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___12月31日(水)

 年末なのでまとめ記事。まずは今年読んで面白かったもの10選。順番はジャンル別。

         
         

wonder wonderful (河上 朔/イースト・プレス)
やおろず (古戸 マチコ/イースト・プレス)
迷走×プラネット (神尾 アルミ/一迅社文庫アイリス)
ちょーシリーズ (野梨原 花南/コバルト文庫)
オペラ・アウローラ 君が見る暁の火 (栗原 ちひろ/角川ビーンズ文庫)
図書館戦争シリーズ (有川 浩/メディアワークス)
創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋^3がはじまった (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (林 亮介/GA文庫)
シフト III ―世界はクリアを待っている― (うえお 久光/電撃文庫)
翼の帰る処 (妹尾 ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)

 今年は何といってもwonder wonderful他、オンライン小説との出会いが大きかったです。単行本化されたもの以外にも沢山の面白いお話に出会えました、きっかけをくれたイースト・プレスさんに感謝。
 それ以外の少女系は若干小粒だった感がありました、今続いている(?)のは迷走だけという結果に。迷走は、笑えてかわいくてハートフルで今後ラブもありそうで、ほんと面白いので続き出てくださいお願いします。あとは、「流水宮の乙女」や「聖鐘の乙女」など、入れようか迷った作品たちのこれからに期待。来年は長期シリーズの開拓をもう少しできたらいいなあ。
 一方、少年系は続きが凄く楽しみなシリーズがいくつも出てきてくれました。挙げた4作どれも打ち切りか刊行ペースに不安を抱えているのは気のせいですきっと。


 続いて、あったらいいな10選の結果。
  • × ダナークが打ち切りっぽくなく完結
    完璧な打ち切りに絶望しましたとさ。
  • × 佐々原さんの新刊が4冊以上発売
    まさか1冊とは。三ツ星は出ますよね、ちゃんと出ますよね?
  • × 封仙完結
    でも2月に無事完結するみたいなのでよかったです。
  • ×エル・ウィンの新刊発売
    天魔が大ヒットしたら出てくれるとまだ信じてます。
  • × ウィザブレが2冊発売
    案の定(?)1冊でした。ハードル低く設定してるのに。
  • ○ 高岳さん(エパタイの人)の新シリーズ2冊以上発売
    ちゃんと3冊出ました。でも……
  • × キラル(マエタマ)の新刊発売
    マエタマに期待するのはもうやめます。
  • × そろそろ谷山由紀さんの新刊発表
    朝日ノベルズも増えたし、そろそろきてもおかしくはない。
  • △ 一迅社の新規レーベルが大当たり
    迷走プラネットと聖鐘が出たので、個人的にはかなりの当たり。が、売り上げ的には……
  • △ EGコ(ry 運タロ(ry 岩本隆雄(ry 海羽(ry 松井(ry
    まさかの岩本隆雄新刊(延期物ですが)。他はもう駄目かなあ。
 ○が少ないです、唯一の○も微妙なところですし。来年はもう少し実現しますように。


【今日読んだ本】

パートタイム・ナニー3 (嬉野 君/ウィングス文庫)amazon

 

《あらすじ》
 ほほえみ二丁目商店街に、砂男現る。子供たちを恐怖のどん底に陥れた噂の真相を探るべく、さっそく砂男捕獲に乗り出す坊ちゃま。だが不気味なだけで意外に無害な、その男の正体は……!? そして「決めた。剛を解雇する」??坊ちゃまの言葉の真意は? ドオタにドMにドS、キワモノキャラも続々登場♪ 最強のトラブルメーカーお坊ちゃま、バーソロミュー(通称バブー)と、現役男子高校生の乳母、剛が繰り広げる荒唐無稽コメディ、ちょっぴりシリアスありつつも、やっぱり爆笑必至の最終巻!!


