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 12月31日(木)

大晦日恒例のまとめ記事です。まずは読書振り返りから。読んだ冊数は、小説:120冊、漫画:66冊でした。例年は200冊弱くらいは読んでいるので大分減りました。
まあ、減った分は全てオンノベ(なろう)に行ったんですけどね。今年はなろうの年でした。正月早々に本好きに出会い、日々の更新が待ち遠しくなり、「この作品を読んでいる人はこんな人も」欄を渡り歩き、ランキングにも手を出し。ズブズブです、文庫100冊分くらいは読んだんじゃないかと。メジャーな作品はかなり手を出したので、来年は今年よりは商業作品も読めると思います(フラグ)。



面白かったオンノベは先日挙げたので、ここからは商業作品で良かったものピックアップ、順不同。リンクは感想へ。読んだ冊数は減ったのに、選考には凄く悩みました。豊作だったと思います。

2015年小説私的10選

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1.  螺旋時空のラビリンス (辻村 七子/集英社オレンジ文庫)

今年のトピックの1つはオレンジ文庫創刊。情報発表当時は不安もありましたが、蓋を開けたら割と好みなレーベルで嬉しい限り。
そんなオレンジ文庫から彗星のように現れた傑作がこちら。過去へのタイムリープと繰り返しのタイムループ、2つの要素がうまく合わさって、非常に切なくロマンチックな物語を見せてくれました。時間物で幼馴染というだけでツボをついてきているのに、終盤は伏線回収で何度も驚かせてくれるし、ときめき要素もきっちり入っていて、好みのど真ん中を撃ち抜かれましたね。新人さん作品らしからぬと話題にもなりました。
次作のリチャード氏はまだ積んでます、現代物でどんな形を見せてくれるのか楽しみ。


2.  歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (杉元 晶子/集英社オレンジ文庫)

オレンジ文庫からもう1冊。オレンジ文庫でテーマが将棋、というだけでホイホイされたら、望外に素敵な、女の子の青春友情物語でした。初心者の涼の明るいキャラクターがとても好感度高くて、元天才少女の歩がだんだん影響を受けていく姿に心がホッコリ。将棋をちゃんと描きつつ、日常生活での友情描写も両立しているのが個人的にポイント高かったです。
杉元さん作品は、先日コバ本誌で読んだ短編も百合テイストが入っていて、そういう作風なのかも? 次回作が楽しみです。


3.  本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第一部「兵士の娘I」 (香月 美夜/TOブックス)

今年はオンノベ・書籍化作品をたくさん読みましたが、こちらは本年の時間泥棒の親玉。うっかり読み始めたら、正月4日間くらい全投入でしたからね。本のために突き進むマインさんが何しでかすか気になって気になって、読む手が止まりませんでした。
なろうでは今も連載中。長期休み以外の平日はほぼ毎日更新されるので、更新分を読むのがもはや生活の一部に組み込まれてます。


4.  左遷も悪くない5 (霧島 まるは/アルファポリス)

引き続きオンノベ発の作品(こちらは全編書き下ろしですが)。ウリセスとレーアを中心とした暖かい空気が好きでずっと楽しんでましたが、この最終巻で描かれた光景が本当に素敵で。シリーズ通してウリセス達が積み上げてきたものが目の前に形となって現れて、心がほっこりしました。副官のエルメーテ視点も変化が分かって楽しかったなあ。


5.  アルバート家の令嬢は没落をご所望です2 (さき/角川ビーンズ文庫)

もういっちょオンノベ発。悪役令嬢物たくさん読みましたが、これが一番好き。メアリの勘違い・鈍感さが愉快で、気づいてからの甘々には床ローリングが止められない。主役2人以外もアリシアはじめ笑わせてくれるキャラ多くて、素晴らしいラブコメでした。


6.  おこぼれ姫と円卓の騎士 臣下の役目 (石田 リンネ/ビーズログ文庫)

毎年挙げてますが、今年もおこぼれ姫は挙げざるをえません。メルディ編で一区切りしたこの巻が特に良かった。レティや騎士達の成長、メルディの決断、ついに動き出す恋愛、と盛りだくさんの濃密さ。メルディの姿は本当に印象深いです。10巻を越えてまだ進化してるなと感じさせられました。こういうシリーズがあるから少女小説読みやめられない。


7.  (仮)花嫁のやんごとなき事情 離婚しちゃうと絶体絶命!? (夕鷺 かのう/ビーズログ文庫)

鉄板シリーズをもう1作。こちらは佳境に入って盛り上がりがきてましたね! このシリーズらしいコミカルさを全力で混ぜつつ、シリアス展開でどん底に落としたり、神誓でときめかせてくれたりと、最高に楽しい。漫画版もちゃんと作品らしさ出てて良かったですね。来年完結でしょうか、楽しみ!


