでも割と飄々と生きている従僕。この主役2人の関係性が独特で、妙にハマるんです。従僕がたくましすぎる。
Web版の最新話まで読んでも、いまだに底を見せないお嬢様とんでもない。何も考えていないのか聡いのか、の絶妙なラインを生きてます。


エリスの聖杯 (常磐 くじら/GAノベル)

まだまだ続く、なろう発の作品。いかに書籍オリジナルを読んでないかが分かりますね。明らかに守備範囲のはずなのに、書籍発売直前まで存在を知りませんでした、不覚。
サスペンス、ミステリー、友情、恋愛、など色んな要素てんこ盛りなお話ですが、一番はコニーとスカーレットの関係性ですよね。スカーレットに振り回されるだけの一方的な関係ではなく、コニーの善良さや向こう見ずな行動力がスカーレットにも影響して、徐々に似合いのコンビになっていくのが良いです。本編の最後がとても好きなので、そこまで書籍化されると良いなあ。
しかし、こういう物語が少女小説レーベル以外から出て人気が出る、良い時代です。


オカルトちゃんねる (lpp/富士見L文庫)

2ch風掲示板形式でのホラーという、あるようでなかった、なろう小説。発想と組み立てが素晴らしいなあと思います、掲示板形式のおかげで怖さが程よく和らぎ、掲示板だけで進むので現地の様子が分からないドキドキ感があり。何より、超常的だけど人間味あるキャラクターをメインに据えていることでただの怪談で終わらない面白さがある。ミドリさんも咬みつきさんも、スレ民との距離感が絶妙に良いのです。


悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました6 (永瀬 さらさ/角川ビーンズ文庫)

とにかくリリア様が凄かった最新刊。この手のジャンルで悪役がここまで化けたのは記憶にないです。連載でのアメリアとの対決での格好よさには本当に驚かされました、こんな姿見れるなんて初期では想像つかないですよね? 6巻はアイリーンとリリアの物語だったなと思います。


魔法世界の受付嬢になりたいです2 (まこ/アリアンローズ)

ここ2-3年まとめで挙げてる作品、つい最近Web版本編が完結しました。最後まで素晴らしいケンカップルでしたので、ケンカップル好きは是非。


小雀恋模様 (28号/小説家になろう)

ここからオンライン小説です。「魔王はハンバーガーがお好き」などを書いている28号さんの今年の新作、落語家の女の子が主役、という珍しい設定の恋物語。
割と重たい設定なのに、主人公の明るさとヘンテコさのおかげで重さを感じず、むしろ勢いあってハッピーな気持ちになれる話です。シリアスとコメディが煮込まれて誕生した小雀のキャラクター造形凄い。こういう変わった設定をうまく見せるの、28号さんらしい作風だなあと感じて好き。


その無限の先へ (二ツ樹五輪(*´∀`*)/小説家になろう)

今更感もありますが、今年終了した6章ラストが素晴らしかったので改めて。伏線をがんがん回収しても全貌がまだまだ見えない壮大さ、罪も何もかも抱えて進み続ける意志の眩しさ、いやー熱くて格好いい。まだまだ先長そうですが、女性向けでないなろう作品では一、二を争うくらい好きな物語。


シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 (硬梨菜/小説家になろう)

今更語るまでもない、恐ろしいクオリティと更新ペースを保つ化物小説。サンラクの熱量が相変わらずすごい。ヒロインちゃん今年は頑張りましたが、このペースでも何年かかるか分からないのが何とも……。


アラサーのオレは別世界線に逆行再生したらしい (翠川稜/小説家になろう)

転生による人生やり直し物。不器用でコミュ障な主人公が、母親の再婚でできた新しい家族と、転生前にはなかった関係を築いていくのを応援したくなる話。転生云々というよりも青春ストーリーとして面白いです。イケメンな義兄との気の置けない関係がいいアクセント。焦れ焦れ恋愛もあるので、そういうのが好きな方も。


「前世の記憶がある」と自称する幼馴染と野球をする話 (日戸有芽/小説家になろう)

タイトル通り、甲子園を目指して進んでいく少年少女の野球ストーリー。
前世物のお約束(?)通り、チートな能力を持っている幼なじみもいますが、それによる無双自体を楽しむというよりは、快進撃しちゃう野球部の緩い雰囲気を楽しんで読んでいます。何もしてないのに勝手に名将として祭り上げられていく先生が哀れだけど笑えます。チートで我が道を行く幼なじみと振り回される主人公による、夫婦漫才なやりとりも愉快(甘さはないですが)


憑依ワカメ奮戦記 (ワカメモドキ/ハーメルン)

二次創作にも少し手出してました。Fate/Zero世界の慎二に憑依した主人公が、生き残るために奮闘するお話。
「生き残るなんてどう考えても無理ゲー」という状況から、戦力を整備して知恵を振り絞って危機を乗り越えていく様が胸熱です。慎二がZero時空で、という設定がとにかく厳しすぎるので、それを一発ネタでなく真っ向から書ききったのが凄い。終盤の展開は圧巻でした。主な戦力が蟲など癖もある物語ですが、合う人はハマると思います。

好きラノ2019上期投票

2019年7月10日(水)

久々に好きラノに参加します。


女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (千花鶏/ビーズログ文庫)
【19上ラノベ投票/9784047355231】

はい、女王を推すための参加です! ここ数年でのマイベストWeb小説の書籍化です。何としても続きが出てほしいのです。プッシュ記事を以前書いたので、詳しくはこちらを。


Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI) Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (古宮九時/電撃の新文芸)
Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (古宮九時/電撃の新文芸)
【19上ラノベ投票/9784049122671】
【19上ラノベ投票/9784049123807】

UMも待望の書籍化。王様と魔女の楽しい掛け合いや惹かれ合い、壮大さに驚かされるストーリー、脇役まで愛しいキャラクター達(既登場だとラザルとパミラ推しです)、全てが大好き。4巻以降も出ますように!


魔法世界の受付嬢になりたいです 2 (アリアンローズ)

魔法世界の受付嬢になりたいです2 (まこ/アリアンローズ)
【19上ラノベ投票/9784866572222】

努力家で負けん気の強い女の子と完璧貴公子を中心とした、ほのぼのお仕事ストーリー。ケンカップル未満な応酬がラブコメ的に大変おいしいです(特に貴公子側の執着が見え隠れするあたり)。
最近、Web版での更新が最高に盛り上がってます。連載開始から今まで読んできてよかった。


魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (MFブックス)

魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 2 (甘岸久弥/MFブックス)
【19上ラノベ投票/9784040656342】

ゆっくりした空気のお仕事物。ダリヤとヴォルフのお互い信頼しきった関係が、恋人にもなっていないのに夫婦のような安定感があって素敵なのです。2人での食事シーンがとても美味しそう&幸せそう。


天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (小川一水/ハヤカワ文庫JA)
【19上ラノベ投票/9784150313623】

ライトノベルか? と判断を迷いましたが、ついに着地を迎えた、この素晴らしいエンターテイメントを入れないわけにはいけないだろうと。大団円に感無量でした。