4月13日(月) |
【今日読んだ本】 ◆ 三匹のおっさん (有川 浩/文藝春秋) 【amazon】 《あらすじ》 還暦ぐらいでジジイの箱に蹴りこまれてたまるか! 定年退職後、近所のゲーセンに再就職した、腕に覚えありの剣道の達人キヨ、こと清田清一。同じく武闘派の柔道家で、居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ、こと立花重雄。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、愛娘にはめっぽう弱い機械工場経営ノリ、こと有村則夫。かつての悪ガキたちが結成した私設自警団「三匹のおっさん」。孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…… 三匹がご町内の悪を斬る──! タイトル見て「おっさん主役か……」とスルーしてたんですが、評判がいいので買ってみた、有川さんの新刊。 祐希がかわいかったー! 肉体派頭脳派をとりそろえた還暦前後のおっさん3人組が、痴漢や詐欺といった町内の悪を切るお話で、もちろんおっさんたちのかっこよさと痛快さが1つの見所ではあるのですが、それよりもおっさんの孫である祐希のかわいさに目が行きました。爺さんのことを次第に認めて仲良くなっていって、でも周りにそれを指摘されると照れてふて腐れるあたりとか、気になる女の子との接し方に苦労したり一喜一憂したりする初々しさとかがとてもよかったです。祐希をからかうバイト先の姉さんの気持ちが凄くよく分かりました、有川さんの作品でこんなに男の子気に入ったのははじめてな気がします。早苗ちゃんもいい子で、この2人の恋愛は見ててほのぼのしました。 おっさんの中ではノリさんが好き、娘の溺愛っぷりと危険人物のミックスがいい具合に笑えました。祐希と早苗をもっと見てみたいので、続きが出てくれると嬉しいです。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月11日(土) |
【今日読んだ本】 ◆ ソードアートオンライン1 アインクラッド (川原 礫/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する──。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずログインした約一万人のユーザーと共に、その過酷なデスバトルは幕を開けた。SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険(クエスト)を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことになってしまう。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし……。果たして、キリトはこのゲームから抜け出すことができるのか。個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録! 第15回電撃小説大賞<大賞>受賞作『アクセルワールド』著者・川原 礫の新作が早くも登場! 「アクセルワールド」でデビューした川原さんの、大人気ネット小説の文庫化。少女向けじゃないオンライン小説は全くチェックしてないので、これも存在すら知りませんでした。 で、読んでみて、今までこんな面白いものの存在を知らなかった自分を呪うのもお約束。体験型のMMORPG世界に閉じ込められた1万人、その世界の動向と行末を1人の剣士の視点から描く、というオンラインゲーム題材の物語として正統派な設定。元々この手の設定は好みな上に、突然死が隣り合わせの世界に連れてこられた感がよく出ていて、序盤からあっさりと引き込まれました。その後も、色んな立場の人々が出てきたり、料理や自然の描写がかなりあったりとディティールがしっかりしていて、1つの世界を描いているのが好印象。息がつまる戦闘も読み応えあって、お約束な展開でも最後まで面白かったです。 ただ恋愛部分だけはちょっと苦手、というのもアスナが都合よすぎな存在に見えてしまったんですよね。途中までは裏があるんじゃないかと思って読んでました。途中で一応納得はいったものの、それでも違和感をぬぐいきれず。アスナかわいいのは断言できるだけに、好きになれないのが残念でした。 さて、1巻で綺麗に終わっているように見えるんですが、2巻はもっと凄いと聞かされてびっくり、一体何が待ってるんですか。気になってウェブアーカイブに行ったらしっかりブロックされてたので、じっと待つことにします。 評価 ☆☆☆☆(8) 【最近購入したもの】 エバーグリーン (豊島 ミホ/双葉文庫) ソードアートオンライン1 アインクラッド (川原 礫/電撃文庫) |