8.  クシエルの啓示3 遙かなる道 (ジャクリーン・ケアリー/ハヤカワ文庫FT)

読み終わって「こんな面白い物語なんで積んでたんだろう……」となった冒険ファンタジー。波乱万丈すぎるフェードルの運命と、それを乗り越えるフェードルの強さに、読む手が止まらなくなる本です。特に塔からの脱出劇、後宮潜入編で受ける仕打ちあたりは鮮烈でした。「流血女神伝」あたりが好きな方に特にお勧めしたいです。


9.  烏に単は似合わない (阿部 智里/文春文庫)

少女小説っぽいと聞いて手を取った和風ファンタジーミステリ。確かに少女小説らしくて、それ以上にミステリで、「やられた!」と今年一番感じた作品です。無邪気が反転したときの見え方が本当に恐ろしかった。
感想書きそこねてますが2巻まで読んでます、こちらもやられた感たっぷり。若宮と雪哉がいい主従でした、若宮こんな姿見せられたら憎めないです、ずるいなあ。


10.  水光舎四季 (石野 晶/徳間文庫)

Twitterでフォロワーさん方が絶賛していたのに釣られたら、とても素敵だった作品。ちょっとだけ変わった能力者達が集う学園物なんですけれど、とにかく雰囲気が抜群。山の中にある学園の情景描写がキラキラとしていて非常に美しく、そんな中での青春の1ページ1ページが優しい筆致で描かれていて、心に染み入ります。好きな人に会うために冒険する夏のお話が一番好き。四季ごとに生徒が入れ替わって、違う季節の生徒には会えないという設定も面白かったです。
推し作品なのに感想書き損ねてしまったので、再読したときにでも書きたいです。



読書以外の面でも少しだけ振り返り。今年はこんなことがありました。

・はじめてのうたプリライブ参戦
・はじめてのオトメイトパーティー参戦
・はじめての宝塚観劇
・金星特急聖地訪問(アルハンブラ宮殿含むスペイン旅行)
・スイーツ食べ歩きの頻度増加
・アグリコラに引き続きハマる

概ね女子化が進んでおります。自重を少しだけ緩めたらこんなことに。どうしてこうなった。来年も新年早々にうたプリライブがあるので、当面は傾向変わらない気がします。


そんな感じで長くなりましたが、本年もお世話になりました。10年越えてスローペースですが、来年もよろしければお付き合いください。



 
 12月28日(月)

年の瀬になってしまいましたが、結構前に予告していた、ここしばらくのネット小説のお気に入り作品感想。なろう作品中心。書籍化していて積んでいるものは除いてます。



音楽で乙女は救えない 作:ナツさん@なろう

タイトルの通り、音楽がテーマの乙女ゲー転生物。読み始めたら手が止まらなくて1日コースでした。これだからなろうは怖い。とにかく色々な面で先が気になるお話だったんです。

1点は音楽物として。乙女ゲー世界が舞台ではあるんですが、主人公は本気でピアノに取り組んでいて、クラシックの演奏シーンがたっぷり。音楽描写や主人公の感情から熱量が伝わってきて、クラシック分からなくてもぐいぐいと惹き込まれる。読み終わってから何曲かyoutubeで聞いてみて、描写と照らし合わしたりしました(読むの夢中だったので途中ではほとんど聞けなかった)。

1点は恋愛物として。このお話の特徴はダブルヒーロー制なこと。俺様系の紅と優しいタイプの蒼。2人とも知れば知るほど魅力的に見えてきて、そのうち1人を選ばないといけない乙女ゲーらしさがはっきりと出ていました。どちらかというと紅に肩入れしてたんですけど、蒼と結ばれないというのも辛くて(小学生編のラストは泣ける!)、中盤かなりドキドキさせられました。ルートに入ってからは甘さたっぷりでまたドキドキ。

1点は世界の秘密。主人公とは別視点が時々挟まって何だか意味深なやりとりが。世界構造の概要は割とすぐに見えるんですが、進むにつれてどんどん切なさを増してきて、物語がどういう結末を迎えるかを見たくて読むのを止められず。読み終わって、切なさと満足感で一杯に。面白かった!!

