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 1月13日(木)


【最近読んだ本】

お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ (鈴木 大輔/MF文庫J)amazon

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《あらすじ》
この小説は『とある事情で離れ離れになっていた兄妹が、再び一つ屋根の下で平穏な日々を送るようになった様子を、ごく淡々と綴っていく物語』だ。たぶんそんなに面白くはならない。なぜなら兄妹の日常なんて所詮は平凡な――「さあお兄ちゃん、お布団の用意はとっくにできています。さっそく記念すべき初夜を過ごすとしましょう!」「秋子。お前はちょっと黙ってなさい」……失礼、もう一度紹介し直そう。これは主人公である僕が、超ブラコンの妹を初めとする色んな女性たちと――「あ。ひょっとしてお布団じゃなくて、お外でする方が良かったですか?」「いーから黙ってなさい」……えーとすいません、要するにラブコメです! 詳しくはページをめくってみて!


「少年向けをもう少し読もう!」というのが今年のひとつのテーマ。で、最近発売されたこれがなんとなく目について、妹ネタは結構好きだし、ということで読んでみました。

ギンの設定にはがっかりです!
この話、妹一筋なタイトルに見せかけて、中身は妹を中心としたハーレム物。妹の他にも色んな登場人物が出てきます。その中に、電話越しにしか登場しない親友キャラがいたんです。「こいつは男装少女に違いない!」と男装センサーがビビっときたんですよ。
ネタバレをしちゃうとセンサーは故障してたんですが、その設定はもったいないと思うんです。一段階変身残しておかないとキャラ配置的に勝ち目ないじゃないですか。要は親友な男装少女が見たかったよこんちくしょー、ってことです。男装好きでごめんなさい。

それはさておき、全体的にはノリがあまり合いませんでした。妹と主人公の関係自体は、表現は違えどもお互いが大切なことが伝わってきて割と好きなんですが、女性陣と主人公の会話にくどく思える部分がかなり多いのが辛かったです。繰り返しギャグを抜きにしても、どのキャラもアプローチが濃いなあと。読書メーター見る限り好みの問題のようです、MF文庫のノリが合わなくなってるのかこの作品だけなのか、もう少し他作品も読んでみるつもり。


評価 ☆☆★(5)




 
 1月10日(月)


【最近読んだ本】

悪魔のような花婿 遅れてきた求婚者 (松田 志乃ぶ/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
“悪魔伯爵ウイリアム”と結婚し、幸せな新婚生活を送るジュリエット。ある時、有力貴族の代表者が悪魔城に集結することになるが、その前日、何者かが放った魔術によってウイリアムは12歳の姿に…!?


嘘姫の松田さんによるダダ甘ファンタジー「悪魔のような花婿」第2巻。

相変わらず甘くて楽しかったです。前半パートはイチャイチャたっぷり。ツッコミいれる人がいないから、ウィリアムもジュリエットも強制ストップまで止まらなくて、バカップルごちそうさまでした。ウィリアムの自重しなさも楽しいけれど(欲情しすぎ)、このシリーズはジュリエットありきですね。押しに対する弱さ、ヤキモチ焼きっぷり、ボケっぷり、どれも素晴らしい。バルバロッサボケのシュールさが好きです、なんで普通にかぶるんですかこの子は。

後半のストーリーはまさかの続き物。有力者の誰が王家からのスパイか、が焦点になっているわけですが、ジュリエットと同じくみんないい人に見えて候補が見当たりませんよ? 松田さんのミステリーは推理できた試しがないので仕方ないとはいえ、少し悔しい。素直にいくとレディ・モード、次いでアリスが怪しいんですが、ここはあえてヒューの狂言説を。矛盾点だらけなのは気にしない。マルタ尼だけは変すぎるのでないと思います。松田さんは変な婆さん書くの好きですね、出番多くなくてもインパクトあります。

あとがきによると次はもう少しお気楽とのこと。1巻の魔女との馬鹿馬鹿しい対決好きだったので楽しみ。


評価 ☆☆☆★(7)




 
 1月7日(金)


【最近読んだ本】

雨にもまけず粗茶一服(上)(下) (松村 栄子/ピュアフル文庫)amazon

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《あらすじ》
友衛遊馬、18歳。弓道、剣道、茶道を伝える武家茶道坂東巴流の嫡男でありながら、「これからは自分らしく生きることにしたんだ。黒々した髪七三に分けてあんこ喰っててもしょうがないだろ」と捨て台詞を残して出奔。向かった先は、大嫌いなはずの茶道の本場、京都だった――。個性豊かな(おかしなキャラの)茶人たちにやりこめられつつ成長する主人公を描く、青春エンターテイメント前編。


