筺底のエルピス
オキシタケヒコ
ガガガ文庫
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Twitter上で局地的に大ブームになっている、現代を舞台にした能力者たちのSFバトル小説。オススメを見てかなり前に購入はしていたものの、絶望の描写がなかなか強烈と耳にしており、読むのに体力入りそうなので積んでました。
無茶苦茶面白かったです!! なんでこれ積んでた??? といっても1巻の段階では、「停時フィールド」という変わった設定下での駆け引きが面白いバトル物という印象で、そこまで絶賛というわけでもありませんでした。
その印象がまず変わったのが2巻。表紙から明らかに「上げて落とすぞ」というメッセージが伝わってきて、キラキラとした日々を描いた後にこれでもかと落としてくる。それもただ落とすだけでなく、屈しない登場人物たちを描きながら、意外な落とし穴や大量の伏線なども示されて読み応え抜群。先への期待が高まりました。
さらに3巻では色んな人物の心情の掘り下げにより物語の深みがグンと増して、と巻を経るごとに面白さが足されていって、最新6巻はもう凄かった。バトル、SF、群像劇、青春、全てがギュッと詰まっていて最高でした。どうやったら、これだけの世界の広がりを理詰めで展開できるんでしょう。
絶望の描き方もバランス良くて、半分は「これフラグでしょ!」と予想でき、半分は「えっ!」となる、楽しむのにちょうどいい塩梅。そんな絶望が次から次へと襲いかかるジェットコースター。3巻4巻あたりは、それぞれ1.5冊〜2冊くらいかけても良さそうなところを1冊に詰めていて濃密でした。そんな絶望8割の物語でも、希望や目標があるせいか、読み味はそこまで鬱々としてないんですよね。コメディパートも相当少ないのに凄い。
6巻出てから1年以上新刊出てないのは、書くのにも体力入りそうとはいえ少し心配。この物語を完結まで読めないのは大損失なので、このブームで売れてほしいです。
ここからは最新刊までのネタバレ感想を含みますのでご注意ください。