好きラノ2020上期投票

2020年7月18日(土)

好きラノに参加します。前期はTwitterで投票しましたが、今回はブログで。


<心の一票>

女王の化粧師2 (千花鶏/ビーズログ文庫)

「電子書籍限定での発売なので投票できない、辛い……」→「ブログなら集計に迷惑もかけることなくアピールできる!」ということでブログ投票にしました。最高のヒストリカルロマンスを見せてくれることが確定している物語、2巻ではその一端を見せてくれます。さりげない1シーンがとてつもなく甘い。続きはなろうカクヨムなどでも読めます、少しでも広まってほしい。


金星特急・番外篇 花を追う旅 (嬉野君/ウィングス文庫)
【20上ラノベ投票/9784403542220】

ここ10年で読んだ物語でベスト10には間違いなく入る傑作ファンタジーの番外編。振り返る旅というコンセプトが素敵ですよね。相変わらずだったり、幸せそうだったりの面々を見ていて幸せな気持ちになりました。泣きそうな三月が尊すぎて死ぬ。

本編も最近再読したら、やっぱり最高の冒険小説でした。今月までKindleUnlimitedで読み放題らしいので、全人類読むべき。


Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 (古宮九時/電撃の新文芸)
【20上ラノベ投票/9784049128048】

5巻も出てますが、あえて4巻で。3巻の引きからの再スタートの衝撃はやはり強烈ですし、それでも惹かれていく繋がりの強さにときめきます。歳をとっていない分、ちょくちょくやらかすティナーシャがかわいい。


Babel I 少女は言葉の旅に出る (古宮九時/電撃の新文芸)
【20上ラノベ投票/9784049131338】
Unnamed MemoryとBabelは同じくらい好きなので、再書籍化は本当に嬉しい。雫とエリクによる、ボケ5割ツッコミ0割真面目5割の異世界交流雑談が大好き、無限に読んでいられる楽しさ。一つ一つの事件も、しんみりしたりひたすら不気味だったりと色が違って面白い。雫の旅路が行き着く先を、この書籍化ではどういう風に見せてくれるのか楽しみです。


ダイブ・イントゥ・ゲームズ1 ぼっちな俺とはじめての友達 (佐嘉二一/レジェンドノベルス)
【20上ラノベ投票/9784065199770】

VRゲームを舞台とした物語。海の生き物となってリアルに生態系を味わうゲーム、自由度が高いMMORPG、ガチのロボゲー、など色んなゲームが登場して、主人公がそれらを心から楽しんでいるのが伝わってくるのが良いのです。最初はぼっちだったのが、ゲーム仲間と時々一緒に楽しむようになる人間模様にもホッコリ。


Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01 (之貫紀/KADOKAWA)
【20上ラノベ投票/9784047360174】

主人公たちの研究者らしい好奇心全開の現代ダンジョン物。国家や権力の陰謀や駆け引きなどは二の次、ダンジョンの謎の検証に夢中になったり、日々の食事を楽しんだり、あくまで日常の延長線でダンジョンをエンジョイしている姿が見ていて楽しいです。


フシノカミ 3 ~辺境から始める文明再生記~ (雨川水海/オーバーラップノベルス)
【20上ラノベ投票/9784865546835】

文明を良くしていこうとするアッシュの熱量が素敵なシリーズ、3巻は飛行機制作編。相変わらず他者視点の加筆の大盤振る舞いで、Web版既読者にも嬉しい作り。別れのシーンでのアーサー視点、寂しさや前向きさや嬉しさが詰まっていて最高でした。マイカ視点がどんどん全力全開になっていくのも好き。


魔法世界の受付嬢になりたいです 3 (まこ/アリアンローズ)
【20上ラノベ投票/9784866573052】

近年で最高のケンカップルがこの物語には存在しました。ロックマン、お前なんて難儀な生き方を……。Webの後日談での追撃で私は死にました。電子書籍限定SSでのナナリーの破壊力も凄いので、紙派の人は電子書籍も。


十三歳の誕生日、皇后になりました。 3 (石田リンネ/角川ビーンズ文庫)
【20上ラノベ投票/9784047361454】

スピンオフ出てるんだ、と気軽な気持ちで読み始めたら、莉杏の目を見張る成長に圧倒される物語でした。愛を求めるために文字通り命もかける系女子、とだけ書くとヤンデレっぽいですけどそんなことはなく、「皇后として陛下と同じところに立ちたい」という一途な想いで成長した結果、命をかける選択に至るのが末恐ろしい。1巻の最初ではただの少女だったのに、こんなの暁月も惹かれるしかないじゃないですか、強すぎる。