「紫の砂漠」「詩人の夢」の松村さんによるコミカルな現代青春ストーリー。あちこちでいい評判を見かけたので読んでみました。

薀蓄や歴史を楽しく読めるお話でした。お茶の家元の嫡男が堅苦しさ嫌で家出したのに、何故か京都で色々と茶文化に触れることに、というストーリー。お茶については全然知識ないしさほど興味もなかったんですが、お菓子作りも嗜む坊さんや、貴族な格好&喋りの男性など変てこなキャラクターたちの喋りが楽しく、お茶の作法や雰囲気を堅苦しさ感じずに読めました。場にあった軸をかけるということすら知らなかったので、ふむふむとなる興味深いことがたくさん。これ読んでやってみようとまではいかないものの、歳とったら味わってみたいな、と思わせてくれました。あと、京都弁結構好きなので、たくさん読めたのもよかったところ。

この物語、主役の遊馬の成長物語でもあるんですが、その面ではよかったような悪かったような。最初の駄目さがひどいので成長は感じられるんですけど、いい加減なところがなかなか消えないので反感が拭い去れず、でも最後の男気はいいものだったという満足感もあり。差し引きプラマイ0くらいの好感度でした。

遊馬よりむしろ目を引いたのは、弟の行馬の活躍。駄目な兄を反面教師に育っただけあって、12歳とは思えないしたたかさを身につけた男の子。賢いだけじゃなくて大胆なところがあるのが格好良いし、年相応のかわいらしいところがあるのもよかったです。眞由子とのやりとりは見てみたかったなあ、育てるとか言っといて実はベタ惚れなんだろうなあ。

続編もつい最近出たようです、遊馬の成長具合が気になるし読む予定。
最後に一言、上巻の解説で下巻のネタバレするのやめてください。「ネタばらしになるのでこれ以上は〜」ってすでにしてますから!


評価 ☆☆☆★(7)



15×24 link three 裏切者! (新城 カズマ/集英社スーパーダッシュ文庫)amazon

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《あらすじ》
〈17〉とネット心中を図るため、徳永準は〈捜索隊〉の包囲網から再び脱出に成功。彼の噂は真実とデマが入り混じった巨大な都市伝説へと化してゆく。一方、謎の男・ファブリも《名簿》の入った携帯電話を奪回すべく暗躍を開始する――。


大晦日が舞台の自殺食い止め青春群像劇「15×24」第3巻。

物語が加速すると同時に訳分からなさも加速してきました。最初にガツンときたのを皮切りに、どんどんと予想外の方向に、そして規模が大きくなっていく物語。自殺予告から都市伝説クラスの大規模犯罪組織に繋がっていくなんて、凄い転がり方。得体のしれない組織の恐ろしさや、何気にいい感じになるかもしれない笹浦とマリエの関係などは面白かったです。最後の落とし穴は「なんだそりゃー!」の一言なので次巻待ち。
スポットが当たるキャラと当たらないキャラの差が激しくなってきているのは気がかりなところ。次巻でガラっと注目キャラ変わるんでしょうか。もう折り返し地点なのに話が広がりすぎでバラバラ感が出てきたのも気になりますが、これは今後の畳み方次第ですね。どれだけ綺麗に収束するのか、残り半分に期待です。


評価 ☆☆☆(6)




 
 1月4日(火)

メルフォレス。今年からお名前が書かれている場合は名前で返信することにしました。

>なひろんさん

本宮さん作品、「狼と勾玉」と「ダイヤモンド・スカイ」は好みに合わなそうで様子見していました。『ラブが主成分』ときいて調べてみたら狼の方が気になってきたので、購入候補にいれておきます。ありがとうございました!



【最近読んだ本】

道果ての向こうの光〜黄昏の花と暁の騎士〜 (秋月 アスカ/レガロシリーズ)amazon

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《あらすじ》
馬車に轢かれた町娘のユーナは、謎の光に請われるがまま、同時刻に自殺を図った聖女・シェリアスティーナの命を繋ぎとめるため、彼女の身体に入り、1年間の期限付きで王宮で生活することになる。王宮での生活にも次第に慣れ、シェリアスティーナの婚約者であるアシュートに淡い恋心を抱きはじめたユーナだったが、シェリアスティーナの壮絶な過去を知り、王宮を彼女にとって少しでも居心地の良い場所にしようと、身代わり聖女としての残り少ない時間を彼女のために使う決意をする。一方、シェリアスティーナがユーナであることを知らないアシュートは、恨んでいたはずの聖女に好意を感じている自分にひとり苦悩していた──。


