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 8月29日(日)

9月の購入予定リスト、控え気味。多崎さんの久々の新刊が!

白と黒のバイレ 鳴らせ、再幕のブレリア (瑞山 いつき/角川ビーンズ文庫)
ふしぎの家のアルバイト (石和 仙衣/講談社X文庫ホワイトハート)
轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート)
FATAL ERROR11 啓示 (新堂 奈槻/ウィングス文庫)
女神の娘の恋歌 一瞬の光、永遠の輝き (響野 夏菜/B's-LOG文庫)
天使から百年2 天使から零年 (野梨原 花南/富士見ファンタジア文庫)
夢の上1 翠輝晶・蒼輝晶 (多崎 礼/C★NOVELSファンタジア)
ココロコネクト カコランダム (庵田 定夏/ファミ通文庫)
百億の魔女語り1 (竹岡 葉月/ファミ通文庫)


【今日読んだ本】

平安ロマンティック・ミステリー 嘘つきは姫君のはじまり 寵愛の終焉 (松田 志乃ぶ/コバルト文庫)amazon

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《あらすじ》
ついに、次郎君からはっきりと求婚された宮子。しかし、秘密を抱えた身代わり姫である自分が、東宮である彼の想いを受け入れることはできない。そんな状況に苦しむ宮子は、ある決意を…?


恋心が動き出してきた嘘姫シリーズ最新刊。

次郎君の押しが凄すぎる! サブタイトルをはじめて見た時に、今回は次郎君の試練の回で、次郎君派の自分には心辛い展開だろうなと思ってたんですよ。でもそんな予想はあっさりと吹き飛ばされました。そりゃ東宮様があっさり諦めるとは思いませんでしたけど、ここまで押しが強いとは。宮子にひたすら向けられる甘い言葉にクラクラしました、子供たちが遊んでる裏で迫られるとか凄い色っぽい。これは宮子がぐらついちゃうのも仕方ない。宮子の寝言(?)で正体も知ったみたいですし、もう次郎君が押し切る未来しか見えません。
しかし、あとがきで作者さんが「次郎君派の人は〜」と書かれているとおりの反応をしてしまいました、完全に術中にはまってます。

宮子は東宮ルートだとして、そうなると真幸がどうするかがとても気になるところ。有子様方面に無難に落ち着くのかと思っていたんですが、改めて宮子一筋発言をした以上、簡単にそちらにはなびかなそうですよね。有子は辛い恋になるんだろうなあこれ……頑張れ。

新登場のキャラでは姫子のかわいらしさと尼ーズの年寄りなのにノリがいいところに和みました、扇丸の話あたりのほのぼのした雰囲気が好き。鹿子の現金さにも笑わされたし、脇役たちもいいなあと改めて思わされた巻でした。

史実知らないので先もあまり読めないし、続きも待ち遠しいです。斎がこのまま味方化するとはどうしても思えないので、斎VS東宮とかがそのうちある気がします。きっと気のせい。
以下余談。あとがきで、「悪魔のような花婿」が「甘くてサクサクした洋菓子」に例えられているのに思いっきりツッコミたくなりました。甘いけど、サクサクとか嘘だ!


評価 ☆☆☆☆(8)



 
 8月27日(金)

メルフォレス。

>「Web小説が書籍化されることも〜」の方

「懸想する殿下の溜息」を出しているRegaloシリーズは、2、3年くらい前にできたWeb小説書籍化レーベルなのです。数多ある中から厳選されているだけあって面白い作品が多いですよー、大プッシュした「wonder wonderful」もここから出てます。最近は「ソード・アート・オンライン」みたいに他社でもちらほら書籍化がありますし、流行り気味ですね。
「懸想する殿下の溜息」は設定に惹かれたなら是非是非。


【今日読んだ本】

アリアではじまる聖譚曲 略奪者は聖女をうばう (西本 紘奈/角川ビーンズ文庫)amazon

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《あらすじ》
聖女を守る騎士ユースと神聖王国王弟(おうてい)クラウディオにキスされてしまったアリア。その驚きもさめないまま、ふたたびテルミナによばれ、もうひとりいると言われている聖女候補と聖女真偽試験の対抗戦を行うことに。ところが、その聖女候補とは、アリアを溺愛しているはずのクラスメイトの耀子で!! ユースとクラウディオのアリアをめぐる戦いに、ついに耀子も参戦!? 聖女アリアの爆笑受難ファンタジー、第3弾!!