今はもう1キャラのルートが連載中。怖い展開が待っていそうなので完結してから読む予定です。



ぼたん 作:雪見桜さん@なろう

悪役令嬢と転生物が全盛の女性向け「なろう」。それはそれで楽しいんですけど、普通の現代物も読みたいんですよ! と思っていたときに出会った物語。芸能音楽界が舞台で、天才少女が主人公。これだけ書くと華やかな話に見えますけど、実際の中身は、極度の人見知りであがり症の千依が一歩ずつ前に進んでいくお話。

憧れのミュージシャンのタツに出会ったことで話が動いていくんですけれど、心が揺さぶられて前を向いて変わろうとして、それが相手にまた好影響を与えて、といった感じで進んでいく、ゆったりとして優しい空気がとても好き。苦手に立ち向かおうとする千依の姿見てると応援したい気持ちで一杯になるし、千依もタツも音楽馬鹿で、真っ直ぐに上を目指していくのが気持ち良かったです。

また、双子の兄の千歳とのシスコンブラコンな関係も大変いいものですし、他にも女の子友情にホッコリしたり、脇カップルにもニヤニヤできたりと、好みな面がたくさんあって。どのシーンにも根底には優しさがあって、読んでいて気持ちが洗われて、いいものを読んだ!と心から思えるお話でした。



親友がTS娘になって、俺と結婚したいと言うが、断固断る 作:コイルさん@なろう

古くから当サイトにお付き合いいただいている方はご存知かもしれませんが、TS(入れ替わりや性転換)設定好きなんです。あらすじはタイトルの通りですが、コミカル一辺倒ではない青春恋愛ストーリー。パーフェクトな美少女に変わった幼馴染の親友に多少とまどいつつも、女の子に変わろうが変わるまいが親友は親友。その気持ちが少しずつ変わっていく過程の丁寧な描写が良かったです。

一緒に試合に出れなかったりといった日常の1シーン1シーンで女子であることを意識させられていって、恋心を自覚してジッタンバッタンして。思いっきり青春していて、ニヤニヤできると同時に、眩しくもありました。幼馴染な2人が元から凄く仲良いのが伝わってきて、恋人になるのも全く違和感がないくらいなので、気持ちの変化をじっくり楽しめました。変に間延びすることもなく、つい先日完結。



武姫の後宮物語 作:超紳士ゴブリンさん@なろう

「脳筋後宮物語」の方がしっくりくるかもしれない、猛将が正妃になるところから始まる物語。主人公のヘレナが「とりあえず鍛錬」な脳筋さんで、後宮に入ってもその姿勢は変わらず、なのに周囲が勝手に想像してあれこれ動いて、結果的にヘレナ様無双を見せつけられるのが楽しい。そんなヘレナ様が恋愛面ではちょろすぎるのがまた笑えます。後宮物で政争も絡んでいるだけに敵もいるんですけど、「いや何されてもヘレナは死なないだろう」という謎の安心感があって、肩の力を抜いて楽しめます。かなりの頻度でお昼に更新されるので、本好きと合わせて、最近の昼休憩時の癒やし。



ナインカウント 作:森崎緩さん@Tiny Garden

一作くらいは個人サイトから、ということでお馴染みTiny Gardenさんから。別作品のスピンオフなんですけれど、これまでクールに振る舞っているように見えた安井さんが、実は自分の恋にはかなり泥臭く必死だったことに驚かされました、こんな片想いしていたとは。元カノを忘れられずにスマートさを捨てて行動する姿が、格好悪いけど格好いい。園田のサバサバした性格や安井さんに迫られて照れる姿も好みで、3部作の中ではナインカウントが一番好きかも。豆腐料理がたくさん出てきて、豆腐が食べたくなるお話でもありました。