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 1月2日(水)

一週間ほど不在にします。最近は何もなくてもそのくらいは開いちゃってますが……。


<最近読んだ本>

魔王はハンバーガーがお好き (鏑木 にのは/レガロシリーズ)amazon
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「小説家になろう」で連載されてた同名作品の書籍化作品。ちょうど書籍化発表の一月くらい前に読んで楽しんでいたので、書籍化、しかもレガロで、という話を聞いて楽しみにしていました。

新年早々転がらせてもらいました、楽しかったー!
舞台はアメリカ、一人暮らしでハンバーガーダイナーを営む女の子の元に、異世界の魔王がやってきて働くことになるラブコメディ。と、今流行りの魔王物なんですけれど、この話の特徴は魔王のド天然っぷり。はじめて食べたハンバーガーに感動して、作った女の子を師匠と呼ぶところからはじまり、平和でとぼけた言動のオンパレード。ジェイソンにびびったり、ちびっ子ギャングに加入したり。魔王視点で進むので、天然な内面まで見えるのが楽しいです。一篇数ページの連作短編形式なこともあり、テンポよくさくさくと読めるのも◯。

そして、このお話の一番の魅力はラブコメ部分。魔王が天然だから、無自覚に大切だとか好きだとかいうわけです。心から出てる台詞だから師匠もほだされちゃうわけです。師匠はサバサバ系の女の子でお盆で殴ったりのツッコミも日常茶飯事なんですけど、だからこそ惚れていく様子がかわいいしおいしい。
師匠の照れ具合を魔王視点(当然本人は分かってない)から見るのがまず楽しく。たまに挟まれる師匠視点での内面がまた素晴らしく。これを転がれずに読めますか、いや読めない。2人でホラービデオの場面がイラストつきになっててニヤニヤ。
魔王の気持ちが育ってきてからは、甘い言葉が自然と出てきて甘さがさらに倍に。クリスマスや早朝見せつけシーンなど好きな場面多いですが、エピローグが一番好きかな、魔王の作り出す甘さと楽しさが詰まってる感じで。天然は本当に強い。

2人だけでなくてサブキャラもいいメンバー揃ってます。ギャップたっぷりな勇者の言動も面白かったですが、やっぱり不憫好きとしてはチャーリーが好き。戦おうにも天然相手では戦いにならないのが不憫度増してます。魔王いなくても無理だったと思いますし、悲壮感はなくて良い不憫キャラでした。

とにかく楽しい!かわいい!でお勧めなお話。ラブコメ好きな人は是非まず本編を買って読んで、それからwebで後日談を読んで、さらに他作品読むといいです。この作者さんはの他作品もどれも面白いんですよ。海老と人間の異種族婚活だったり、ファンタジー世界での2ch恋愛相談だったりといった、変てこ設定を楽しく読ませてくれるのです。次回作も出てくれますように。

評価 ☆☆☆☆(8)



 
 1月1日(火)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

2012年を振り返ると、乙女ゲーに向かってさらに一歩足を踏み外した年でした。春から夏にかけて、死神と少女、うたプリ、恋戦記(PSP版)と色々遊び、積みゲーにもいくつか控えていて。特に恋戦記はもう2年以上熱が冷めません。これだけ一作品に熱が続くのは大昔のKey作品以来。2013年はファンディスクも出ますし、まだもうしばらく続きそう。
オンライン小説熱も継続中。完結や更新停止など別れの寂しさもありましたが、新しい出会いも多かったです。2012年マイベストはここで紹介した無重力メリーゴーラウンド。全力でお人好しな主人公がかわいく、どんどん巻き込まれていくジェットコースターな展開の勢いに惹きこまれました。あとはこれまで敬遠してた「小説家になろう」の作品をあれこれ手をつけはじめて、いくつか当たりに出会えたのがよかったです。

これらにハマった分、読書時間、感想書く時間が減ってしまいましたが、面白いものを読みたい、その感想を書きたいという気持ちは変わってないので、今年もマイペースで続けていこうと思います。


2012年小説私的10選

昨年読んだ小説は181冊でした。昨年が186冊だったので微減。意外と読んでたなという印象です。ただ、順調に積みは増えているのですが……買いすぎ。乙女ゲーなども考慮するとペース上げるのは厳しそうで、2013年は少し絞っていく心積もりで。少年向けも少し読むようにしたいですし。
では恒例の10選。2012年は金星特急の1年でした。タイトルリンクは読了時の感想に繋がってます。

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金星特急7 (嬉野 君/ウィングス文庫)

今年のマイベスト。祝完結、そして素晴らしい最終巻。謎、冒険、恋愛、3要素どれも欠けることなく最後まで駆け抜けた傑作。主役の錆丸の成長を見ているのが本当に楽しかった。レーベル、少年向け少女向けの垣根を超えて広まってほしいシリーズです。

花嫁失格!? 姫君返上!外伝 (和泉 統子/ウィングス文庫)

ウィングスからもう1作。本編の勢い・楽しさがそのまま、いや増幅されていた外伝。恋愛物でもこういう楽しいお話が読めるのがウィングスのいいところの一つです。結婚式は今年読んだ本の中でも屈指の名シーン。

鳥籠の王女と教育係 恵みの環の花嫁 (響野 夏菜/コバルト文庫)

続いて少女小説。鳥籠シリーズは、三角関係が終わって一旦ピークを迎えた後で、最後にそれ以上の盛り上がりを見せたのが凄いと思ってます。様々な苦しさを乗り越えた2人は、お幸せに! と今年一番言いたいカップル。