4月9日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 赤き月の廻るころ 紅蓮の王子と囚われの花嫁 (岐川 新/角川ビーンズ文庫) 【amazon】 《あらすじ》 「おまえも、俺好みの気の強い女らしい」不思議な力を持つロクソンの第二王女レウリアは、スパイとしてブロウへ潜入することに。捜査を続けるレウリアは、1年前、強引に唇を奪って去ったジェラールに、正体を怪しまれてしまう。レウリアを捕らえたブロウは、「ジェラールと結婚するか、さもなくば処刑か」と究極の二者択一をロクソン側に持ちかけて!?《第6回ビーンズ小説大賞奨励賞受賞》運命のグランド・ラブロマンス! あらすじ見て「敵同士ラブだ!」と歓喜して飛びついた、今月のビーンズの新人さん。 こんなにおいしい設定なのに、どうして全然ときめけないんですか……。王族の少女がスパイとして敵国に潜入という設定自体には萌えるんですよ。スパイの割にはちょっと行動甘すぎない? と思う箇所もありましたが、その辺は恋愛部分がよければ些細な問題ですし。 でも、肝心のロマンス部分がいまいちでした。せっかく運命の再会なのにインパクトが薄いですし、その後2人がお互いをどのあたりで好きになったのかもよく分からず。「自分を自分として見てくれる人」というのが恋の一因っぽいんですが、そっち中心に描かれているせいで敵対関係ゆえの背徳感などが薄かったのがとても残念でした。これなら敵同士じゃない普通の恋の方がよかった……。その他にも、せっかくいい立場のライバルがいるのに描写おざなりだったりと、もったいないと思わされる点が多かったです。 ちょっと期待しすぎた部分はあるので、普通のロマンスファンタジーだと思えば普通に楽しめるかもしれません。 評価 ☆☆★(5) |
4月8日(水) |
【今日読んだ本】 ◆ 楽園まで (張間 ミカ/トクマ・ノベルズEdge) 【amazon】 《あらすじ》 雪が降り続ける世界。左右で虹彩の色が異なるオッド・アイの人間は、人を超えた異能を持つがために悪魔と呼ばれ、教会によって厳しい狩りが行われていた。 オッド・アイの少女・ハルカは心を失った双子の弟ユキジを連れて、教会から逃れるために旅をしていた。彼らが目指すのは古くから語り継がれている安息の土地・楽園。二人は道中、放浪する青年・ウォーテンと出会う。二人が悪魔であることを知っても態度を変えなかった彼を信用して、ハルカは彼と行動を共にするようになる。一方、悪魔を駆る役目を担う「狩人」の青年ルギは、教会に疑問を抱き始めていた。ハルカとユキジは、楽園の在り処を知るが、「狩人」たちに追い詰められて……。 発売当時から気になっていた、弱冠17歳の新人さんがおくるファンタジー。 表紙とタイトルから受ける印象そのままの、冷たさが胸に染み渡るお話でした。雪に包まれた世界の中、オッドアイだからという理由だけで 教会は悪魔を槍玉として追い立てる。そんな中、悪魔の少女ハルカは双子の弟とともに楽園を求めて旅をする――。このあらすじから想像つく通りに話が進みます。奇をてらわない直球勝負だけに著者のセンスや力量が思いっきり表に出るわけですが、この話の場合、ほぼ四面楚歌の中でハルカが楽園を求めて前に進み続ける、その過酷さと意思の強さが鮮烈。雪に包まれている世界の閉塞的な雰囲気と相まって、胸がしめつけられました。 ただ、著者が17歳ということもあってか惜しいなと思う点も多々見受けられました、特に教会サイドの描き方はありがちすぎて甘いなーと。ルギはメインキャラ張るには役不足(誤用)だと思うんです。 ともあれ、今後が楽しみな新人さんです。 評価 ☆☆☆★(7) |
4月6日(月) | ||||||||||||
「ネット発の小説の感想一覧がほしい」とのご要望があったので、作ってみました(イースト・プレスのソフトカバーのシリーズでいいんですよね多分)。一作推すなら昨年最高の「wonder wonderful」ですが、下記に挙げたものに外れはなかったです。あと、ネット発シリーズの公式ページもあるので、ここも参考にするといいかと思います。