自称平凡のハイテンション女の子が異世界召喚されて聖女候補になるファンタジー「アリアではじまる聖譚曲」第3巻。

耀子ちゃんが意外すぎました! 前巻までで「クールで腹黒なところもある」イメージを抱いてたんですよ。そのイメージがガラガラと崩れていきました、いやここまで本気だとは。やや常軌を逸しているアリアちゃん馬鹿っぷりが愉快でした。でも自分の身も厭わずにアリアのために動くその決意は、ヒーローたちと十二分に張り合えるというか、普通なら正ヒーロー押しするレベル。

でもこの作品にはクラウディオがいるので正ヒーローは渡せません。あれだけボロボロに言われているのにアリアを手助けしてくれる、その物分りのよさに驚愕です、なんていい男。これでクラウディオルートじゃなかったら不憫すぎる……。

もっと不憫なのがエミリオなわけですが、これはまあ仕方ないですよね。今までの2巻よりも積極的に頑張ってるのにどこまでも不憫な扱い、でもその報われなさがかわいいです。ジュリアスも護ってくれる姿がいつもより男前だったし、男性女性交えたいい逆ハーですね。え、ユース? 出しゃばらないでください。

アリアの凡人アピールも今までどおりに楽しかったですし(空気を読まない昼ドラネタには笑いました)、続きにも期待です、特にアリアVS王様。


評価 ☆☆☆☆(8)



宝石姫は微笑まない。 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)amazon

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《あらすじ》
ルディーン王国の王族は、石の声を聞き石の花を咲かせることができる――。前国王の血をひくファーラは、追手の目を逃れ寒村で身分を隠し暮らしていた。そんなある日、彼女の前にダリオンとセルツァと名乗る傭兵2人が現れる。隣国の許婚の元に彼女を送り届ける密命を受けた彼らと共に、ファーラは隣国に向けて旅立つが…。石の花を咲かせる孤高の姫君と2人の傭兵。本宮ことはが贈る、宝石ラブファンタジー。


本宮さんがアイリスで出した単巻のファンタジー。

何故か全然ときめけませんでした。身を隠していた亡国の王女が2人の傭兵と共に旅をするお話。本宮さんの単巻モノとの相性は悪くないし、ベタで素晴らしいとの評判も耳に入ってたので期待していたんですが……。亡国の王女設定は好きな方だし、身を隠していたのを看破されて旅立つあたりの掴みは悪くなかったんです。でも、そこから先が全然乗れませんでした。多分、寡黙系のダリオンの優しさがツボにはまらなかったのが原因なんだろうと思います。決して嫌いではなかったんですけど、ファーラがダリオンに惹かれていくのにピンときませんでした。キャラが合わないとベタは辛いです。

少し不安になったので、今月のルルルで出た新作は評判待つことにします。


評価 ☆☆★(5)



 
 8月25日(水)


【今日読んだ本】

懸想する殿下の溜息 (森崎 緩/Regaloシリーズ)amazon

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《あらすじ》
「私の想う相手というのが誰か、わかるか」「……わたくしにはわかりかねます」 意を決して告白をした王子・カレル。その恋の相手が自分だと気づかない従者・マリエ。生真面目なマリエは、殿下の想いが叶うよう奮闘するのだが── すれ違いから始まる、不器用な恋の行方は?


以前 ほど紹介しているお気に入りのサイト「Tiny Garden」さんの書籍化作品。サイト版は読了済なんですが、結末が変わるらしいということもあり楽しみにしていました。

ルドミラは素敵な女性だなあと改めて思いました。長年一緒にいた近侍に懸想をする殿下カレルと、職務に忠実で懸想を助けようとする鈍感侍女マリエのお話。まさしくタイトル通り、あらすじ通りのお話で、殿下の言葉をマリエがことごとく勘違いして明後日な行動をとるのが、楽しくてじれったいです。その一方、途中までは大きな事件も変化もなく淡々と進むので、書籍で通して読むより短編連載向きなのかも、と思ったりもしてました。

その気持ちを払拭してくれたのが、大貴族の令嬢のルドミラ。お転婆で歴史好きな変わり者で、身分差も全然気にしない包み隠さないあけすけな態度が素敵。何より、彼女の明るさが2人の間に新たな風を吹き込んでくれるのがよいのです。彼女がいなかったら、殿下の想いを理解してもマリエが向かい合うことはきっとなかっただろうし、彼女が2人と出会ってよかった。