 破天荒坊ちゃまの乳母をつとめる男子高校生の奮闘を描くコメディ「パートタイム・ナニー」最終巻。
 最後までこのシリーズらしく笑えて和む面白い話でした。最終巻ということでこれまでと比べるとシリアス度が跳ね上がってますが、過去2巻の中身を踏まえた話になっていて違和感は全くありませんでしたし、シリアスな中でもバブーはやっぱりバブーなので、楽しさはほとんど落ちませんでした。ラルはそういう裏があったんですね、こりゃ性質悪い。
 でも、1話と2話を比べるとコメディ度が強い1話の方がやっぱり楽しかったです。バブーの咄嗟のハッタリセンスが素晴らしいなあ、メダパニは凄い。黒幕も実に変態でした(褒め言葉)。あとバブーが意外に空気読めたのに驚き、成長したのかな?(1巻2巻を忘れていただけかも)
 バブーの学園生活も是非読んでみたかったので終わってしまうのが惜しいですが、次はもっと面白いものが出てくると信じて待つことにします。


評価 ☆☆☆★(7)


【コミケで購入したもの】
 暴風ガールズファイトカレンダー
 創作文芸色々



___12月29日(月)


【今日読んだ本】

鳥篭の王女と教育係 婚約者からの贈りもの (響野 夏菜/コバルト文庫)amazon

画像は公式で。

《あらすじ》
 王女・エルレインは呪われていた。城から一歩でも出ると死。彼女に触れた異性はカエルとなる。そんなエルレインに、魔法大国の王子との結婚話が!? 呪いを解きにやってきたのはイヤミな魔法使いで?


 響野さんの新シリーズは、「ダナーク村〜」の過去、まだ世界に魔法が溢れていた時代の物語。
 もう「ダナーク村〜」と同世界というだけで自分的には歓喜なんですが、お話の方もなかなかでした。概要を書くと、呪われて諦めることに慣れていた女の子が、とある婚姻話と魔法使いによって前向きになっていくお話。主人公のエルレインと魔法使いのゼルイークがどちらもヒネくれた性格をしていて、互いの会話や行動の中でポイントをとろうとする好敵手なやりとりが楽しく、その中に時折混じる微妙な甘さが○。王子がアホやらかしたときのゼルイークの台詞にトキメキました。
 他にもおバカでどこか憎めない王子様やツンツン幼馴染などヒーロー候補が揃ってます。一押しはやっぱりゼルイークですが、他2人も魅力あっていい逆ハーに仕上がっていると思いました。
 あと、「ダナーク村〜」の世界の魔法が読み応えあるくらいにガッチリ描かれているのも、ファンとしては嬉しかったです。この頃はこんなだったんだなあ。
 ダナークよりは売れ線だと思われるので、今度は打ち切られないことを祈ってます。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 パートタイム・ナニー3 (嬉野 君/ウィングス文庫)
 竜の夢見る街で1 (縞田 理理/ウィングス文庫)
 魔王城 一限目 (田口 仙年堂/ファミ通文庫)
 祈り姫は空に微笑う1 (水谷 悠珠/ZERO-SUMコミックス)



___12月26日(金)


【今日読んだ本】

創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋^3がはじまった (佐々原 史緒/ファミ通文庫)amazon

 

《あらすじ》
 生まれながらの不幸体質である向坂恵(♂)。入学早々溺死寸前のところを金魚姿の土地神、水穂様に救われるが、見返りとして学校に生徒を集める案を出せ! と迫られ、テキトーな提案をしてしまう。そして1年後、水穂の神様パワーによる3校合併で誕生した“三ツ星学園”では、そのうちの2校の生徒会長が激しく火花を散らしていた! 2人をなんとかするために、暫定生徒会長・恵の初仕事はなぜか、恋のキューピッド!? もどかしさ爆発、片思いラブコメ!!