おまけ ネット小説の感想 その1 その2 その3 その4 【今日読んだ本】 ◆ ゼペットの娘たち (三木 遊泳/電撃文庫) 【amazon】 《あらすじ》 意志を持つ人形《機鋼人形》の少女ハリケーンは、彼女を作った機鋼人形師の少年サツキに連れられ、マリスの街にやって来た。サツキは抱えてしまった莫大な借金を返済するため、田舎町イリエから機鋼人形師の仕事が多い都会に越してきたのだが……。機鋼人形作りにしか興味のない少年サツキ、作られたばかりでイマイチ常識のないハリケーン、そしてサツキを面倒見るうちに常識が染みついてしまった苦労人(?)の犬型機鋼人形トルネードを巡る、短編連作シリーズ登場! ラノサイ杯での好評っぷりを見て手を出してみた、電撃のほのぼの機鋼人形話。 これはよいほのぼのでした。間違っても欝展開は起こりそうにない雰囲気の下で、人と機鋼人形がゆったりと生活するお話で、主役3人がよかったです。サツキのこと大好きで着々と人らしくなっていくハリケーンは文句なしにかわいいですし、口は悪いけどその悪さの中に愛が詰まってるトルネードもかわいいですし、機鋼人形バカでどうしようもないサツキもそのダメすぎるところや目を輝かせる姿などがかわいいです。ニコに対する行動なんてダメダメすぎ。つまるところ表紙の3人みんなかわいいのです。驚かされたり唸ったりといった類の物語の面白さはなかったですが、彼らのかわいさとあたたかな雰囲気だけで十分満足できました。 2巻も近いうちに買ってきます。3巻が出てないのが少し気がかりですが……。 評価 ☆☆☆★(7) 【最近購入したもの】 鳥籠の王女と教育係 魔王の花嫁 (響野 夏菜/コバルト文庫) 赤き月の廻るころ 紅蓮の王子と囚われの花嫁 (岐川 新/角川ビーンズ文庫) 囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚 (本宮 ことは/講談社X文庫ホワイトハート) 三匹のおっさん (有川 浩/文藝春秋) |
4月2日(木) |
【今日読んだ本】 ◆ 創立!? 三ツ星生徒会2 それから恋^3は加速した (佐々原 史緒/ファミ通文庫) 【amazon】 《あらすじ》 大団円で幕を閉じたスタフェスの後、なんとまどかと征宏の両方から、"向坂水穂"=自分+金魚(神)へ告白を受けた恵。っていうかアノ時性別不明なんですけど!? と悩む時間もないままに、次なるミッションは林間学校の成功。しかし、元・ホシ一生徒会の仲間からは合同生徒会への参加を渋られ、まどか・征宏+陽菜から「水穂さんも連れてきてほしい」という超難題までお願いされて!? ヤだけど助けて水穂さまー! 多重三角関係ラブコメ怒涛の第2巻!! 無事2巻が発売されてほっと一息、佐々原さん初の学園ラブコメ「創立!? 三ツ星生徒会」。 1巻のようなサプライズこそなかったものの、やっぱり面白かったです。佐々原さんの文章が大好きだからという信者的な要因もあるんですが、今回は恵がかっこよかったなーと。切なくて切なくて鳥越への嫉妬心に溢れてもおかしくないのに、鳥越をちゃんと認められるのは立派でしたし、他にも自分の意思で動く場面が多め。1巻の感想で「主人公空気すぎ」「かっこ悪い」などというものをよく見かけたんですが、少なくともこの2巻では立派に主人公してると断言できます(相変わらず受難も多いですが。金魚男認定はかわいそう)。1巻2巻と着実に成長していってるのに、恋は後退していて、その辺のやりきれなさが胸にきますね。 そして終わりがまた凄い引き、これどう着地させるんでしょうか。駄神とくっつく可能性もあるのかな、と1巻では思ってましたが、今回そういう予兆が全くなかった以上ありえないでしょうし。一番しっくりくるのは誰ともくっつかない終わり、次にしっくりくるのが葛城さん。葛城さんとはこの状況を解決する過程で気持ちが近づく可能性はあると思ってます、乙女していてかわいいですし。逆に陽菜とくっつくルートは想像つかないです、くっついちゃダメだと思います。 どうなるにせよ、こんがらがった恋愛模様を恵がどうほどくのか続きが楽しみ。 以下余談。サッカーネタがやたら多いあたりに、ジュビロに対する佐々原さんの鬱憤を感じました。日記見てると悲惨……。 評価 ☆☆☆☆(8) |