結末は、正直言うとサイト版の方が好き。サイト版の、壁の存在を受け入れながらも幸せを目指した選択と、その結末の余韻が凄い気に入ってたので。でも、この結末もありだとは思えたし、あとがきを読んで腑に落ちました、若さの違いだったんですね。サイト版に比べてマリエが女の子らしいなと感じました。

ルドミラが気に入った方は、是非サイト版も読んで、その後に続く後日談を読んでほしいです。ルドミラとアロイスのお話で、ルドミラの素敵さが本編以上に詰まってます。

評価 ☆☆☆★(7)



 
 8月24日(火)


2010年上半期ライトノベルサイト杯に投票します。今期は新規3、既存6の構成。「wonder wonderful」の外伝が凄く好きで、でもラノサイ杯で推すのは何か違うというモヤモヤが消えなくて、1作欠けにしました。
タイトルリンクは読了時の感想です。投票コードはこちら。(トラバ用)



「新規部門」

星をさがして (張間 ミカ/トクマ・ノベルズEdge)
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今期の一押し。というかここ数年でも一押ししたいくらい気に入った作品。情景が頭に浮かび上がる美しい文章がまず凄い。この文章で彩られるファンタジー世界は、これだけでも読んだ甲斐があったと思えるくらい雰囲気抜群で魅力的でした。
そして、美しさに楽しさを加えてくれるのが、主人公の魔女の女の子ガートルード。こういうファンタジーのヒロインにしては珍しく小悪魔でしたたかな子で、かつ年相応なかわいらしさもあって、動き回る姿を見ているのが爽快。楽しそうに星を語る彼女が本当に大好き。
ファンタジー好きには特にお勧めの傑作。

金星特急 (嬉野 君/ウィングス文庫)
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不思議な列車にのって世界を旅する近未来ファンタジー。世界観が現実とは少しずれていて幻想的なところもあって、何が出てくるか分からないワクワクドキドキ感がたっぷり。
一寸先に死が待っている危険な冒険の割に、明るいテイストで読みやすいのもポイント。明るいガキ、大食い美形騎士、ツンデレ悪人風と一見バラバラな男3人がいいトリオです。少女小説レーベルですがこれは男性にもお勧め。

ココロコネクト ヒトランダム (庵田 定夏/ファミ通文庫)
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とても貴重な入れ替わりネタの青春小説。ラノベでこれだけ入れ替わりの素晴らしさが詰まったお話が読めるなんて! 入れ替わりじゃなくなった2巻も、ヒロインの熱さと青臭さが押し出されていて面白かったし、続きも楽しみなシリーズ。




「既存部門」

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (林 亮介/GA文庫)
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鉄板継続枠その1。間を空けて振り返ると、やっぱり真壁さんはWeb版の最強真壁さんの方が好きだったりします。でもこっちの真壁さんも人間味溢れてて好き。色んな人に焦点が当たり、街全体が生きている感じがする、素晴らしい群像劇でした。

ウィザーズ・ブレイン VIII 落日の都 〈上〉 (三枝 零一/電撃文庫)
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鉄板継続枠その2。これに関しては信者。最近も1〜2巻を再読しましたがやっぱり名作、特に2巻はいまだにマイベストを争う作品。つまり一押しキャラはヘイズとファンメイ。

鳥籠の王女と教育係 さよなら魔法使い (響野 夏菜/コバルト文庫)
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ここ何巻かかけて描かれてきた四角関係が本気出した巻、4人の本気の想いに何度も叫びたくなりました。特に光っていたのがアレクセル。1巻の時点では馬鹿王子だったアレクがここまでかっこよくなるとは。見ているのが辛い最高のかませ犬です(褒め言葉)。

花迷宮 (本宮 ことは/幻狼ファンタジアノベルス)
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月刊本宮ことはといってもいいくらい今年頑張ってる本宮さん作品から1冊。年の差の一途な恋の切なさが素晴らしいのです。救ってくれた青年に懐く健気な幼女がかわいい! とか書くと釣れたりしますか?(嘘は全く書いてない)

聖鐘の乙女 恋の歌劇と薔薇のドレス (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)
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基本1著者1作品を心がけてるんですが、タイプが違ってどちらかを選びづらかったので2作品いれちゃいます。性別偽っている男装少女が女装とか完全に俺得。いい具合に恋心が生まれ始めてるところに女装、ワクワクするしかない! 