暴虐な聖女の身体に心が入ってしまった女の子を描く「道果ての向こうの光」第3巻。

切ない切ない切ない!(3人分)
ユーナに終わりが近づいて、各人の想いが表に出る巻で、主要人物それぞれの想いの切なさに心うたれました。まず切なかったのがイーニアス。優しくて誠実で男らしさもあって、いい男なんですよほんと。ユーナのこういった事情がなければ間違いなくイーニアス応援してます。今回ユーナに気持ちを打ち明けて、いい男っぷりがますます上がりました。変わらず普通に笑えるのは強くて切ない。想いはなかなか消えないでしょうが、ずっと1人なのは寂しいですし、いつか素敵な婚約者とよりを戻してくれると願ってます。

今回株があがったのがアシュート。過去にシェーラに受けた仕打ちは想像していたよりもずっと残酷。心が別人とはいえ、よくユーナのこと許して愛せたなと思います。もちろんユーナの頑張りがあってこそなわけでですが、今の彼にならユーナをまかせても安心。なのにユーナは消える運命なわけで、届いても届かない想いがまた切ない。

そしてユーナ。この物語の中で間違いなく一番強い心をもった子です。シェーラに体を渡す日が近づいていて怖くないわけないのに、シェーラのため、争いをなくすため、泣き言をほとんど吐かずに前へと歩む姿は、かっこいいを越えて美しいの域。全てを諦めまいとしているのに、自分が助かることだけはユーナは「仕方がない」と受け入れているんですよね。確かにどうしようもないんですが、もう少しアシュートのこと激しく求めてもいいのに。落ち着いた想いが悲しく切なかったです。

ユーナが去った後には、確かにユーナのなしたことが意味があったんだと分かって、少し嬉しくなり、また切なくなり。今度は残された者たちが諦めずに道を進む番。彼らの戦いを早く見たい、真相を早く知りたい! 続きが1年くらいで出ますように。


評価 ☆☆☆☆(8)




 
 1月3日(月)

Vanilla Letterさんで毎年恒例の少女小説人気アンケート調査がはじまっています。推したい作品をリストアップしてみたら、昨年は豊作だったようで15作品ほどになって困ってます、C★NOVELSの処遇が悩ましい。読み残しもあるので、ぎりぎりまで迷って選ぶ予定。去年は男性1人で寂しかったので、今年は増えるといいです。



【最近読んだ本】

カラクリ荘の異人たち4 春来るあやかし (霜島 ケイ/GA文庫)amazon

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《あらすじ》
「幽霊を見たことがある?」と、クラスの、それほど親しくもない男子に問われた太一は「ある」と答えた。なにしろカラクリ荘に来てからというもの、幽霊どころか妖したちの絡む色々な事件に巻き込まれてきたのである――が、そこがうまく説明できない。そもそも人との距離がうまく掴めない太一にとって、彼がなぜそんな話を自分にしてきたのか皆目見当もつかないのだった。だが、理由を訊けぬままに別れた後、自分でも不思議に思うほど、その事が気にかかってしまう。以前の自分であればそんな事はなかった。なのに――なぜ!?
賽河原町に春風が吹き、少年の心にも、小さな春が訪れる……。ハートフルご町内妖怪奇談第4巻!!


人や妖怪との交流を通じて、少年の心の傷が癒えていく様子を描いたハートフルストーリー「カラクリ荘の異人たち」完結編。

最後まで暖かな物語でした。ようやく家族と打ち解けたりと人間らしくなってきた太一、でも人間らしくなったために妖怪の怖さにも気づくようになって。人と妖怪の違いを理解して、それでも大切なものはカラクリ荘の暮らしで感じ取っていることを、太一が狢とのやりとりの中で見せてくれたのが素敵。泣けるようになって、笑えるようになって、ああ太一よかったなあ、とほっこりした気分にしてくれました。

太一と采菜の恋もいじらしくてかわいらしくてよかった! 采菜に好きなものを質問したときの太一のずれっぷりがひどくて楽しいし、恋を自覚した太一がふわふわしているのがかわいすぎてゴロゴロしました。この2人はずっとこんな感じでしょうね、鈴子さんたちも交えた幸せな未来像が浮かびます。

個々のお話もジンとくるものが多かったですし(サトリさんいい女(?)!)、いいシリーズでした。ラノサイ杯の後押しありがたいです。こういう路線のお話は別の作者さんでいくつかあるみたいなので、そちらにも手を出していくつもり。


評価 ☆☆☆☆★(9)



異玉の騎士 四界物語2 (黒川 裕子/C★NOVELSファンタジア)amazon

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《あらすじ》
竜騎士として帝国と戦うことを求められるシルッカと、父に裏切られたことを知り傷つくリンゼイ・ヴォー。全面戦争を目前に惑う二人のくだす結論とは? 第6回大賞シリーズ第2弾!