 「暴風ガールズファイト」の佐々原さんの新シリーズは、金魚の神様の命により3つの学園がくっついてスタートする学園ラブコメ。
 すんごい面白かった!!!!! 暴風の打ち切りにめげずに佐々原さんが本気出してきましたよこれ、ラブコメとしてもそれ以外のコメディとしても真面目な物語としても素晴らしかったです。まずコメディ部分、文章が地の文に時々敬体が混じるいつもの楽しい佐々原テキストで、その上1人称「僕」でツッコミタイプの少年が主人公なおかげで、濃さがいつもの数割増し。多分人を選ぶんでしょうが、この文章が合う人にとってはそれだけでもう至高の一品、楽しいこと楽しいこと。特に合うわけでもない人でも、とっても現代ナイズされている金魚の神様をはじめとして濃いキャラが揃っているので、受難物が苦手じゃなければ問題なく楽しめると思います。「フリルの悪魔」とかクール眼鏡な葛城さんのあれやこれなどなど見所満載でした。
 コメディだけでなく、普通の高校でひそやかに生きていた少年が他の2校の面々に刺激を受けていく成長物語としての側面もあって、こちらもよいもの。反発やとまどいといった内面がしっかり描かれていて、コメディの合間合間にどういうきっかけで考えが変わっていったのかとても納得できました。お祭は学園物のお約束ですが、3校の生徒達がぶつかり協力しあう場として最高ですね。
 最後にラブコメ、こちらはタイトルにもあるようにまだ序の口なんですが、すごい面白い変化球が飛んできました、確かに恋^3ですこれ、帯の「究極の多重三角関係」にも頷けます。想い入り乱れるこのカオスな状況からどう転がしていくのか、2巻以降が楽しみすぎ。
 そんなわけで無事完結すれば名作の予感がするコメディなので、佐々原さんの作品好きな人もそうでない人も皆さん買いましょう。ノーモア暴風です。


評価 ☆☆☆☆★(9)


【今日購入したもの】
 創立!? 三ツ星生徒会1 そのとき恋^3がはじまった (佐々原 史緒/ファミ通文庫)
 鳥篭の王女と教育係 婚約者からの贈りもの (響野 夏菜/コバルト文庫)
 ピクテ・シェンカの不思議な森 わがまま王子と魔女の誘惑 (足塚 鰯/コバルト文庫)



___12月24日(水)

 画像ミス突っ込みありがとうございます。来年こそはミスを減ら……せたらいいな。


【今日読んだ本】

かぐや魔王式! (月見 草平/MF文庫J)amazon

 

《あらすじ》
 錦織貴(にしきおりたかし)は成績優秀、運動神経抜群、好感度・人望ともに言うことなしの爽やか男子である。……あくまで、見た目は。その腹の内は、人々の賞賛を集めるためならばどんな努力も惜しまず、人気を取るため睡眠をも削り、学校の頂点に立とうとする超・ハラグロ優等生。今日も、出しゃばらず慎重にクラス委員に推薦されるのを待っていた。――が、しかし。「大衆はコブタだ!」立ちはだかったのは、玉座を目指すと豪語する美少女、輝夜真央(かぐやまお)・あだ名は魔王。危険を感じた錦織は直接対決を避けようとするが、逆に仮面優等生であることがバレてしまい!? 腹黒少年×魔王少女ラブコメディ登場!


 月見さんの新シリーズは、計算づくの優等生と暴君少女による学園ラブコメ。
 「MF仕立てなハルヒ」みたいな感じで楽しかったです。真央のキャラクターはどう考えてもハルヒを意識したものなんですが(「異能力者を募集している」ですし)、こちらはSF色は全然ない正統派なラブコメ。自分を偽装することに慣れた男の子と「魔王」を公言しているせいでずっと1人だった女の子が、一緒に行動するうちに仲良くなっていく話で、ひたすら繰り広げられるボケツッコミのやりとりが活き活きとしていてテンポよく面白いです。最初にはただの暴君だった真央が拗ねたりデレたりするようになるのはお約束とはいえ、なかなかかわいく描かれていましたし。主人公が言っているように、いいカップルですねこの2人。やっぱり既視感がある天然タイプの女の子が、意外と狙いボケを放っていて、いいかませ犬三角関係のアクセントになっていたのもよかったですね。
 ただちょっといただけないのが、主人公の本性を知っていそうな妹がいるらしいのに、地の文のちょこっとしか出番がないこと。絶対おいしいキャラになりそうなのに、なんてもったいない。妹好きな誰かが読んだらご立腹しそうです。
 続きは来月出るみたいなので、そちらでは妹の活躍があるといいなあ。