ミストスピリット―霧のうつし身―3 秘められし言葉 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)
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ライトノベルレーベルじゃないけど入れちゃえ枠。金属を飲み込んで特殊能力を得る「合金術」を駆使した戦闘描写が凄く独特で面白いです。コインを飛ばすという単純な原理で、こんなに手に汗握る駆け引きが描かれることに脱帽。アクションバトルは基本的に苦手な自分でも熱くなれました。
主役の女の子やツンデレ犬がかわいらしかったりとキャラクター的な良さもあるので、ライトノベルと呼んでもいいよね、ということで投票。



 
 8月21日(土)


【今日読んだ本】

クロノ×セクス×コンプレックス2 (壁井 ユカコ/電撃文庫)amazon

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《あらすじ》
波乱の選挙を経てホーライ会に入り、もとの世界へ戻る<道(ホール)>を使用する権利を得たミムラ。しかし、なかなか戻る決心ができずにいた。一方、男子寮ではバーニーという女嫌いの男子が時間に干渉するウサギをめぐるトラブルに見舞われていた。それに巻き込まれたミムラは本来同性であるバーニーに気安く接し、バーニーも普通の女子とは違いさっぱりした性格のミムラに憎からぬ気持ちを抱く。けれど、ミムラの正体を考えるといろいろ問題があるわけで……。  ウサギが巻き起こす騒動と二人の関係の行方は果たして!?


1巻のワクワクが凄かった、時間+入れ替わり+学園ファンタジー「クロノ×セクス×コンプレックス」第2巻。

ミムラが色んな意味でひどくて楽しかったです。1巻のあとがきに「2巻では男子が出てくるよ!」とあったので、ミムラが男子に惚れる展開があるかも、とほのかに期待していたんですが、残念ながらそれはなし。でも代わりに、ミムラに惚れる男子バーニーが登場してくれました。ミムラが自分が女性であることを頓着せずに行動するせいで、幾度もとまどうことになるバーニーが、かわいそうでもありかわいくもあり。男の部屋で寝こけるとかほんとミムラひどい。バーニーは事実を知ったときに大ショックを受けるんだろうなと思うとほんとかわいそうです(司書の謝罪は1人で放置の件じゃなくてこっちじゃないかなあ)。バーニーと2人きりでのミムラの妄想にはニヤニヤできたけど、ミムラはこの妄想止まりでバーニーと付き合う目はなさそうですし。ついでにうさぎもかわいそうでした、トラウマにも程がある。

しかし、状況が錯綜してきましたね。オリンピアとルーシーの問題に加えて、消えた彼女も気になるし、本物のミムラも何してるか分かりませんし。ウサギが関わってきたのも偶然とは思いづらくて、預けてきた3年生に誰か黒幕がいるんじゃないかなとか勘ぐってみたり。ミムラがどんな経緯で司書になったかもまだ見当つきませんし、続きも楽しみです。


評価 ☆☆☆☆(8)



竜の夢見る街で3 (縞田 理理/ウィングス文庫)amazon

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《あらすじ》
コリンでなく、コーディこそがキャスパーを人間に変えた魔法使い、ケヴィンの生まれ変わり!? 継母に虐待に遭っていたコーディを連れてロンドンを逃げ出したキャスパーだが……。最後のドラゴン、キャスパーは無事、ケヴィンと再会できるのか!?  イギリスを舞台に、現代にひとり生き残ったドラゴンと人間たちが織りなす物語、ついに完結!!