トゲウオ女王様がかわいい、昨年デビューの新人さんがおくるファンタジー「四界物語」第2巻。

頑なな子供たちが印象的でした。いくつかの事実を知った後に、帝国の反対勢力と行動を共にすることになったシルッカたち。でも急激な変化になかなか気持ちの方はついていかなくて。国・父への思いを捨てきれずに周囲に反発する皇子、唯一頼れるシルッカに近い皇子に嫉妬し、トビウオたちにも激しい情を寄せるティー、2人とも過剰なまでに一つの想いに囚われているのを見るのが苦しかったです。もう1人のシルッカはやっぱり頑ななんですが、こちらはある場面でぶん殴りたくなりました、少しはティーの気持ち考えろと。諭してくれる大人が側にいてよかった。
でも、皆子供だから間違い悩むのは仕方ないわけで、こんな世界にした輩が一番悪いんですよね。皇帝への腹立たしさが1巻の倍になりました。遠大な野望があればまだ許せるんですが、どうも小物っぽさがぬぐえませんし。どうやら彼がラスボスのようで、そのせいでストーリーは1巻のイメージよりはややこじんまりした印象に。未知の国を訪れるワクワクもあったりしましたが、最後まで読むかは評判待ちで。


評価 ☆☆☆(6)




 
 1月1日(土)

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。
昨年はオンライン小説にはまったのもあって、ガクっと更新ペース落ちてしまいました。それもあり、今年は運営形態を少し変えようか考え中です。変えることになったらまたお知らせします。


新年一発目は、2010年に読んで面白かった小説10選。

         
         

カラクリ荘の異人たち3 〜帰り花と忘れ音の時〜 (霜島 ケイ/GA文庫)
迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (林 亮介/GA文庫)
金星特急3 (嬉野 君/ウィングス文庫)
月虹の鏡 孤蝶の園の寵姫たち (夢野 リコ/コバルト文庫)
聖鐘の乙女 月の聖女と夜の怪人 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)
wonder wonderful 君がくれた世界 (河上 朔/Regaloシリーズ)
星をさがして (張間 ミカ/トクマ・ノベルズEdge)
夢の上1 翠輝晶・蒼輝晶 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア)
1/2の騎士 (初野 晴/講談社文庫)
ミストスピリット―霧のうつし身―3 秘められし言葉 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)


例年に比べてライトノベル文庫以外が多めとなりました。「wonder wonderful」は本編と同様に人と人の繋がりが素敵な物語。シルヴィお幸せに! そろそろ出るらしい次回作も楽しみです。
新書の2作はどちらも傑作。「星をさがして」は圧倒的なまでの描写の美しさと、女の子が世界を動き回る楽しさが同居した作品。著者の張間さんはblogをはじめて、小説連載もされています。「夢の上」には多崎さんの本気を見ました、まだ1巻ですし「煌夜祭」越えを期待。

一般レーベルの2作はどちらもお勧めされて出会った作品。「ミスト」シリーズは、金属を媒介とした能力バトルの駆け引きの斬新さや、『サンダースン雪崩』と呼ばれる怒涛の展開が魅力。邦訳の割に文章の読みにくさも感じないです(基本的に邦訳文章は苦手)。「1/2の騎士」は少女と少年が2人手をとりあって戦っていくのが凄くロマンチックなミステリー。ミステリーとしても珠玉の出来でした。

少女向け文庫が少ないのは上の作品に押されただけで、当たりの数は一昨年以上だったと思います。中でも抜けていたのは「金星特急」、冒険あり笑いあり謎あり恋あり、巻を経るごとにグングン面白くなってます。凶悪な3巻の引きに本誌に手を出した方も多いようで、仲間が増えて嬉しいです。
金星以外は何を挙げるか迷いました。「聖鐘の乙女」は昨年凄い勢いだった本宮さんの作品。男装少女のラブ全開に負けました、アティもネイトさんもかわいい! もう1作は応援の意もこめて、新人さんの中から「月虹の鏡」をチョイス。苦難の道を進む中でも切れない女の子の友情が、切なく素敵でした。コバルトさんはこういう路線のお話も出していってほしいです。

少年レーベルが少ないのは新規開拓を全然していないから。そんな中、数少ない開拓組の「カラクリ荘の異人たち」は傷ついた少年の心を溶かしていく素朴な暖かさが心に染みるお話。かわいらしい恋が描かれるのもよかったところ。
今年はもう少し少年レーベルも読みたいです。