評価 ☆☆☆(6)


【今日購入したもの】
 かぐや魔王式! (月見 草平/MF文庫J)
 愛のもとに集え2 (サカモト ミク/花とゆめコミックス)



___12月23日(火)


【今日読んだ本】

SH@PPLE ―しゃっぷる―4 (竹岡 葉月/富士見ファンタジア文庫)amazon

 

《あらすじ》
 真夏の祭典まであと少し。青美女学院で合宿しながら演劇の練習に励む雪国。蜜への思いはなかなか届かず、むしろ鳥子と接近するがそれはそれで!? そんな中、雪国を♂と知る「X氏」が跳梁し、雪国&舞姫を脅かす!


 学園双子入れ替わりラブコメ「SH@PPLE」第4巻は演劇本番編。
 蜜かわいいけど出番足りないですよ! このシリーズは蜜のかわいさが魅力の半分以上を占めていると思っているので、いつもに比べて蜜の見所が少なめなのが実に残念でした(若干腑に落ちない行動もありましたし)。でもその分、乙女な鳥子が前面に押し出されていて、いつも並に楽しかったです。3巻ではどうせ脇役だろとスルー気味だったんですが、今回の蜜を食わんかとする攻勢にはびっくり。自爆型の恋する乙女はいいものです。
 「X氏」の正体は自分にしては珍しく予想通り。一番怪しい人を疑ったらズバリでした。こういう立ち位置の子は結構好きです、動機もとても理解できますし、発覚後の切り返し方も小気味よかったですね。これからも策を弄して頑張ってほしいです。出番少なくなっちゃいそうな気がしますが。
 ここから蜜と雪国の関係がどう変わっていくのか、もちろん続きも楽しみ。


評価 ☆☆☆★(7)



___12月22日(月)


【今日読んだ本】

聖鐘の乙女 黒猫と白の女王 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)amazon

 

《あらすじ》
 父親の遺した楽譜を探すため、聖楽学院に男として入学して数ヶ月。学院生活には慣れたものの、アティーシャは合奏コンクールの練習中、上級生・ジェッツの過剰なスキンシップに振り回される毎日を過ごしていた。そんなある日、怖がりなのに、憧れの王子様サリアンと協力して、学院の七不思議の謎を追うことになってしまい…!? 男だらけの音楽学院で繰り広げられる、乙女のスクールライフ♪ 待望の第2弾登場!!


 「幻獣降臨譚」の本宮さんがおくる、男装乙女の音楽ファンタジー「聖鐘の乙女」第2巻。
 アティかわいいよーーネイトさんかわいいよーー。1巻と似たような感想ですが、これしか言うことがないんだから仕方ないです。アティは実におバカで怖がりでバカ正直でつついた時の反応が素晴らしい上、この巻では乙女妄想も全開で1巻以上に見ていて楽しかったですし、ネイトさんはもうツンデレ全開、アティに対する態度が露骨で素晴らしかったです。お話は新キャラが一人増えたくらいで、サリアンやジェッツの掘り下げも微妙な感じでしたが、アティとネイトさんだけでごちそうさまでした。
 もうこれはネイトさんルートしかないと思うんですが、ジェッツが色気づいてるし、サリアンもそろそろ本気出してきそうなので、続きがどうなるか心配です。


評価 ☆☆☆★(7)


【今日購入したもの】
 SH@PPLE ―しゃっぷる―4 (竹岡 葉月/富士見ファンタジア文庫)
 聖鐘の乙女 黒猫と白の女王 (本宮 ことは/一迅社文庫アイリス)



___12月20日(土)


【今日読んだ本】

忍剣花百姫伝1 めざめよ鬼神の剣 (越水 利江子/ポプラ社Dreamスマッシュ)amazon

 