ドラゴンと人間の交流を描いた現代ロンドンファンタジー「竜の夢見る街で」第3巻。

すっきりしたハッピーエンドでいい話でした。このシリーズは2巻でフラットの面々が表に出てからグッと面白みが増したと思います。主役のコリンだけじゃなく一般人っぽい住人たちも、キャスパーの正体を知ってなお友人として行動してくれるのが、暖かくて素敵。キャスに臆せずずけずけと諭すエリン半端ないです。そして敵を一撃でのしちゃうカッサンドラも半端ない。シリーズで一番かっこいいのは文句なしに彼女でした。
ケヴィンの正体は意外。この設定は少しずるい気もしましたが、真実知ったキャスが幸せそうだったので、まあいいかなという気分。きっと彼はコリンたちの子供として生まれてくるんでしょうね。

書き下ろしの結婚話もみんな幸せそうでよかったです。キャスが人間として受け入れられた場面ではよかったなあという気持ちで胸いっぱいに。女装トッドさんは頑張りすぎ無理しすぎ。コリンとカッサンドラが2人とも気づかないのが、意外と似たもの同士なところあっていいな、と和みました。

本誌の次号でモンパラの外伝が載るみたいですが、それよりも次回作が楽しみです。以下余談。ユーチューブが作中に出てきて凄くびっくりしました。確かに思いっきり現代舞台でマックも前に出てきてましたが、ドラゴンが出てきてユーチューブも出てくるのは想定外。こういう組み合わせもあるんですね。


評価 ☆☆☆★(7)



 
 8月19日(木)


【今日読んだ本】

1/2の騎士 (初野 晴/講談社文庫)amazon

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《あらすじ》
“幸運のさる”を見つけた中学生が次々と姿を消し、盲導犬は飼い主の前で無残に殺されていくーー。狂気の犯罪者が街に忍び寄る中、アーチェリー部主将の女子高生・マドカが不思議な邂逅を遂げたのは、この世界で最も無力な騎士だった。瑞々しい青春と社会派要素がブレンドされた、ファンタジックミステリー。


いつかnanakikaeさんのお勧めを見て気になって積んでいたもの。先日のお勧めエントリに名前があったので、これを機にと読んでみました。

凄く面白かった、この一言に尽きます。レズビアンの女の子マドカが幽霊な男の子サファイアとともに、いくつかの怪事件に関わっていく物語。色んな要素が噛み合って面白さを作り上げているお話で、うまく感想がまとまらないんですが、とにかくよかった。

まずいいなと思ったのが、マドカとサファイアの関係。マドカが女の子好きということで最初はぎこちなさがあったりしたものの、次第に信頼関係を築いていって、凶悪な事件と真っ向から向かい合って2人で戦っていくのがとてもかっこよくロマンチックでした。マドカの中性的で真っ直ぐなところがとても好き。序盤で今後の悲しい展開を予感させるモノローグがあって、こういうの苦手だーと最初思ったんですが、途中からのマドカの必死さが切なくて切なくて、モノローグあってよかったと思います。

2人が関わっていく事件は盲導犬殺しをはじめとして怖くて残酷なものばかり、でも過程で出会っていく人たちの暖かさのおかげでそれほど胸がムカムカすることはなく、不可解な事件の正体は何なのか、無事に済むのかが気になって頁をめくる手が止まりませんでした。事件の謎も、荒唐無稽ということはなく、それでいて明かされるとなるほどと驚かされることばかりで、ミステリーとしてもとても楽しめました。あと、理解者で親友な加奈子や慕ってくる後輩たちなど学校の女の子が皆かわいらしくて、日常の大切さが伝わってくるのもいいなと思ったところ。

こんなに面白いとは望外でした、ななきさんに感謝。これは他作品も読んでみなくては。「退出ゲーム」も以前から気になっていて、しかも最近文庫落ちしたようなので、まずはここから手をつけていこうと思います。


評価 ☆☆☆☆★(9)



夜市 (恒川 光太郎/角川ホラー文庫)amazon

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《あらすじ》
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた―。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。


どこで評判見かけたのか忘れましたが、ずっと気になっていたホラー小説。夏だしそろそろ時期かなと思って読むことに。

静かな怖さが印象に残る物語でした。色々売っているけれど何かを買わないと出られない不思議な市を描いた「夜市」と、普通の人間には入れない裏道を舞台にした「風の小道」の2篇が入った中編集。どちらのお話も、非日常の物静かで異質で隔絶している雰囲気がとてもよく出ていて、直接的な怖さは感じなかったものの、ひしひしと募るような怖さがありました。
2編のうち好きなのは表題作の「夜市」。市の不気味さの中で交わされる会話が妙に生々しく感じられるのが面白く、裏に隠れていた彼の物語がもの悲しく、そして一夜の幻みたいな儚さが感じられる終わり方が気に入りました。怖いのは苦手ですが、こういうホラーならまた読みたいです。


評価 ☆☆☆(6)