(書籍感想)女王の化粧師3 / 千花鶏

2021年8月15日(日)


 女王の化粧師3
 千花鶏
 ビーズログ文庫
 【amazon

3巻も最高に面白かったです、何とか4巻を!

待望の女王3巻、刊行おめでとう&ありがとうございます! こうして続きを書籍で読むことができて本当に嬉しいです。しかも、ウェブ版と比べてエピソード追加&流れもよりスムーズになり、さらに面白くなっていました。途中、比較しながら読んだりしたんですが、細かい表現や伏線まで物凄く手が入っているんですよ。2巻のときも思いましたが、改稿がプロの所業です。

3巻の良かったポイントは山程あるんですが、まず1つ挙げるなら新規エピソードの夜会開催。マリアージュ様が1巻の頃からめざましい成長を遂げていて、次は何を見せてくれるのか、一挙一動にワクワクさせられます。夜会での堂々とした姿には女王らしい風格も出てきていて、「先日作った紹介スライドでマリアージュ様の素敵さをもっと推しとくべきだった!」と少し後悔したほどでした、ページ数が足りなかったんです……。

あとは単純に夜会のコンセプト自体も面白いものでしたし、何より夜会に向けて皆で慌ただしく過ごす女王選の日々が楽しかった。バラバラだった1巻からここまできたんだなあとか、色々な感慨が押し寄せました。

2巻で変化したダイとヒースの関係の甘さも見所。名前呼びですら甘いんだから、それ以上のシーンは当然もっと甘いわけで。治療のために触れるだけでも感情が込められていて色気がすごいですし、本気で触りにきたときは色気倍増。これはダイの感情が翻弄されるのも仕方ないですねこれは、本当にずるいおとこだ。個人的には、ダイのいないところでヒースが見せる笑顔が刺さりました。このヒース、他の人の前でも感情ダダ漏れにしている……! 

後半のエピソードは、何度読んでも胸が苦しくなります。どうすればよかったのかとifを考えたくなりますけど、性格や背景を踏まえると、分岐はほとんどなくて割と必然だった気もするんですよね……。ただただ悲しい。

さて、無事3巻まできましたが、ここまできたら4巻まで何としても出してほしいですよね! 序幕終わりまで刊行できれば後はクチコミで人気が広がってくれるから勝ちだと、書籍化が決まった当時からずっと思っています。序幕をはじめて読了したときの感想を久々に読み返したら、こんなことを書いていました。

後半盛り上がって一つの話として面白く、でも読み終わるとこれはこの上ない序幕なのだと分かります。終章の素晴らしい幕引きに、この先何が待っているのか、期待で胸が震えました。

初読から10年余り、このときの期待を裏切らない物語が読めて幸せです。1人でも多くの人にこの気持ちを味わってほしいし、書籍版でさらに素晴らしくなった序幕を見たい。その思いで紹介スライドも作りました。読者が増えて4巻が刊行されることを願っていますし、これからも出来る限りのことはしたいです。

さて、ここからはウェブ版での比較も踏まえながらの感想です。ウェブ版のこの先の展開についての言及も混じるので、ウェブ版読者のみご覧ください。

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謹賀新年

2021年1月8日(金)

あけましておめでとうございます、本年もよろしくお願いいたします。年末年始は帰国できず海外での年明けとなりました、ロックダウンのため絶賛引きこもり中です。早く暖かくなってワクチンも広まって落ち着いて欲しいですね。今年はまとめ記事以外の感想も数件は更新したいです(低い目標)。

年明け早々、先日紹介した「死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)」が完結しましたね。傑作でしたね、みんな読みましょう! 書籍化やコミカライズも決まったとのことでめでたいです、今年のベスト10の一枠は確定しました。

続きはメールフォームからのお便りへの返信です。

(さらに…)

2020年読書まとめ(商業小説)

2020年12月29日(火)

こちらは商業小説編になります、オンライン小説編はこちら。全然読めてないなと思いつつ、数えたら50冊程度は読んでました。500冊読んでいたのは遠い昔。

女王の化粧師2 (千 花鶏/ビーズログ文庫)

はい、今年も女王推しからです。2巻発売して本当に良かった!! ビーズログさんありがとう!! 1巻だけだとこの物語の魅力の多くが伝わらずに終わってしまうので、秘密の1つにも踏み込む2巻まで進んだのは嬉しい。初めて読んだときは好みの設定に狂喜したのを覚えています。ここのネタバレをどうするかは推す際に悩むんですけれど、驚きを奪いたくないので結局伏せてます。2巻ではヒースの魅力が1巻より前面に出てきたのもポイント、最後の名前呼びの繰り返しが切なくて素敵。2巻の詳しい感想はこちらに。

でもまだ足りません。自分を含めて多くの読者を女王沼に引きこんできたであろう序幕終わりまで、ここまできたら何とか刊行してほしい。序幕終わりに辿り着ければ天下だって取れると、書籍化前からずっと思ってます。序幕終わりまでに2冊分の文量ありますが、電子版ならまとめて1冊のウルトラCとかできませんかね? 鈍器も刊行している電撃とかならともかく、ビーズログだと若干厳しそうですが、そこを何卒どうにか。

ところで、

ちょっとBookWalkerのギフトが1,2巻ともに余っているんですが、まだ購入されてなくて興味ある方がいたらご連絡ください。無駄になるのは勿体ないのでお気軽に。広がれ読者!