《あらすじ》
 美女郎の霊力で海にとばされてしまった花百姫。「たすけて!」必死でさけぶ声も波にかき消され、力つきかけた瞬間、花百姫の腰にさした天竜剣が、青く、まぶしく、かがやきだした!! それは、十年前、何者かにより滅ぼされた忍者の城、八剣城に伝わる秘剣が、ついに目をさました瞬間だった。―――動きだした壮大な物語。この伝説の剣が、人類の運命をも変える・・・。


 ラノサイ杯でのなまくらどもの記録さんの投票を見て買っておいた、戦国時代が舞台の児童書。再度お勧めされていたので、これを機に読んでみることに。
 児童書の文章や雰囲気って結構苦手なんですが、これはそういった苦手意識を抱くこともなく面白かったです。釣られた「姫君が年離れた男性に恋を〜」の部分を抜きにして、戦国時代の動乱を描いた物語としてまず楽しかったのが予想外。2つの隣国を誤解させて争わせたりと暗躍する謎の組織とこれを阻止しようとする忍者たちの争いを、男勝りの姫様や直情豪胆なお屋形様(イラストが凄い)をはじめとする魅力的な登場人物たちが彩るお話で、謎が多くて展開もスピーディで先が気になります。盗賊に拾われ育てられた主人公もたくましくも優しくて応援したくなる存在、「男として育った亡国の姫君」みたいなフレーズに反応する人は買って損はしないと思います。
 肝心の年の差ラブの部分は次巻以降が本番なようで少し残念、でも最後に少しだけ表に出てきた気持ちを見て「これは絶対萌える」と確信しました。この先の争いの行方もどうなるか楽しみだし、これは続きを読まざるを得ません。


評価 ☆☆☆★(7)



___12月19日(金)


【今日読んだ本】

翼の帰る処 下 (妹尾 ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)amazon

 

《あらすじ》
 北嶺太守である皇女に療養を命じられ、都に戻ってきたヤエト。皇女の実兄の元に身を寄せるが、そこで皇位継承権を巡る政争にヤエトは巻き込まれてしまう。一方、北嶺でヤエトの帰還を待つ皇女の身にも陰謀の魔の手が迫っていた! 皇女を救い出すため、ヤエトは都を脱出し、雪に閉ざされた北嶺へ向かおうとするが―。歴史の光陰が織りなす壮大なるファンタジーロマン、ここに完結。


 超病弱副官の主人公がロリ皇女様のためにあくせくと働くことになる本格ファンタジーの下巻。
 よっしゃ三角関係きた!(反応する場所がどう考えても間違っている感想) 上巻から結構な人間タラシだったヤエトですが、この下巻ではさらに本領発揮、あっさり女の子惚れさすからさすが。皇女様のために必死になるヤエトの姿はおかしくもかっこよかったですし、お互い特別な存在になっている皇女様とのやりとりもよくて、恋愛部分がおいしいのが望外でした(今のところ恋愛感情とはちょっと違いそうですが、その辺は脳内補完)。次巻以降、嫉妬する皇女様が拝めることにとても期待、「あれは誰だ」とヤエトを問い詰める皇女様が見たいです見たいです。
 もちろん物語も面白かったです。陰謀蠢く帝都を舞台に腹の探りあいで進んでいく展開は一寸先が分からない緊張感がありましたし、その後も皇女の危機など先がどうなるかドキドキしながら読めました。全体的に会話が面白おかしいんですよね、隠居嗜好なヤエトの性格と体調ゆえというのもあるんですけど、他のキャラもアク強くて、ナグウィンとジェイサルドとの3人旅など、商人と老騎士と病弱副官という華が皆無な組み合わせなのに楽しかったです。
 また、ファンタジー部分はあまり覚えていない伏線もあったりして理解しきれていない部分も多分あるんですが、把握している部分だけでも壮大さや光景の鮮やかさが伝わってきました。タイトルが絡むところの見せ方なんか上手いなあ。「続き物だ」という話を目にしていたので、この巻で話が終わらなかった肩透かし感がほとんどなかったのもラッキーでした。
 まだまだ世界の秘密は残っていそうですし、これからの北嶺とヤエトたちがどうなっていくか、続きが1年以内には出ますように。