(書籍感想)筺底のエルピス シリーズ / オキシタケヒコ

2020年7月6日(月)


筺底のエルピス
オキシタケヒコ
ガガガ文庫
amazon

Twitter上で局地的に大ブームになっている、現代を舞台にした能力者たちのSFバトル小説。オススメを見てかなり前に購入はしていたものの、絶望の描写がなかなか強烈と耳にしており、読むのに体力入りそうなので積んでました。

無茶苦茶面白かったです!! なんでこれ積んでた??? といっても1巻の段階では、「停時フィールド」という変わった設定下での駆け引きが面白いバトル物という印象で、そこまで絶賛というわけでもありませんでした。
その印象がまず変わったのが2巻。表紙から明らかに「上げて落とすぞ」というメッセージが伝わってきて、キラキラとした日々を描いた後にこれでもかと落としてくる。それもただ落とすだけでなく、屈しない登場人物たちを描きながら、意外な落とし穴や大量の伏線なども示されて読み応え抜群。先への期待が高まりました。
さらに3巻では色んな人物の心情の掘り下げにより物語の深みがグンと増して、と巻を経るごとに面白さが足されていって、最新6巻はもう凄かった。バトル、SF、群像劇、青春、全てがギュッと詰まっていて最高でした。どうやったら、これだけの世界の広がりを理詰めで展開できるんでしょう。

絶望の描き方もバランス良くて、半分は「これフラグでしょ!」と予想でき、半分は「えっ!」となる、楽しむのにちょうどいい塩梅。そんな絶望が次から次へと襲いかかるジェットコースター。3巻4巻あたりは、それぞれ1.5冊〜2冊くらいかけても良さそうなところを1冊に詰めていて濃密でした。そんな絶望8割の物語でも、希望や目標があるせいか、読み味はそこまで鬱々としてないんですよね。コメディパートも相当少ないのに凄い。

6巻出てから1年以上新刊出てないのは、書くのにも体力入りそうとはいえ少し心配。この物語を完結まで読めないのは大損失なので、このブームで売れてほしいです。

ここからは最新刊までのネタバレ感想を含みますのでご注意ください。

(さらに…)

(書籍感想)女王の化粧師2 / 千花鶏

2020年6月20日(土)


女王の化粧師2
千花鶏
ビーズログ文庫
amazon

ウェブ版未読の人も既読の人も楽しめる、素晴らしい2巻でした!

待ちに待った女王の化粧師2巻。当然、発売日に最優先で読みました。文章を相当圧縮したという話が事前に出ていたので、どうなっているのかドキドキしながら読み進めましたが、圧縮感は全然抱きませんでした。元の流れはそのままに、大半は新規のエピソードや会話でリファインされていて、未読勢も既読勢も嬉しい仕様。これ、元のウェブ版そのままな部分は2割くらいしかないのでは? プロの所業でした。

1巻終わりでのマリアージュ様への宣言を受けて、2巻は登場人物たちの悩みや心情がより丁寧に描かれてました。特にマリアージュ様の、ダイの問いに対してひたすら悩む姿が非常に印象的。放置されて育ってきた少女が、覚悟を決めて踏み出した一歩は、将来の名君の予兆を感じさせる一歩だったと思います。

2巻は大きな謎の一つが明かされる巻でもありました。はじめてウェブ版読んだときに、ネタバレせずにどう魅力を伝えるのがベストか悩んだのを覚えています。書籍でも、明かされてからの終盤素晴らしかったですね! ここまでくれば沼にハマる人が増えるはずなので、無事発売されて本当に良かった。

でも、まだまだこれは序の口。先に進めば進むほど、伏線の緻密さ、登場人物たちの生き様の素敵さ、ロマンスの切なさ、などが加速していくんです。なんとか4巻まで(つまり序幕終了まで)は刊行されてほしい。そこまでいけば後は勝利しかないはず。読者の皆さん、みんなでデルリゲイリアの国民と納税者を増やしましょう!

ここからはネタバレ感想。2巻までの範囲で語っているつもりですが、ウェブ版との比較も交えながらなので、気にする方はお気をつけください。

(さらに…)