Babel III 鳥籠より出ずる妖姫 (古宮 九時/電撃の新文芸)

3巻が発売されて感無量です。Babelはこのキスク編とラストがとても好きで、それだけに文庫版2巻打ち切りは本当に悲しい事件でしたので……。UMとBabelを刊行してくれただけで、電撃の新文芸には感謝しかありません。

キスク編を読んで、言葉と意志だけで道を開いていく雫の姿に改めて圧倒されます。もう最初の試験からして強烈で、刻々と迫るタイムリミットへの恐怖や突き落とされる絶望を味わい打ちのめされながらも、そこで折れなかった雫が格好良すぎる。スリリングで見所たくさんで、最初の章だけでも割とお腹いっぱいになったくらい。

で、それが序の口なんだから恐ろしいですよね。オルティアから武器をつけられても言葉を止めない雫にゾクゾクさせられます。1巻の頃に比べて言葉に経験が伴ってきているし、オルティアの心を動かして、また雫がオルティアに情を移していくのがよく分かる。そして、真に主従になってからの交わす言葉の一言一言に強固な信頼を感じるのが最高にすぎる。票決の最後とか痺れますよね。そう、この姫と雫を書籍で読みたかった。

書籍化にあたり、もう少しマイルドになるかもとも思っていたんですけれど(対ジレドとか)、容赦なかったですねさすが。この辺りは、そこまでしないでもと思う一方、えぐさがあってこそ雫の頑なさが映えるとも思うので複雑です。そういえばウィレットを活かした対ジレド作戦、シリアスの中のほんのり痛快さが気に入ってます。ウィレットは癒し。

あとキスク編といえばニケですよ。Babelの恋愛面については割と状況状況で応援対象が揺れるんですが、3巻のニケの不器用な思いやりはとても良いですよね。魔法薬作ってくれるシーンとか、お前それ優しさ以外の何が詰まってるんだと。もう少し素直になってもいいと思うんですが、素直なニケはニケでないので難しい。でも、敵に塩送らなくてもいいと思うんですが!! 気持ちは納得いくんですけれど、そのくせ最後にああいうことしますからね。お前そういうところだぞ。

Web版で一番大好きなのが最終巻部分なんですよね。書籍ではどういう形で結末を迎えるんでしょうか。


ダイブ・イントゥ・ゲームズ2  電子の海で出会った仲間たち (佐嘉 二一/レジェンドノベルス)

今年の書籍化組の中でもお気に入りの一作、様々なゲームを楽しみながら、ボッチ主人公が時々友人との交流を深めていく青春ストーリー。

とにかく遊んでいるゲームがどれも楽しそうなのが魅力な作品。2巻では、相棒と一緒に空を駆けて商売する「セレスティアル・ライン」編が書籍化に伴い分量縮小されたのにはしょんぼり。登場ゲームの中でもお気に入りの一作だったので。でもその分、ヒーローやヴィランになりきって闘う「Destiny Blood」編が加筆でより面白くなってました。最後の「インフィニティ・レムナント」編もソロでの魅力、仲間と遊ぶ際の魅力、どちらも描いているのが良き。他ゲームでの繋がりによる思わぬ邂逅にもにんまりします。

なろうの連載の方も楽しんでます、青春チャンネル編の気の置けないワイワイしたやりとり大好き。


ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん (恵ノ島すず/カドカワBOOKS)

去年の作品ですが、読んだのが今年だったので。なろう版は少しだけ読んでピンとこずに止まったんですが、評判を聞き書籍を読んだら素敵なラブコメでした。

ツンデレ悲恋悪役令嬢を実況解説で救うというアイデアが良いというのもあるんですが、それより何よりツンデレなリーゼロッテのジーク一直線な恋心がかわいい。そして、そのかわいさが実況解説によってジークにも読者にも筒抜けで、リーゼロッテの一挙一動にニヤニヤできる。もうこれだけでこの物語の成功は約束されたようなもの。また、リーゼロッテとジークを幸せにしたい! という実況解説のモチベーションにも全力で同意できて、読み進めるのが楽しい。小林さんが読者の代わりに萌え転がってくれるので、同意の意味でいいねボタンを押したい。なろう版を何故途中で読むのやめてしまったのか、過去の自分が謎です。

メイン以外の2組のカップルもそれぞれかわいかったですね、恋した脳筋馬鹿ほど恐ろしいものはそうそうない、とバルの愛の言葉ラッシュで分かりました。後半の展開は、小林さん同様に拍子抜けしちゃう面もありましたけれど、思いが通じ合ったリーゼロッテが大変可愛かったので、それだけで満足でした。


エリスの聖杯3 (常磐 くじら/GAノベル)

祝完結。ちゃんと最終巻まで刊行されて良かったです、ラストシーンがあってこその本作だと思うので。

国家を揺るがす陰謀に迫るサスペンスでもありましたが、それ以上に、お人好しで頑固なコニーを主役とした少女小説だよなあと思うのです。無茶な行動力を発揮したりして人を惹きつけ、不器用な人に恋をして時には引っ叩いて気持ちを伝えて、さらには唯我独尊なスカーレットの心も溶かして。これまでのコニーの行動が活きてくる終盤の展開が気持ちいい。終盤の挿絵つきでのコニーとスカーレットのシーンは、どれも素晴らしいの一言でした。かわいくて行動力ある主人公は良いですね。

書籍版についた一言キャラ紹介の身も蓋もなさも笑えて楽しかったです、コニーの欄、半分くらいはひどい。


筺底のエルピス (オキシ タケヒコ/ガガガ文庫)

そういえばエルピスを一気読みしたのが今年でした。感想に書いたとおり、毎巻新たな魅力が追加されて面白さがどんどん増していく化け物SFでした。絶望への叩き落とし方がとんでもない物語ですが、全くそれだけではない濃密な読書体験。7巻が待ち遠しいです。