評価 ☆☆☆☆(8)



___12月17日(水)

 コミケ前の恒例更新第2弾、FC(小説)ジャンルでメイン登録されているサークル数から、人気の推移を見るコーナー。男性向登録サークルはいまさら加えると変になるので今回も割愛。


作品名 C70(夏) C71(冬) C72(夏) C73(冬) C74(夏) C75(冬) 増減
涼宮ハルヒ 3 124 108 293 310 270 -40 (-13%)
マリみて 257 202 168 159 156 118 -38 (-24%)
まるマ 152 125 107 72 72 58 -14 (-19%)
彩雲国物語 28 43 41 52 61 46 -15 (-25%)
炎の蜃気楼 64 62 52 54 44 42 -2 (-5%)
十二国記 104 64 66 52 54 38 -16 (-30%)
図書館戦争 5 24 +19 (+380%)
ゴーストハント 30 30 32 32 21 17 -4 (-19%)
少年陰陽師 8 12 22 24 20 14 -6 (-30%)
とある魔術の禁書目録 3 10 13 +3 (+30%)
キノの旅 16 14 10 11 10 9 -1 (-10%)
戯言シリーズ 9 14 12 10 6 8 +2 (+33%)
トリニティ・ブラッド 14 12 12 12 6 5 -1 (-16%)
されど罪人は竜と踊る 8 10 8 8 5 3 -2 (-40%)
その他少年系文庫ライトノベル全体 52 55 60 73 98 71 -27 (-28%)
  • 全体的に減少ムード
  • 図書館戦争のアニメ化効果
  • 少年系サークル数の減少

 図書館戦争は男性向に登録されない分、人気アップが如実に表れているようです。が、それ以外の作品は総じて低調。特に驚いたのが少年向けの減り具合。今まで右肩上がりだったのがここにきて急落、男性向に流れたのか、それともピークが過ぎたのか……。来年の夏どうなっているか注目したいです。


【今日読んだ本】

ハローサマー、グッドバイ (マイクル・コーニイ/河出文庫)amazon

 

《あらすじ》
 戦争の影が次第に深まるなか、港町の少女ブラウンアイズと再会を果たす。ぼくはこの少女を一生忘れない。惑星をゆるがす時が来ようとも……少年のひと夏を描いた、SF恋愛小説の最高峰。待望の完全新訳版。


 夏場に話題になっていた海外の青春恋愛SF、真冬到来の今頃になってようやく読みました。
 「青春」「恋愛」は合わないところもあったんですが、「SF」面はとても上手いと思えた作品でした。序盤から世界設定に「あれ?」と引っかかるところが何度かあって、でも「そういう世界なのかな」で流して読める程度の引っかかりで、そうして読み進めて最後のどんでん返しを迎えたときに「あーそうだったのか!」と思わず手を叩いてしまう。この按配がお見事。勘のいい人なら途中で気づくんでしょうが、例によってこの手の鋭さは持ち合わせていないので、綺麗に引っかかりました。中盤から濃くなっていくSF設定のあれこれも面白かったですし、SF部分はよかったです。
 その一方で、青春・恋愛面は肌に合わず。「階級社会に慣れきった理解のない大人」や「同年代のいけ好かない奴」がかなり典型的に醜悪に描かれていて、こういう人物出てくる話が苦手で好きじゃない自分には辛かったですし、そのせいで主人公が成長していくのも実感できず。邦訳物っぽい情熱的で燃え上がるような恋愛描写も好みじゃありませんでした。
 期待値ほどには楽しめませんでしたが、SF部分のおかげで満足はできました。あと、邦訳文章は9割方好きになれないなと再実感。いまだに読んでて引っかかります。


評価 ☆☆☆(6)