英国マザーグース物語 新聞広告には罠がある!? (久賀 理世/コバルト文庫)

2012年の新シリーズから1作。男装で正体隠しってときめきますよね、その状態で恋愛とか最高ですよね。こういう設定大好き人間にはたまらない一作。巻経るごとに正体明かしが意識されて切なさ増していく按配がいいです。ミステリ仕立てのお話が、意外な伏線があったりして面白いのもポイント。

詐騎士 (かい とーこ/レジーナブックス)

男装で正体隠し繋がりでもう1作。この設定以外共通点0なくらい対極ですけども。
何となく敬遠していたら凄く楽しかったシリーズ。かいとーこさん作品全般に言えることとして、恋愛要素薄めでキャラクターがとにかく活き活きとしてます。このシリーズは主人公の女の子の性格が独特で強烈。冷めてるのに毒は吐くわ独自の術で無双するわで、でもどこか憎めない。周りの男性たちを不憫にしつつのゴーイングマイウェイライフが楽しいのです。

とある飛空士への追憶 (犬村 小六/小学館)

年末駆け込み枠。王道に描写の美しさを加えた最高級のボーイミーツガールでした。

永遠の0 (百田 尚樹/講談社文庫)

空戦・零戦物を並べて。こちらは戦争描写の悲惨さ切実さがリアルで胸にくるお話。1人の青年の物語としても痺れました。

RINGADAWN〈リンガドン〉 虚戦士と終わりの鐘 (あやめ ゆう/C★NOVELSファンタジア)

今年出会って一番良かったのが、あやめゆうさんの作品。優しくない世界でも自分らしさを崩さないキャラクターたちの魅力と、それを彩る文章がドツボにはまりました。少年向けのやや硬派なファンタジー好きあたりにお勧めしたい物語。意外とFateとか好きな人あたりにも受けそうな気がしてるんですが、これは勘違いかもしれない。
新作のブレイブレイドの方も10選に入る面白さなのですが、同著者同レーベル2作はバランス悪いので来年挙げることにします。

空想オルガン (初野 晴/角川文庫)

一般レーベルだけどライトノベル寄りな学園ミステリ。チカの1人称で進むのが読みやすいですし、その上この巻は青春・ミステリどちらの要素も際立ってよかったです。続き読みたさにハードカバーの新刊まで購入しましちゃいました。

幽谷町の気まぐれな雷獣 (森崎 緩/レガロシリーズ)

至高の幼馴染。この一言。



ついでに漫画も5+1ほどリストアップ。

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ラブコメの盛り上がり具合が珠玉と呼ぶにふさわしかった「八潮と三雲」。
天乃さん待望の新シリーズ、主人公かわいいよ不憫楽しいよな「ラストゲーム」。
野球の楽しさ、広島カープの魅力を改めて教えてくれた「球場ラヴァーズ」。
いつも以上の圧倒的な描写を見せてくれたので、続き物でも挙げたい「7SEEDS」。
少しずつ近づく距離感と空気が心地よい「繕い裁つ人」(と「サウダーデ」)。
八潮と三雲はラブコメとしてはここ数年読んだ中でもトップと言っていいくらいでした。
他にも「暁のヨナ」「ちはやふる」「3月のライオン」「あめのちはれ」といった定番どころも良くて、2012年も豊作でした。


<最近読んだ本>

嘘つきなレディ 五月祭の求婚 (白川 紺子/コバルト文庫)amazon
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1月刊のコバルトの新人さん作品。ふと本屋をのぞいたらペーパーつきが売っていたので、釣られて買ってすぐに読んでみました。

まずあらすじを書くと、19世紀イギリスが舞台、別人と間違えられて貴族に引き取られた女の子が主役のお話。読み始めてから偽者令嬢ということを知って、こういう設定好みなので喜んだりしたんですけれど、設定だけじゃなく中身を丁寧に描いているなと感じる物語でした。
あとがきに当時のイギリスをかなり調べたと書かれていて、それも納得できるイギリスの描写。ドレスや街の様子に雰囲気ありました。
そして、偽者な令嬢の感情描写がとてもよかったです。嘘をずっとつき続けていることの後ろめたさ、でも元の貧乏生活に戻るのは躊躇してしまう、人間らしいその葛藤。これは言えないの仕方ない。特に途中からは免罪符までついちゃいますし。どんなときにもついてまわるやましさ苦しさがしっかり感じられました。たまたま買ったコバ本誌にのっていた選評読むと、最後のメアリの選択は受賞時とは異なっていたみたいなんですが、こちらの選択で良かったと思います。

恋愛要素は、初々しくかわいらしい感じのロマンス。遊び人のジョシュアがメアリの正直さに苛立ち頭から離れなくなる様子が大変ごちそうさまでした。能力要素はなくてもよかったとは思うんですが、史実の世界が舞台でも違和感なかったので問題なし。

ストーリーは、イギリスを騒がす怪しげな組織が主人公に目をつけてきて――というお話、こういう組織もイギリス物で結構見る気がします。最後の解決あたりは展開にあっさり感も少しありましたけど、歌を使った意外な伏線もあったりして楽しんで読めました。
あ、そうそう、可愛い女の子いますよ! メアリのみっともなさをあれこれ指摘してくるけど、実は……なタイプ。こういう子はいいものです、これも大事なお約束。

綺麗に1冊完結。すっきりした読後感がとても良かったです、イラストも爽やか。きっちり作りこむ作家さんみたいなので寡作が少し心配ですが、次回作にも期待。

評価 ☆☆☆★(7)